《紅魔への門を守る者》
紅魔館を脱出した魔理沙は、無事に霊夢を見つけることができ合流を果たそうとした。
しかし、彼女の行動を見た魔理沙は呆気にとられた。
夢中になって何かを拾う霊夢の前に静かに舞い降りた。
気配に気づいた彼女は顔を上げるが何事もなかったかのように、また地面に落ちている何かを拾い始める。呆れ気味に魔理沙が彼女を呼ぶ。
「霊夢」
「なによ」
無愛想に答える霊夢にため息混じりに聞いた。
「もしかして、お金を拾ってここまで来たのか?」
その言葉が図星だったのか、霊夢の動きが止まった。
その手に握っているものをよく見ると、魔理沙の言う通りお金が大量に握られていた。
そう、霊夢は神社の鳥居から紅魔館に続く道のりをお金を拾いながら進み、ここまで来たのだ。
そのことに対し、霊夢は何も言い返せない事実に黙っていたが納得がいかなかったのか苦しい言い訳をする。
「しょ、しょうがないじゃない!ここまでたくさんお金が落ちていたのよ!拾わない方がおかしいでしょ!!」
それを見越してアルマは落としたんだなぁ、と心の中で魔理沙は呟く。
「ついでに異変を解決に来たのよ!!」
「そこは普通逆だぜ」
「うるさい!ほら行くわよ!」
半ば強引に話を終わらせ先をゆく霊夢に渋々と言う感じに魔理沙は着いて行くのであった。
もう一度、窓から侵入をしようと提案する魔理沙であったが霊夢はめんどくさいと言い、正面から館へ入ろうと正門へと近づく。しかし、それを阻むかのように霊夢へ攻撃をしかける者がいた。
正門へと近づいて行く彼女に弾幕が放たれたのだ。気づいていたように難なく弾幕を相殺した彼女は自分を襲ったものへと視線を向ける。
「誰かしら?あなた」
そこに立っていたのはチャイナドレスのような淡い緑色を主体とした衣装。
髪は赤く腰まで伸ばしたストレートヘアー。側頭部を編み上げてリボンを付けて垂らし、目の色は青がかった灰色。の少女。
霊夢の質問に礼儀正しく手を自分の前で合わせ一礼し答えた。
「私は紅 美鈴この紅魔館の門番です」
「紅魔館って言うのね。できれば通して欲しいのだけれど無理そうね?」
「当たり前です。侵入者から館を守るのが門番と言うものでしょう?だからーーーーー」
美鈴と言う門番は紅魔館の方へと向き弾幕を撃ち放った。その方向は窓へと侵入しようとした魔理沙がいた。油断していた魔理沙は弾幕を躱すことはできたが、バランスを崩し箒から滑り落ちてしまった。
地面ギリギリで立て直し、紅魔館から離れ霊夢の近くに舞い降りた。
「あ、危なかったぜ......」
「通りたければ私を倒して正門からどうぞ?」
「そうさせてもらうぜ!」
八卦炉を構えた魔理沙に美鈴は攻撃を仕掛けようと構えた。しかし、動くことができなかった。すでに決着が着いていたのだ。彼女の周りには弾幕が広がっていた。
「え?」
「霊符【夢想封印】」
霊夢のスペルカードにより一瞬にして門番、美鈴との勝負はついたのであった。
「ふう.....」
「なんかあっさりとした戦いだったぜ」
「いいじゃない、ほら中に入るわよ」
めんどくさそうに霊夢は歩き出し、魔理沙はニヤニヤとしながら後ろからついて行った。
かくして、二人は吸血鬼の館、紅魔館へと足を踏み入れたのだった。
その頃、アルマはと言うとーーーーーー
紅魔館の長い廊下を走りながら後ろから飛んでくるフランの弾幕を捌きながら逃げていた。彼の逃げてばかりの行動にフランは少し不機嫌だった。
「スペルカードなんで使わないの?」
「手加減」
ピキッと何かが割れる音が聞こえるとフランの目が赤く染まり、スペルカードを取り出した。
「禁忌【カゴメカゴメ】」
先ほどの比にならない数と大きさの弾幕を飛ばし、レーザーのような弾幕を撃ち、アルマを攻撃した。
完璧にぷっつんしたようだ。
「怒らないでくださいよ!!」
霊夢達が紅魔館に侵入した時に、アルマはフランに弄ばれていたのであった。




