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かおり

作者: 有機ぱん
掲載日:2013/05/06

たとえば一つだけ。

たった一つだけ君の嫌いな所を見付けたら、私は君のすべてを嫌いになるだろう。


うん。


酷いよね。


私って。



でも、それくらい君は完璧な私の王子様で。

あの日の夜のキスした場所や回数の、はっきりと鮮明に覚えてるし。

重いかもしれないけど、君もそれくらい私の事好きだったし。

重い想いがちゃんと平等だった事も分かる。



きみが愛して止まない、毎日欠かさず付ける香水のにおいも覚えてる。

久しぶりに買い物に行った時、それを見付けて買っちゃったんだ。


つい。


本当に、本当の衝動買い。


目にとまったかと思えばレジに並んでて、そして綺麗にラッピングもされて私の鞄の中に収まっていた。



君の誕生日なんてとっくに終わってるのに。

クリスマスはもっと先で、バレンタインデーはもっともっと先なのに。


私は君に、プレゼントを買ったよ。



…1万円だって。

意外に高いんだね。


その所為で、今日の夕飯はハンバーグから野菜炒めに格下げだよ。

そんな事言ったら、君はきっと笑いながら怒るんだろうな。










…。













でも、そんな君はもういない。

あの最期の瞬間から、私は止まったままだよ。



末期の癌。

それが君の死んだ理由。


別の男と幸せになれって言われたのに、君のかおりがする男性とすれ違うたび君と間違えるんだ。




…知ってるよ、女々しいことくらい。



去年の5月5日の子供の日に亡くなった君。

まだまだとても愛しいよ。



君を追って行くことは出来ないけど。

きっと君以上も以下の人も現れない。



だって、私は君に愛されるために産まれてきたんだから。



死なないよ、私は。

最後の瞬間まで、君を想うから。




…あ、君のかおりだ。




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