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4話 俺がナンパされるからって心配して助けに行くなは無理があるだろ

入学式後、俺は1人で家に帰ろうとしていた


「あら、あたくしもいるわよ」


「……」


訂正、九条と一緒に帰ろうとしていた。はい、まだ、学園内にいます。


「お前が俺に着いていく必要はないだろ?俺は家に帰ろうとしているだけだぞ……」


なんで着いていこうとしているんだ?


「ええ、知っているわ。だから、あたくしも着いていこうとね」


「いや、おかしいだろ」


なんで入学初日に女連れて家に帰るんだよ。中学時代からの友人ならまだしも今日会ったばかりの人を家に連れていくとかハードル高いだろおい


「いくらなんでも俺の家に連れて行かねえよ」


「家族に連絡したらいいじゃない。同性の友達ができたって」


「俺、男だから同性じゃねえよ」


男を連れてきたと言っても無理があるだろ。どう考えても外見が美少女の時点で100%会わせたら言い訳しないといけない未来しか見えん


「あら、残念ね」


なんで落ち込む顔をするのかね?


「ってか、外出する時、お前の場合は護衛とか付けられるんだろ?んなもん面倒なことが起きたら大変としか言えんわ」


「ん?護衛?そうね〜、あたくしに護衛はいるわ。でも、外出禁止とか特に言われていないわ。お父様に友達と行くと言ったら許可してくれたし」


「そうかよ……ちなみになんて伝えた?」


まさか、同性の友人の家に行くとかじゃねえよな?


「ん?友達の家に行くと言ったわよ。男友達って」


ちゃんと伝えたんだ。良かった良かった


「それでいいが……自分の娘を男の家に行かせるとかよく許可したな……」


「ふっ問題ないわ。あなたの写真を見せると許可してくれたのよ。可愛い女の子みたいな男だと言われたわ」


「……は?」


いつの間に写真を撮っていたんだよ。盗撮だぞ


「おいおい、俺許可していないぞ」


「写真を見せたと言ったけど写真撮ったとは言っていないわよ。お父様は学生の生徒写真を管理しているからそこから教えたのよ」


なるほど、学生証明写真から教えたと……


「はあ〜……なら、尚更、連れて行かないといけないという話か……全然良くないんだがな」


「分かったでしょう?問題ないわよ。護衛がいる限り、大きな問題には巻き込まれない。高ランク以上の実力者と遭遇したら流石にまずいけど基本的にそう巻き込まれないわ」


「フラグ立てるようなことをしないでほしいな。まあ、そう巻き込まれないからいいか」


言い訳したって行きたいと我儘言われて時間が潰れるよりマシか



_____


と言うわけで九条を俺の家に招き入れることになった。家に家族以外の女性を入れるのは初めてではないが緊張はする。


「あたくし、同世代の男性の家に入るの初めてなんだよね」


「マジか……まあ、名家ならそう言う都合もあるんだろうな。俺はあるよ。小学生の頃まで遡らないといけないけど」


「あら、貴方に女友達がいたのね。その容姿なら文句はないわ」


「なんで俺の容姿で納得するんだよ……」


女友達がいても納得する理由が外見とかなんで反応したらいいんだ?


「貴方の家はあと何分に着くのかしら?」


学園に出てから早10分だが後は……


「15分くらいだな」


「意外と近いわね。ここら辺は土地の価値で金持ちじゃないと住めないようになっているのに」


「親父が○○会社の社長だからかな?」


「社長職に就いているのね。○○会社と言えばそれなり有名な会社……うちと契約している企業じゃない。貴方、普通の一般家庭出身だと思ったけど違うのね」


「まあ……そうかな」


九条家から有名と言われるほどなのかよく分からないが親父は中小企業で言えば凄い方の会社らしいとは聞いていた。


まさか、九条家とビジネス関係があるとは知らなかったが九条が知っていると言うことはそれなりに有名なんだろう


「親父の話はいいとしてーん?」


何か揉め事をしているな。近くで何か言い合いしている声が聞こえる


「何かしているわね」


九条が指を刺すとその方向には俺達と同じ制服を着ている人が3人いた。1人は女性、残りは男性だ。にしても女性の方背高くないか?男性2人よりも高いぞ


何やらうるさくやっているがナンパか?なんか自分達より背の高い女性をナンパするのは違和感があるな。


「ナンパされているのか?」


「あの子は嫌がっているわよ?それにあの子……榛名さんね」


誰?


「誰?」


「あたくし達と同じクラスメイトよ。背が高い子だから覚えていたの」


「なるほどな」


背の高い女の子は目立つから覚えても不思議ではないか。でも、名前まで覚えているのか?まあ、九条だし、と完結するとしよう


「助けに行くか」


「駄目よ」


「何故?」


助けたらいけない理由でもあるのか?もしかして九条家の人間だから狙われやすいとか?


「貴方がナンパされるわよ」


「心配して損した。なんで俺だよ」


自分のことかと思っていたのに俺のことを心配していたのかよ。心配するのはいいが駄目な理由が俺がナンパされるとか意味が分からん。冗談言っている暇じゃねえんだわ


「俺がナンパされるからって心配して助けに行くなは無理があるだろ」


「無理?違うわよ、あたくしの本心よ。貴方みたいなひ弱な女の子じゃナンパされるじゃない」


「何度も言わせるな。俺は男だ」


誰がひ弱な女の子だ


「馬鹿なことを言っている場合じゃねえだろ。ささっと助けに行くぞ」


「……仕方ないわね。貴方がナンパされたら、あたくしが貴方を貰うから」


「何の話をしている……んな馬鹿なことを言っている暇じゃねえよ。何度も言わせるな」


俺達は走って長身女性の前に立つ


「あ?なんだ?」


「なんで女2人来るんだよ」


ケラケラと笑っている2人を見て気色悪いと俺は心の中で呟いた。


「嫌がっているだろ。何をしているんだお前ら」


「そうよ、入学生をナンパして楽しいかしら?」


楽しいからやってんじゃねえの?とは言わないでおこう


「楽しいからやってんだよ。ってか、あんた、後輩なん?先輩か同級生だと思ってナンパしたんだが……」


「何突然、まともなことを言ってんだ、広真。後半なんだろうと関係ねえ。どうだ?お前らも俺達と遊ばねえか?」


俺達も?そんなもん


「断るね。俺は男だ」


だから、断る


『…………は?』


2人は驚愕した顔をする


「……え?」


何故か榛名まで驚いていた。


「おっ男だと……いや、どう見ても……」


「いや!関係ない!男だろうが今は多様性!外見が美少女ならなんでもいい!」


「お前正気か!?」


やべえ性癖野郎(多様性過激派)がいるなおい。あと、まともなのかい!あんた。


「男は趣味じゃねえよ!」


「そうよ。それに荒夢ちゃんはあたくしが貰うもの」


「お前は何を言っているんだ?」


もう1人おかしい奴がいるんだがこれはどうしたらいいんだ?


「荒夢ちゃん、お願いね」


「いや、お前も戦えよ」


「応援はしてあげるわ♪」


「くそっ、期待して損したわ」


――さて。


やるなら、徹底的に叩き潰すだけだ。

最後までお読みいただき、ありがとうございました!


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次回も楽しんでいただけるよう頑張りますので、よろしくお願いします!


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