11話 九条美姫は怖い
金曜日
入学から早4日過ぎた
今日はクラス戦闘が行われる日
「早いもんだな」
俺らが来ているのはとある場所、別に特殊な場所ってわけではないーと言えば嘘になるか。
場所は正直よく分からないが誰もいないショッピングモール?みたいなところ。都心から少し離れたところだがどう言う場所なのか正直分からん。
「なあ、美姫。なんで、ショッピングモールなんだ?学園の校舎とか体育館でやるとかそう言うのは…」
「ないわよ。1年生とか学年は関係ないわ。」
ないのかよ
「ここはあたくし達一族が持っているショッピングーではなく、戦闘場所。体育館は狭いのよ。だから、こうして広々とした場所でやることが大事なの」
「そっそうなんだ…九条学園って規格外だね…」
「あたしでもマジびびったんだけど!?ガチやばくね!?」
優樹菜と薫では反応が違うがほとんど同じか。全く、規格外にも程がある。都心から離れているとはいえ、こんな場所を戦闘場所として管理しているとかどうなってんだよ九条家。
他の能力五家も似たような感じなんだろうか?いや、それはないだろうな。九条家の総資産は2桁兆を超える莫大な資産を持っている。能力五家の中では2番目って話だが…それでもおかしいだろ。やっぱり規格外だ
「規格外だな…」
「九条家が規格外なのは認めますわ。でも、規格外なのは油川家。あの家はランク10の能力者を3人、15歳未満でありながら1人、ランク10相当もいて、ランク9は2人と油川家本家の血筋すら恐ろしい戦力、僅か8年で数十兆の資産を手に入れ、あたくし達、九条家を上回るような成長速度を持っていますから」
比べる対象間違っていない?あと、さらりとランク10の能力者が3人いることになっているけど?2人は前に聞いていたから知っているけどまだいるの?あと、俺達より年下なのにランク10相当?え?そんなことある?
「油川家規格外だろ」
「戦力では友禅院家が超えていますよ。ランク10が複数人ってわけではありませんがランク7以上の組織を持っているほどに強力な戦力を多く保持していますから」
「あの…能力五家で比べ合うのも…」
対象がやべえ一族しかないじゃん。友禅院家か、確かなりやべえ家だったはずだ。能力五家の中で表向き被害が1番多い問題児一族のような名家
「まあ、ともかく、いまはやるべきことをするしかないよな」
少し体を動かして周りを見る。周りにいるのは同じクラスのクラスメイト達。奥にあるのは今回の敵になる3組。見たところ俺のクラスとは変わらないって感じだが何か気配が違う者が3人いる。
気のせいではなく、勘でもない。ただ、3人の威圧感が違い過ぎた。他の3組の生徒達が何かを怯えているように3人を見ている
「何やらあっちでは何か起きているみたいだな」
嫌な予感というのは当たらないでほしいものだがそうと文句を言っている暇ではないようだ
「あはは!実に愉快な相手だな。なんとも個性の薄い…実に馬鹿らしい!」
「…お前が言いたいことが分からないが何人か個性の強い人はいるぞ。それに個性で文句を言って負けても俺は知らん」
「あ?そんな簡単に俺が負けると?そんな馬鹿なことをするほど俺は弱くねえ!」
赤髪と金髪の男達が何やら喧嘩してんだが。何をしたんだよ
「あら、怖い人達ね」
「美姫の方が怖い…」
「あら、何かあった?」
「イエ、ナンデモアリマセン」
笑っているのに目が笑ってねえ。美姫の方が怖いなうん!
「ん?正香ちゃん。何か言った?」
「ん?何もないぞ」
俺の心でも読めるのか?動揺しないように演技したがどうだ?
「…何か言ったよね?」
「イエ、ナンデモアリマセン」
うん、怖い。プレッシャーめっちゃかけてくるの怖い
「う、うぇっ…!てか美姫ちゃんガチ怖なんだけど!?!?」
おい、薫。それは言ってはいけない言葉だぞ!
「あら、怖い?誰に対して?」
「え、ちょ、うそ、待って……マジで……」
「何か言いたいみたいだね?薫ちゃん」
「え、な、なんもないし……ホントに……」
「何かあったらどうかしら?怖い?誰に対して?ふふっ言ってみなさいよ。言わないと伝わらないわよ」
「ちょ、違くてさ!?なんてゆーか、言い方のアレじゃん!?!?」
どんどん恐ろしいプレッシャーを出しているだと!?
おいおい、待て待て
「ひっ、」
優樹菜が俺に抱きついて震えている。むーいや、なんでもない。とにかく、今は不味い。
周りのクラスメイト達が怯えているし、相手側も怯えている。
「あっあっやっ…」
優樹菜がめっちゃ震えている…動けないんだが。俺が力を出しても動けないんだが…ちょっと、優樹菜さん、力強くない?
「何か言ったらどうかしら?」
「え、ま、待ってって……いやぁぁぁ!!!」
こうして薫の断末魔が聞こえたのだった。
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「……なんだあれ」
赤髪の男がドン引きして青色へと顔色を変えていた。
「……南無阿弥陀仏」
金髪の男は南無阿弥陀仏と唱える
「……個性が強い弱いではないな。真の勝者は彼女だったようだ。流石…九条家」
「あ?マジ?九条家ってそんなやべえのかよ!?ありゃ…なるほど、個性の強弱関係ねえな。真のやべえ奴はあいつか…相手したくねえからお前に任せるわ」
「断る。俺は死にたくない」
その言葉に赤髪の男は一瞬、目を見開いた。
「…なるほど、あいつはただ強いだけじゃないってわけじゃねえな。恐ろしい相手だ。」
それだけ言い残して、3組は重い足取りで引き下がった。
俺はまだ足元の揺れを感じていた──これからが、本当の戦いだ。
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