表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

23/32

騎士たちが王子の手下になり、騒動をでっちあげる

 二人の騎士がテラスへ上がっていく。

「なにか、証拠を探すのかしら」

(王家への不平不満を、反乱とか革命と、大騒ぎするつもりだよ、きっと)

 下手に止めても、なにか隠してるといわれかねない。

「関わらないほうがいいでー。匿名では誰か特定できないしなー」

(そうだね。誰が書いたかわからなければ、捕まえられないと)

「侮辱したな」騒ぎだした騎士たち。

「薬屋のみっちゃんに、ちょっかいかけたのはおまえだろうが」

「この横恋慕やろうが、やるか」

「おまえの片想いだろ。なにを彼氏ぶる。やろうじゃないか」

(なんなのよ。仕事中でしょ)

「やめなさい。テラスから出てけ!」

 怒鳴りながら、二人へ近づく。

「決着だー!」

「決闘だー!」

 二人の騎士は叫びながらテラスを降りたが、路上で剣を抜いた。

 道を行く庶民たちも立ち止まり注目した。

「実況中継の練習やでー」

 サユリーが呑気にいうが、あんがい真剣な表情をしている。記録に残したい思いもあるのだろう。

「何事でござろう」

 新たに二人の騎士が来た。

「こやつは反乱を企んでるのじゃ」

「てめえこそ、革命軍の一派じゃろう」

 剣を振り上げて、かしゃっかしゃりん、と合わせる。

「止めるでござる」

 中へ入り止める、新しく来た騎士たち。

「聞くに、世を乱すものでござるな。王様からも厳しく注意されてるでござる」

「戒厳令でござろう。SNSを使って悪だくみする、こやつは反乱者でござれば」

「てめえが革命軍の一派でござろう。SNSで連絡を取りあってた、戒厳令を王様へ進言いたすでござるよ」

「あの。女がなんとかと言ってなかったっけ」

 恋の争奪戦と思ったが、話がすり替わっていたのに気づく。

「なにか、怪しいでー」

 悪だくみを考えるような、妖しい笑い方をしたサユリー。


「王様へご報告して、真意を確かめる。両名も容疑者でござれば、まいられよ」

「SNSも悪用されてるでござれば」

「取り締まりをお願いするでござる」

(えっ。無理やりSNSを陥れるために、ここで騒いだと)

「お坊ちゃん王子の作戦ね。騒ぎがあると、すぐに戒厳令をだしかねないし」

「確かめるでー」

 4人で王城へ行くつもりらしい。騒動を起こした二人の前へ出る。

「様から金を貰ったんか。金を貰ったやろー」

「いや。おう。金は貰ってござらん」

(おー金、じゃないよね。サユリーさんも、様、だけで、はっきり聞いてないし。作戦かも)

 なにか言いかけてたと気づく。想定内の言葉は、さすがに聞き逃さない。

「様から、女を紹介されたでしょ。お酒を奢られましたよね」

「どちらも、ござらん」

 それでも、あとから来た騎士は真面目だ。

「給与以外に、王様や王子様から、接待や金は受け取らないのが騎士でござる」

「そうかー。どうやー。だれなんやー」

「王子様から、金は頂いてないでござる」

(白状したわね)

「だれも、王子様のことは聞いておりませんけど」

「はあっ、あっ」

 わざわざ、名前を出したのに気付いたらしい。庶民も聞いていた。

「そうだ、聞いてやしないぜ。様、とおっしゃったぜ、ご令嬢様は」

「身に覚えがあるから、王子様の名前が出たんだぜ」

 庶民は、あり得ると感じてるようだ。

「治安は署長の管轄です。王城よりは警察署でしょ。あなたがたも疑われますよ」

 あとから来た騎士たちに告げる。

「非常事態だからと王子様はおっしゃったでござれば、いかんとも」

 命令に従うしかないらしい。

(そいつの悪だくみだってーの。こうなればしかたない、刑法、民法だったっけ)

「私たちはテラスで騒がれて迷惑してます。訴えますから、警察署へ連行してください」

「それもあるでござるな。賄賂を受け取ったような発言も、署長へ報告いたすでござる」

「反乱や革命と違うでー。SNSに記録されてるでなー」

「そうだぜ、女がなんとか騒いでいたぜ」

 庶民も企みだと気づいて騒ぐ。これが騒乱となりかねない。

「落ち着いて。明日の朝から、王様に公開質問します。くれぐれも早まって、戒厳令を敷かれるようなことは控えて欲しいの」

 騎士たちも、治安維持だから、すぐに王様へ報告はしないと、庶民を宥めた。

(わざと騒動を起こそうとする者がいるんだ。王都で何人があいつの手下になってるのかしら)

 どうしても不安がよぎる。

「気にするなら行動よ。署長へ相談する」

「広場へ行きながら、警察署へ行こうかー」

 荷造りも終えたのを見ながら話す。そこへ騎馬騎士が、かつかつ、と蹄の音を響かせてきた。

「二組で集まるとは、なにかあったでござるか」

 二人で一組だし、トラブルがない限り、集まることもない。

(馬に乗るのは役職も上のはずだけど。もう、めんどう)

「王城より、争いは警察署へ届けるのが筋と考えます。上役なら心得もあるかと」

(あいつの命令とかいうなら、貴族特例を利用するしかないね)

 この件は預かる、と親の爵家と名前をだせばいい。

(そういう権限みたいなのは使いたくないけど)

 それでも、騎馬騎士は降りると挨拶で礼を示す。

「ケリーヌ様でございますな。アランと名乗る他国の貴族から、署長へお願いしたでござれば。些細な事案でも、署長へ報告と団長名義で通達を頂いたでござる」

 なるほど。署長も戦争になれば騎士団長だ。非常事態というなら、現場では王族より強い権限も持つ。

「そうでしたか。そこの騎士たちが事情は分かりますので、よろしくお願いします」

(アランさんは、署長へ治安の強化をお願いしたのね。気の利く人だこと)

 頼もしく思えて、ちょっと会いたいと胸がときめく。

(一人で、あれこれ、動けないし助かるよね)

 そういうわけで、滞りなく、テントの設営と、質問状の提出は済んだ。これから長い夜が待っている。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ