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写真は真実を告げる

 テラスは庶民も話のタネにと観覧しに訪れる。なかには賑やかな女たちがいた。

「百コメやばくね」

「今日で、ありよりのあり」

「めっちゃ良かったし」

 テラスへあがってきたのは浴衣姿の三人娘。目当てのスレッドへ急ぐ。農園と薬屋の娘で、もう一人は地主の孫だ。庶民の中では裕福な生活をしているほうだろう。

 縁側でようすを見守るケリーヌとサユリー。庶民の声を聞くよい機会だ。

「百コメは盛り上がるよね」

「それだけ、フォロワーもいるんやでー」

 影響力のある証拠だ。

(たまには耳に痛いことも話すけど。それで、良いと思う)

 喋ったら忘れるのも庶民だし、反対のことも言う。そのときの感情が動かしている。

「やったー。百コメ」

「おめでとぉー。やっぱメシネタは鉄板よね」

「言葉で美味しさを伝える、もうほとんどかみだね」

 近くの茶店でお祝いでもしようか、と話すが、他のスレも観賞するのが常だ。

「王子様の新しいヨメ。尖ることない?」

「プリンセスってキャラは、ありよりのなし」

「ちょっと、やば感ありすぎっしょ」

(たしかにね。でもさ。私のことも、令嬢らしくないって言ってたでしょう)

 心で突っ込みもいれるが、悪い気はしない。近くにいるのは知っているはずだし、言葉を飾る貴族たちより親しみも湧く。

「戦争とかガチの話?」

「武器の話とかマジなん? 全然リアル感しないし」

「プリンしか勝たん。茶店が言ってるし」

 スイートに関心はいくようだ。


 そこへ馬が駆けて来る。

「特ダネだ。ジョーキキカンの写真が手に入った」

 馬上から大声で言うと、差し出す丸筒。

「写真だと、白馬の玉子(たまご)さんかしら」

 白馬の玉子は写真を送ってくる常連だ。魔女の魔法で作られたカンコーシという紙を使っていた。神話時代に日光写真とよばれてたものらしい。

「ジョーキキカンの正体は乗り物。そうなのね。祖母様がおっしゃってたよね」

 まぎれもない。汽車という乗り物。この写真は一台だけだが何台もつなげて人や物が運べる。

 持ってきた写真には煙突のついた機関本体に幌馬車が繋がれている。馬車でも、馬が曳くわけではない。

 三人娘も興味を持ったように遠くから眺める。

「スレをたてるでー。あと一枚は拡散用のコピーやなー」

 サユリーはさっそくと新しいスレ板を準備した。

「便利な乗り物らしいです。武器じゃなかったね」

 ケリーヌは貴族へ遠慮している三人娘を招く。

「ラッキー。初コメもらい!」

 話せば気さくなところが分かるのもケリーヌの性格だ。

「まじ、チョー大きい」

「速いって、どんだけ」

「馬車より人が乗れるってよ」

「安心やでー。なんで武器になったんやろなー」

「すごっ便利なアイテム」

「これなら武器といっても、なしよりのあり」

「乗れるの? ラッキー!」

(気が早いけど。そうだよね)

 競走馬より速いはずだが、道路整備も必要だろう。

(それでも、なぜ、これを武器だと。うん、乗り物とは知ってたのかしら)

 少なくとも、なにか実物の情報はあったと気づく。

「イラストを描くとなれば、絵師かな」

「そうやなー。絵画協会へ聞きはるのが早いでー」

「王家と関係があるなら、知り合いはいる。王族の嗜みで絵も習わされたからね」

「それならなー。まちがいないでー」

 そういうわけで、絵師を訪ねていくことになった。

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