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The Countdown  作者: g
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偶然のカウントダウン

20xx年9月......

俺が、そのインターネットサイトに訪れたのは偶然だった。

最初、そのページを見た時は、出来損ないの未完成なページでしかないと思った。

なんせ、真っ黒画面に何かの数字がカウントダウンのように画面上に表示されているだけで、他はそのサイトを訪れた事を表すカウンターのみ、広告やページ移動のリンクも無いし、素人が試しで作っただけのネット表紙のようだったからだ。

だが、それが俺の...いや世界の運命を変えることになるなんて、その時は夢にも思っていなかった................。


9月某日


「今日も俺だけか」


いつものように、黒画のサイトをモニター越しに見ている俺は口角を僅かに上げ誰に聞かせる訳でもなくつぶやいた。


「それにしても、これはいったいなんなんだろうな....」


初めてこのインターネットサイトを発見した時は別になんとも思わなかった。

変な所に飛ばされたなと思っただけで、すぐブラウザバックでそのサイトを離れた。しかし、数日後何かの拍子で履歴に残っていたそのサイトを再度開いてしまった時に俺の中に小さな違和感の様な物が芽生えた、その何の変哲もない...いや、今思えば可笑しい事だらけだと思えるこのページが俺の心を捉えて離さなくなった。

数日間、何か時間が空く度にこのサイトに訪れていたが、この意味ありげな数字を見ている内に俺は、このカウントダウンの数字がなんなのかを考え始める様になった。


「ラーメンタイマーにしては、数字が大きすぎるよな」


現在の数字は18298053。腕時計の針と見比べてみたら、カウントダウンの表示は1秒ごとに減っていた。って事は数字が0になるには1829万秒かかる、計算してみると7ヶ月後と言う事になるらしい。


「そうすると?....来年の4月だよな...」


カレンダーを見ながら指折り数えてみる。

俺は、7ヶ月後の数字が0になる時間を計算してみた。

ちょっと面倒くさかったが、日にちや時間を計算してくれるサイトなどを駆使して確認した結果、来年の4月4日4時44分44秒に0になると言う事になるみたいだ。


「何?この意味ありげな数字.....なんかのジョークサイトか?」


このサイトを作った人物は何を考えているのだろう...4月になにか良くない事を企んでいるのだろうか...。

何せ4444444なんて縁起でもない数字を並べる位だ、心に闇を持っていてもおかしくない。

それとも4並びは唯の偶然なんだろうか?


「いや、そんな事ないな」


作ったやつは必ずこの数字に意味を持たせているはず...たとえ、それがくだらないブラックジョーク的な物であっても...。

そして、このサイトを訪れているのは現段階で俺だけ。

サイトのカウンターは俺が訪れた回数だけしか回っていなかった。

つまり初めて見た時のカウンターは1だったのだ。

そんな、世間的にはくだらないと一蹴されそうな物なのだが、俺は、暇になったり何か考え事があるとこのサイトを訪れカウントダウンされる数字を眺めながら物思いに拭ける事が段々と日課になっていった。


.10月某日

カップラーメンにお湯を注ぐと、ドカっと音がするんじゃないかと思う勢いでPCの前に腰掛ける。もうひとつあったカレーヌードルとどっちにしようか迷ったが、ここはスタンダード一択でしょうとノーマルのカップラーメンのビニールを破った。


「はぁ~ 仕事探さなきゃかなぁ...」


例の黒画サイトを開きカウントダウンを眺めながらカップラーメンを両手のひらで弄ぶ。


「働かざる者食うべからずってか......世知辛いねえ....」


今の俺は絶賛ニート中だ。親の遺産(僅か)と貯金(僅か)を駆使してなんとかノラリクラリと日々をすごしている。ちなみにもうすぐ50になるおっさんだ。

名前は 田原 鳴海 


「誰に紹介してるんだか...」


当然のように未婚であり子供は居ない...兄弟はいるが、親が死んでからは没交渉だ。友人も以前は結構いたと思うが、今、連絡先を知ってるヤツは1人しかいない。

唯一の救いは家が持ち家であるため住む所には困らない位だろうか...などと取り留めの無い事を考えながら画面を見ている時だった。


「え?」


それは、カウントダウンが15770000になった時起こった。

今まで、カウントダウンの数字と来訪者を知らせるカウンター以外何もなかった画面上に突如アイコンが表示されたのだ。


「..................」


俺は、しばらく固まった後、食べ頃になったカップラーメンと箸をテーブルの隅に追いやるとマウスを操作してカーソルをアイコンに合わせてみる。


「押せるな」


カーソルが矢印から手のマークに変わる、要するにクリック出来るという事だ。すぐにでも押したい衝動に駆られるが、ちょっとまて!と力の入った人差し指をなんとかマウスから引っ剥がす。なにせ怪しさ満点のサイトだ、安易にリンクを踏むと碌なことにならない気がする。4のゾロ目なんて不吉なサイトを作るほどの制作者なんだ、フィッシング詐欺や、ウイルスの類かもしれない可能性だって十分考えられる。

俺は、心を落ち着かせるように深呼吸をすると、一旦カウントダウンの数字について考えてみた。


「1577万だったよな」


15770000という数字は、時間にして6ヶ月だ。つまり、この間の時から数字が0になる来年の4月までの1ヶ月が経過したって事になる。


「一月分の時間が経過したらアイコンが出た?」


そういう事なのだろうか...そもそもこのサイトがいつからあったのかは分からない。俺が見た時からカウントダウンされ始めたのか?。それはそれでなにか都合が良すぎる気がするな、一ヶ月ごとにアイコンが出るなら今までの経過分のアイコンがあって然るべきだ。


「いや、そうとも限らないよな、突然現れたんだから突然消える可能性だってある」


あとは...押すと消えるとか、明日には消えるとか...瞬きした瞬間に消えてしまうかもしれない。


「いや押すと消えるは無いか」


何故ならこのサイトに訪れたのは俺以外に居ないハズだ...俺がアイコンを押したことは無いのだから押すと消える説は無いはずである。まあもっともカウンターを信じればという事ではあるが。

時間で消えるのは有り得る。一番初めにこのサイトへ来た時にはアイコンは無かったと思う........。

表示されているアイコンの形は、正方形で白ぶちされた四角いボタンだ。なんの装飾もない。大きさもマウスカーソルより少し大きい位で特に特徴と呼べる物は無い。


「くそ もっと良く確認しておくんだった」


あの時はなんとも思わなく、すぐブラウザバックしてしまった。だからアイコンがその時にあったかどうかは正直自信が無い...自分的には無かった様に思うが絶対なかったか?と言われれば無かったと断定できるだけの根拠は皆無だ。


「カチッ」


俺はマウスを左クリックした。

内心バクバクしながら画面を凝視していたのだが、なにもアクションが起こらない。


「なんだ...ただのフェイクか...」


なんの反応もしない画面を見ながら、ため息まじりの愚痴を吐いた。完全にのびきったカップラーメンを手にし、蓋を開け箸でふやけた麺を掬い上げ口の中に押し込む....、そのヌルくふやけた食感に顔をしかめるも、貴重な食料を捨てる事など出来るはずもなく仕方なく栄養に変えるしか無かった。

ただ、アイコン押すと消える説は一番無いとされていたのにも関わらず、図らずも実証されてしまった事は実に遺憾ではある。画面にはクリック後のアイコンが無くなっていたからだ.........。


数日後

それは、いつもと変わらぬ日常....、いつぞやの謎のアイコン出現の事など忘れ去られようとした時、1つの奇妙な事件が発生した。


「あれ?おっかしいな~たしかもう一つあったバズなのに・・・」


俺は、戸棚をガソゴソと物をひっくり返しながら漁ってみるも目的の物はみつからない。


「っかしいなー 2個あったんだぞ?」


昨日の時点で2個あったカップラーメン...一個は食べたのだからもう一個残っているハズである。しかし、残しておいた戸棚にはカップラーメンの影も形も残っていない。誰か食ったか?いやいやいやこの家には俺しか居ないし、外出だってしていない。ドロボーが入ってカップラーメンを盗むなんてことがあるだろうか?


「そんなバカな」


自分にツッコミながらも頭の中はクエスチョンマークだらけだ。

もしや、自分が夢遊病かなにかで知らずに食べたのかもしれない...一応ゴミ箱を確認してみるが、昨日食べたカップラーメンの容器しか見当たらなかった。


「無いものはしょうが無い...か」


保存食として大手通販サイトで安い時にまとめ買いをしていたカップラーメンだが、ここんとこ毎食カップラーメンだった。残り2個になったのでまた保存用に買っとかなきゃなと思っていたのだが、カップラーメンばかりでは体に悪いとの何かの啓示なのだろうか?...仕方なく、冷蔵庫を開け中に入っている食べられそうな物を物色するが、まあ...中に食材が入っている訳が無い、人は分かっているのに無駄な行動を起こしてしまう奇妙な生き物なのだと、自分自身を客観的に分析してみた...。


「あほくさ...」


何を考えているんだと頭を掻きむしると、たまには外食でもするかと軽く身支度をして財布を持つと久しぶりに玄関の扉を開くのだった。



11月某日


「............」


いつもの様に例のサイトを見ていた俺は、ふとアイコンの事を思い出した。


「そういえば、もうすぐ残りが5ヶ月になるんだな...またあのアイコンは出てくるんかな?」


その日俺はPCの前で何故だかちょっと緊張しつつ画面を見つめていた。

カウントダウンの数字は後少しで13140000になる。つまり残り5ヶ月、謎のアイコンが現れた日から1ヶ月が経つ計算だ。


「出たな」


予想通り...と言っていいのか分からないが、画面上に現れたアイコンに、俺は拳をグッと握りしめる...体に自然と力が入っているようだ...。どうせフェイクなんでしょ?と思ってはいても、頭とは裏腹に何かを期待してしまっている自分がいるのも事実だった。

俺は早速マウスを操作し徐ろにアイコンをクリックしようとしたが、ふと一瞬頭の中を過ぎった思いにマウスを操作する手を止めた。

例のサイトに当たり前の様に現れたアイコン...これで1ヶ月毎にアイコンが出る事は何となく当っている気はしたが...ならこのアイコンはずっと表示し続けるのか、もしくは時間で消えるのかを確かめてみたくなった。


「どうせ、押した所でな...」


前回押したけど何かあった訳では無いし、今回押したら何かある訳じゃないだろう...そう思って今回は押さない事にした。ただ、一つ懸念があるとするならば、今回表示されたアイコンは白ぶちの三角。

前回が四角だったけど今回は三角...、これが何を意味するのかがまったく分からない...。


「四角のアイコンは何も起きなかった...三角だとなにかが...」


そうは思うが、検証は検証だ。アイコンを押したい気持ちを押し殺しコンビニで買ったおにぎりを頬張りながら、時計と画面を凝視し続けた。一応ずっと消えない事も考慮して、画面をキャプチャで録画する事も忘れない。


「なるほど...」


アイコンは1時間で消滅した。という事はアイコンをクリックするか、1時間経つと消えるという事なのだろう。三角の意味はわからないが。


「ま どうせ押した所でなんにもないだろうけどな...」


別に悔しくなんかない。そんな後悔とも諦めとも取れないような思いを浮かべ.....


「今日は他にやる事があるからな」


そう言いつつPCのサイトを切り替える。今日からamezonでセールが始まるのだ。

安い生活用品や食料などを次々とカートに入れ込んでいく。そうそう保存食のカップラーメンも忘れずに。


「あれ...どうなったんだろうなぁ」


ふと1ヶ月前のカップラーメン窃盗事件(仮)を思い出す。未だにあの時の事は納得できていない。まぁ歳だし?記憶違いということもあるだろうと自分を納得させようとしてたが、前日まで有り、その後の対応も考えていた物がなくなるというのはどうにも不安というか、納得できない気持ちが強いのだ。


「言ってもしかたないけどな」


その後はいつもの様にゲームや動画サイトなどで暇と時間を潰す毎日に戻った。

仕事?ああそんなこともあったよね...はは................。

この時の俺は、この後に起こる予想だにしない出来事を知る由もなくただ惰性で生きる事を選択する哀れな一般人だった。


初めまして。

Gと申します。

なろう好きで良く作品を拝見しているのですが、まさか、自分で制作する日が来るとは思いませんでした。

文章力、語彙力が足りない事、多々御座いますがお付き合い頂けたら幸いです。

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