父再 チチトノサイカイ
泉 幸多視点
俊和さんが宿まで送りましょうか?と言うので、僕はその言葉に甘えてしまった。
「本当にありがとうございます・・・いろいろと・・・」
「構いませんよ。それよりあの村から無事に帰って来れたんですね・・・何か呪われましたか?」
「い、いや特にそんなのは・・・肝試しでもしようかなと思って行ったんですけど・・・」
とりあえず誤魔化した。本当の事を言っても理解されないだろうし・・・・そんな中、ふと俊和さんを見てある事が脳裏によぎった。もしそれが本当だとしたらこの人は・・・・いや、思い過ごしだろうか?でも気になって仕方ない・・・
「あの・・・こんな事聞くのもアレなんですけど・・・俊和さんは・・・雲影村の出身なんですか?」
思い切って聞いてみた。僕の考えが正しければこの人は・・・質問して俊和さんは少し沈黙したが、その後で冷静に答えた。
「・・・いいえ。そもそも私はこの島の出身ではありません。元々私は島根の出雲出身でして、島にはちょっと・・・・ご縁がありましてね。それで移住してこっちに・・・」
「ご縁って事は・・・結婚を?」
「ええ、結婚して娘も出来て幸せの絶頂でしたが・・・20年以上経って妻は病気で死に、娘は大人になって島を去りました・・・・フッ・・・連絡すらしてくれませんよ・・・」
慧子さんが村で手に入れた家族写真。あの写真に写っている父親の顔を見てから、どうも気になっていた・・・誰かに似てないかと・・・いや、同一人物ではないかと・・・だがその謎がようやく分かった。
もしかしたらと思ったがやっぱりそうか・・・少し嘘が混じってるけど、話を聞いて確信したよ・・・間違いない・・・この人は・・・
「着きましたよ・・・・お代は結構ですから・・・」
「俊和さん、その娘さんって・・・・・・この人じゃないですか?慧子さん・・・いえ、今村 郁子さんの・・・」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・そういえば明日、夕陽が良い感じに見れるそうですよ?ローソク島に行かれてみては?」
「え・・・・・・?」
「福浦に遊覧船乗り場がありますので、よろしければどうぞ・・・さぁ行ってください。そろそろ帰りたいんでね・・・明日は忙しくなる・・・」
まさか・・・慧子さんをローソク島に!?そう気付いた僕は、何も言わず慧子さんを担いで、去って行くタクシーを見送った。明日行かなければ・・・・慧子さんを連れて・・・絶対に・・・
ーー月夜 慧子視点ーー
目が覚めたらベッドの上にいた。時間はもう昼過ぎ・・・飲み過ぎたか・・・うぅヤバ・・・気持ち悪い・・・吐きそう!トイレトイレ!!
「おはようございます慧子さん・・・あぁ・・・大丈夫ですか?」
「うえぇぇぇ・・・・ゲホッゴホッ・・・ハァ・・・ハァ・・・だ、大丈夫に見える?ハァ・・・ハァ・・・」
「慧子ぉ?こぉから船乗ぉのに、あんたぁそげなんで大丈夫なの?」
「え?・・・ふ、船?」
どういう事か聞いてみると・・・今日はローソク島が綺麗に見れるらしい。せっかく島に来たんだし見に行かないか?って話だ・・・・う~~ん・・・迷う・・・
「天気予報見たら、今日しか晴れないそうですよ?そっからは曇り続きで・・・」
「しぇっかく島に来たんだし、一つぐらい観光しょうや!」
何で二人共そんなに意気投合してんのよ?遊びに来たわけじゃないってのに・・・そりゃ私も行きたいけどパパが・・・う~~~~ん・・・・
『次は・・・福浦・・・福浦・・・終点です・・・』
考えた結果・・・観光を選んだ。今日しか見るチャンスがないなら行くしかない。パパを探すのは明日にするか・・・
「もう着くよ慧子ぉ!早よ起きれぇ・・・あっ!あそこが乗り場か?」
火が点いたローソク島を見るには遊覧船に乗らなけらばならない。私達は福浦にある遊覧船乗り場へバスで向かい、1時間揺らり揺られて・・・ようやく着いた。
それにしても・・・二人共どうしたのよ?何か妙にそわそわしてない?それとも・・・何か企んでる?
「どこだ・・・絶対にいるはず・・・・・あっ!いたっ!!」
泉君が遊覧船前にいる一人の男性に向かって走って行った・・・。・あれ?あの人って・・・俊和さん?
「慧子ぉ、ほら行きねぇ!・・・あんたのお父っつぁんよ・・・」
「え・・・・?」
父さん?え?え?父さん?え・・・・・・・・・パパ?俊和さんが・・・パパ?え?・・・ってか何で知ってんの?
「昨日ぉ泉君から聞ぇてさ・・・ちょっこしサプライズしよう思て、あんたが寝ちょぉ間に準備したんよ・・・ハハッ・・・ほら行きねぇ!」
姉さんに背中を押されたけど、緊張して全く動けない・・・・まさか・・・まさか俊和さんが・・・私の・・・私の・・・あっ!
「あ・・・・・あ・・・・・あ・・・・・・・・あ・・・・パ・・・パパ?」
「・・・・・・・・・・久しいな・・・・・・・郁子・・・・」
あのスナックで会った時から、変に怪しいとは思ったけど・・・まさか・・・この人が今村 新一・・・私の・・・・パパ・・・
読んでいただきありがとうございました!
次回・・・第1部最終話!!!!
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