感謝 カンシャ
月夜 慧子視点
荒神は言った。かつてこの島で、この村で八雲院 尊也が引き起こした事実を・・・八雲院は神の力を得る為に、兄の願神と弟の荒神を創った。しかし願神は、自分の力が強大なあまり欲深く、傲慢な性格ゆえに八雲院との神憑きを拒んだ。
これに激怒した八雲院は、願神を失敗作として見なし、魂卵剣と言う特殊な剣を使ってこの島に封印した。兄より弱い荒神も失敗作であると断定するが、八雲院は剣による力だけでは不十分と思い、荒神を鍵の役割を与え神憑きし、その封印を確実なものにした。
荒神が死ねば、封印の力が弱まって、すぐにでも願神は解放されるだろう。もしそうなったら、この世界は一体どうなるのか・・・全く想像出来ない。
『失敗作として処分するより、役割を与えて利用した。我が父はなんと身勝手な男か・・・皮肉にもその身勝手さは後世の者達に継がれ、それが絶対だと従っていたのだ』
「・・・・・・・・・魂卵剣って剣は?仮にもし願神が出て来たとして、またそれで封印すれば・・・」
『八雲院の死後、その剣は何処へと消えた。弟子に盗まれたという話もあったが、それは定かでない・・・弟子達は父を信頼していたからな』
弟子がいたとはねぇ・・・まぁそれはいいとして、剣が無い以上、どうやって願神を止めればいいのか・・・
『君に依頼したい。我が兄を・・・願神を滅してほしい。報酬はないがな・・・』
「でも・・・どうやって・・・?」
『それが分かれば君に依頼などしないさ・・・とにかく頼む。心配せずとも、兄は必ず君の所へ現れるはずだ・・・それまで備えれば・・・うぅ・・・』
その時、荒神の体の半分が灰となって消え、祭壇から転落した!
「荒神!!・・・だ、大丈夫!?」
『あぁ祭壇・・・この祭壇だ・・・・私は長い時を生き続けた。この祭壇で幾百も憑き、この祭壇で幾百も血と肉を喰らい続けてきた。そうしなければ生きていけないとはいえ・・・あまりに・・・苦痛たる日々だった・・・・・・それもようやく終わる・・・ようやく・・・』
体が徐々に灰になる中、荒神は祭壇を見て血の涙を流していた。その苦痛は想像を絶するものだったろう・・・とても考えられないわ・・・
『郁子・・・私は君の母、弥子の遺言に従い、この日が来るまで君を守護り続けてきた。どんな悪霊にも、獣にも、そして我が真実を知る者から・・・・あの娘には申し訳ない事をしたよ・・・だが仕方なかったのだ。まだ知られるわけにはいかなかったからな・・・』
荒神は私に真実を知られない為に覚ちゃんを殺した。そんな力があるなら王も殺してほしかったんだけどなぁ・・・なぜそうしなかったのか・・・・これは私の考えだけど、寿命が近かったから力を出せなかったんだと思う。
『衰えが来れば、それは死が近い証拠だ』かつて師匠が言った言葉だ。その言葉が今、荒神に突き刺さり、最期を迎えようとしてしている・・・・・もう何をしても手遅れだ・・・
『あぁ・・・・これでお別れだ郁子よ・・・この島にいる君の父に言っておいてくれ・・・『弥子との約束は守った』っと・・・』
「あ、荒神・・・・」
『うぅ・・・・兄を・・・頼むぞ・・・どうか頼む・・・兄を・・・』
消えていく・・・・灰となって消えていく・・・・・もう私に出来るのは、たった一つ・・・たった一つの感謝だけだ!!!
「荒神・・・今までありがとう・・・今まで守ってくれてありがとう!・・・助けてくれてありがとう!!うぅ・・・ありがとうございました!!!!!」
最後はどう感謝すればいいか迷って敬語になっちゃったけど、これが私の精一杯の感謝だ。すると、荒神が笑みを浮かべて・・・
『フッ・・・初めて感謝されたよ・・・いいものだな・・・・・・・・・・・』
そう言って荒神は完全に灰となり、風に乗って空へと舞って逝った・・・火の玉が消え、再び暗闇に包まれる中、空に一つの流れ星がゆっくりと流れている・・・・私はそれを見て心に誓った。
必ずやり遂げてみせる・・・願神を絶対に倒すと・・・!!!!
読んでいただきありがとうございました!
書いてて泣いた・・・
面白い!つまんない!と思ったら下の☆評価応援をお願いします。
☆1でも正直な感想でも大丈夫です。
ブックマークもいただけると幸いです。
何卒よろしくお願いいたします




