宴席 エンセキ
月夜 慧子視点
自室に籠り、首飾りのジャラジャラ音を聞きながら、今日の事を少し考えた。本当なら酒飲んでピザ食って寝たいけど、どうしても気になる事が一つある・・・どうして荒神は出て来ないのか?だ。真実を知った今、もう姿を隠す必要なんてないはず・・・だけど未だに姿を見せようとしない・・・
会って話がしたい。聞きたい事が山ほどあるからだ・・・パパやママの事や、村の事や、八雲院の事や、荒神自身の事や・・・どうしても知りたいの。なのにどうして出て来てくれないのよ馬鹿野郎・・・
「・・・・・・・・・チッ・・・ハァ~~・・・疲れた・・・」
何か眠くなって来た・・・・・何日も寝不足だった影響か、睡魔が否応なく襲って来る。もうとっくに夜だし、泉君や姉さんには悪いけど・・・・・寝るわ・・・・zzzzzzzzzzzzzz・・・・
「・・・・・ハッ!・・・え?・・・何ここ!?え!?」
目が覚めると・・・そこは海だった。プカプカと浮かぶ小船に私が一人、まるで海のど真ん中で遭難した気分・・・・・マジでここどこ!?っと思った瞬間・・・・夕陽が見えた。
向こうに先端が尖った岩が見える。先端に夕陽が重なって、まるでローソクみたいで・・・綺麗・・・まさかあれってローソク島?
『いつ見ても綺麗ね・・・・何年経っても色褪せてないわ・・・』
いつの間にか、船に一人の女性が座っていた。長い黒髪に巫女服を着た女性・・・勾玉の首飾りを着けてる・・・まさか・・・いやでも・・・そんなはずは・・・
「マ・・・・・・・・・マ・・・・・・・マ・・・・・ママ?」
『・・・そうよ。やっと会えた・・・郁子・・・大きくなったわね・・・』
間違いない・・・ママだ。あの夢で見た女性と同じだ。こんなにも近くに・・・・目の前に・・・私の・・・ママが!
『ようやくあなたに会えた。随分と時間がかかったわね・・・・この日をどれだけ待っていたか・・・』
「ママ・・・こ、これは・・・夢・・・なの?」
『う~~~ん・・・・さぁ・・・分かんねぇわ!!ダハハハハッ!マジおもれぇ!ギャハハハハハッ!』
え?そこ笑うとこ?ってか何よその汚い笑い方・・・・思ったよりイメージが違い過ぎてか、一気に緊張がほぐれちゃった・・・
『デへへへ・・・・それよりさぁ郁子ぉ!あんたこんなに大きくなっちゃってぇ!今何歳なった?仕事は?結婚してるの!?』
「あぁ・・・えっと・・・まだ結婚してないけど・・・」
『はぁ!?してないのぉ~~!?って事はぁまだ生娘ぇ!?マジでぇ!?信じらんなぁ~~い!孫見たかったのにぃ~!』
何でだろう?すっげぇムカついて来た。このクソババア・・・・本当に私のママなの?ただ嫌味言って来るババアの間違いでは?
『まぁいいや。こうして会えただけでも十分・・・荒神が約束を守ってくれたおかげね』
「え?荒神?」
『そうよ。死ぬ前に約束したの、『娘が真実を知ったら会わせろ』って・・・ここはその為の宴席。まぁ・・・あのローソクが消えるまでだけどね・・・』
分かんねぇって言ってなかったっけ?まぁとにかく、夕陽はゆっくりとだが、徐々に徐々に沈んでいってる。あまり時間は残されてないか・・・っとなると、ここでやれるのは・・・ママと話し合いする事だ。
聞きたい事が山ほどある。パパの事や荒神の事や村の事とか・・・・・でも何でかな・・・どれから話せばいいのか分からない。時間が無いのは分かってるんだけどでも・・・言葉が出ない!どうして!?
『・・・私が荒神と神憑きしたのは、ちょうど10歳の時だった。母が前任者だったの・・・私は母を継いで、荒神と共に生きる事を強いられた。村の掟で島に出られず、何年も何年も人の死を見続ける日々・・・・だからよく村を出て、町に行っては酒を飲んだり歌ったりしてさぁ・・・苦しい毎日を忘れようとしてたわ』
口が動けない中、ママが先に喋った。ずっとローソク島を見続けながら、自分の過去を語る姿を見て、可哀想に思えた・・・だけど・・・
『そんな時に、あの人に出会ったの。私達のパパにね・・・・すっごいイケメンでさぁ!一目惚れしちゃったわ!そっからは人生バラ色でもう最高で・・・・・あぁごめん!これ以上話したら憤死しちゃう!ヤバいヤバい・・・』
いやもう死んでるでしょうが・・・・でもそんな話を聞いてか、何か考えるの疲れちゃった。一番知りたい事は最後でいいかもしれない・・・逆に思い出話をもっと聞いてみたい・・・楽しい話をもっと・・・
「・・・ねぇママ?もっと聞かせて?なんでもいいからさぁ・・・」
「フッ・・・いいよ。娘の頼みだからね!じゃあまず最初は・・・郁子がおねしょした話でもしようかな?」
「そんな恥ずかしい話すんなぁ!!!!」
さすがにその話は無しで・・・とにかく時間ギリギリまで話そう。その方がこっちも喋れるから・・・
読んでいただきありがとうございました!
ゴミ屋敷は・・・ダメ!絶対!
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