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幽霊屋   作者: ダストン
第ニ章  無縁小僧
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火葬  カソウ

いよいよ最後の1匹・・・準備を終えると、慧子さんが僕の肩に手を置いた。


「泉君・・・最後の小僧をあなたに譲るわ」


「え!?」


「私がさっきやったようにすればいいの・・・はいお札!」


「えぇそんな・・・!」


「大丈夫よ・・・度胸見せなさい!」


マジか・・・最後の1匹とはいえ、慧子さんなしでやれるのか・・・不安と緊張、ついでに言えば責任という重圧がさらに重くのしかかり、今にも僕の心は潰れそうだった。








最後の無縁小僧を捕まえる為、僕は適当に墓を選び、お供え物を置いた。正直、知らない人の墓を参るのは気が引けるが、小僧を捕まえる為に仕方ないと自分に言い聞かせた。


緊張からか何度も深呼吸してしまう・・・僕は両手を合わせて目を閉じた瞬間、何かヒタヒタと足音が聞こえた。


「(き・・・・・・・来た!?)」


緊張でだんだん息が荒くなる・・・なんとか平常心を保とうと心の中で「(大丈夫、大丈夫だ!やれる!絶対やれる!)」と自分に言い聞かせた。だんだん足音が大きくなる・・・すぐ傍に誰かいると感じた瞬間、目を開くと・・・








「・・・・・・・・・・・うわっ!!」









お供え物をそーっと盗もうとしている無縁小僧が・・・目の前にいる!僕はビックリしてつい声を上げてしまい、そのせいで小僧に気付かれてしまった!


小僧は慌ててお供え物を盗み、逃げようと走った瞬間、僕は咄嗟の判断で小僧の両足を掴み、なんとか這いつくばって押さえた後、ポケットからお札を取り出して背中に貼り、小僧はビリビリと痙攣して動かなくなった。


「ハァ・・・・・ハァ・・・・や、やった・・・・」


「よくやったわ泉君!上出来上出来!(パチパチ)」


慧子さんからパチパチと拍手の音が聞こえる。それを聞いて僕はガチで失神しそうなぐらい疲れが一気にのしかかって来た・・・ほんの20分足らずの仕事が2、3時間のように長く感じる中、慧子さんは小僧を袋にササっと詰め込んでいた。


「よし!これで完了よ!泉君?早く起きて袋を全部車の所へ持って行って」


「えぇ!?まだ何かあるんですか!?ちょっとだけ休ませて・・・」


「早くしなさい!!」


「あぁもう!わ、わかりましたよ!ハァ・・・ハァ・・・ハァ~~~・・・」


まったく休む暇がない・・・僕は最後の気力を振り絞って、小僧が入った3つの袋を車へ運んだ。




僕は慧子さんの指示で、小僧が入った袋を車の後部座席の方へ乗せ、一方で慧子さんは依頼主から感謝とお金の入った封筒を受け取っていた。


「ありがとうございました!また何かあったらお願いします!」


「ええ、いつでも・・・・火葬の方は?」


「もちろん手配済みです!中央火斎(ちゅうおうかさい)に・・・」


「ありがとうございます・・・行くわよ泉君!」


「ハァ・・・ハァ・・・今度はどこへ行くんですか?」


「火葬場よ・・・中央火斎ってとこの・・・」


「中央火斎?確か京都火葬場の・・・どうしてそこに?」


「小僧を焼きに行くのよ・・・ほら早く乗って!」


火葬する?どうしてそんな事を・・・・とにかく僕達は車に乗って、京都市にある火葬場へ向かった。






数十分後・・・火葬場に到着すると、入口には黒スーツを着た職員が何人も並んで待っていた。


「・・・幽霊屋の月夜 慧子様でしょうか?」


「ええ、小僧は後ろにいるわ」


「では・・・後は我々が処理しますので、お気をつけてお帰り下さいませ」


1人の職員が後部座席に乗せた布袋を確認した後、他の職員達を呼んで全て持って行った。まるで棺桶を丁重に運んでいるように・・・事を終えた後、慧子さんは車を動かし、僕達は事務所へ帰った。


「お疲れ様泉君、これで仕事は終わりよ・・・」


「慧子さん・・・(なん)で小僧を火葬場に持って行ったんですか?」


「泉君・・・私達の世界じゃあ、ちょっとしたルールがあるの。哀れな小僧を浄化(じょうか)して魂を清めよってルールがねぇ」


「ルール?(なん)でそんな・・・?」


「昔のお偉いさんがそう決めたのよ・・・・魂が(けが)れてるだけだから救ってあげなきゃって思ったのかしらね?まぁそのおかげで、無縁小僧の火葬代は無料タダでやってくれるわ」


無料タダ!?なるほど、それで火葬場に・・・・」


「ええ、それにルールを守んないと、いろんな奴に敵に回す事になるから、それは絶対に避けたい・・・だからあそこへ来たのよ」


「鉄の掟ってやつですか・・・」


「そう、めんどくさい掟よ・・・まぁ無料(タダ)より安い物はないしね・・・・さてぇ!帰ってピザ食いますか!」


「またピザですか?本当に好きですね・・・」


「フッ・・・当ったり前よ!」


その後、僕達は事務所へ帰って即座にピザを注文した。慧子さんはいつものようにマルガリータを頼んだけど・・・僕はどっちかっていうと寝たい気分だった。

読んでいただきありがとうございました。


だんだん書くのが楽しくなってきました。これから書き続けていきます。




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