銀縁 ギンブチ
3月下旬・・・このところ慧子さんの様子がおかしい。変な夢を見るらしく、目にクマが出来るほど寝不足が続いている。病院で検査しても異常は発見出来ず、薬を飲んでも全く効果がない・・・
そのせいか仕事を全部キャンセルする日々が続き、僕はその電話の対応に追われる毎日・・・大丈夫かな?中旬までは何ともなかったのに・・・
「・・・・・・・・・・・・ハッ!あぁ・・・ハァ・・・ハァ・・・」
「あぁ慧子さん!大丈夫ですか?」
「ハァ・・・またあの夢を見た・・・ハァ・・・お茶持って来て・・・」
「は、はい!」
慧子さんが言うには、女の人が誰かに向かって叫んでいる夢らしい。荒神が何たらかんたらって・・・・・何かを暗示しているのか?それとも悪霊の仕業か?ただの夢ってわけではなさそうだが・・・
コンコンコンコン・・・・・・・・コンコンコン・・・・
その時、玄関をノックする音が聞こえた。玄関に向かうと、笠帽子を着けたお爺さんが立っている・・・まさか依頼?うちは電話の予約制なんだけどなぁ・・・
「あの・・・どちら様ですか?」
「小泉 雪江様の使いです。『これを持って至急松現に行き、銀縁 小五郎様に渡してほしい』との事で・・では・・・」
「あぁちょっと!逃げるの速いなぁ・・・」
南京錠が付けられた怪しいカバンを渡されて、お爺さんはそそくさと去って行った。あのスピード、どう見ても人間じゃない・・・あの雪江さんから頼まれるなんて・・・銀縁 小五郎って誰だよ?
このカバン・・・・ちょっと重いけど、一体何が入ってるんだ?これを慧子さんに話してみると、溜息を吐いた。
「ハァ~~アイツか・・・何で私等に頼むのよ?自分が行けっての・・・」
「あの・・・銀縁 小五郎って・・・誰ですか?」
「中立者の一人・・・妖怪顔負けの食いしん坊で、給料の8割を食費につぎ込む人間よ。カード持ってるでしょ?行って来て・・・おやすみ・・・」
そう言ってソファーに横になって眠りに付いた。あまり一人にさせたくないが・・・仕方ない。松現に行くか・・・
松現に行くにはカードだけじゃダメだ。店の名前が書かれている首輪をした猫がいないと行けない・・・僕は神社や路地に行って探し続けた。
ニャ~~・・・・
「ハァ~~~・・・・・やっと見つけた。はい・・・松現に行かせて」
ニャ~・・・・ググググググググググググググググググ
風船のように膨らみ、口が大きく開いた。やっぱ不気味だなぁこの入口・・・中に入ってジメジメとした薄暗い道を進み続け、ようやく松現に着くと、猫又さんと客が一人だけ・・・妙だな。
「よぉ兄ちゃん!久しいなぁ!ニャハハハ・・・!」
「お久しぶりです猫又さん。あのぉ銀縁 小五郎さんって人っていますか?渡し物があって・・・」
「あぁそこでドチャドチャ食ってる野郎だぁ・・・おい銀縁!おめぇの客だぁ!」
「あぁ・・・?」
白い髪に黒のワイシャツを着た男・・・・いやそれよりも、テーブルに大量の料理が並んでいるの見て唖然としてしまった。ラーメンやスパゲッティやオムライスやピザや餃子や唐揚げや寿司や牛丼やカツ丼・・・他にもいっぱいある・・・あれを一人で?どんだけ食うんだよ・・・!
「小僧・・・・俺に何か用か?・・・ってかどこのモンだ?」
「えっと・・・幽霊屋って事務所の者です・・・小泉 雪江さんが、これをあなたに渡してくれと・・・」
「幽霊屋ぁ?あぁお嬢がやってる事務所か・・・そんでぇ?雪江の姐さんがこれを?随分重てぇな・・・」
カバンを渡すと、銀縁さんは南京錠を素手で引き千切った。凄い握力だ・・・とにかく中を開けてみると・・・
「これって・・・・・・・・・・・・銃!?」
中には一枚の手紙と・・・・・・拳銃がいっぱい入ってる!マジか・・・僕こんな物騒なモン持って歩いてたのかよ・・・もし警察に見つかってたら・・・
「姐さんも物騒な事しやがる・・・うぅ~んと・・・内容は・・・・・なるほど。了解した・・・猫又!悪ぃが勘定頼むわ」
「はぁ!?まだ残ってんだろうがぁ!全部食ってから物言や!」
「心配すんな!後の分はこの小僧が食べるよ・・・・・急ぎの用が出来ちまった。ありがとな小僧、お嬢にもよろしく言っといてくれ。んじゃ・・・生きてたらまた会おうぜ?」
「え?・・・え・・・え?・・・えぇ・・・」
いやこんなに食えないよ・・・何十人分あると思ってんだ無理無理・・・銀縁さんは5万円以上の金を猫又さんに渡し、カバンを持って店を出た。
「全くこんなに残しやがってよぉ・・・兄ちゃん食うか?」
「い、いや結構です。お腹空いてませんから・・・それより、あの人はどこへ?」
「どうせ殺しだろ?アイツはそれの専門だからなぁ・・・元ヤクザの鉄砲玉で腕はいいが、こんなに食い意地張りやがる・・・困った人間だぜぇ」
人間離れした食欲と握力を持つ元ヤクザか・・・中立者は人間でも変わり者が多いんだな・・・
「ほらよ兄ちゃん!余り物捨てんのは勿体無ぇからよぉ、これ全部やるから好きに持って帰んな!」
「いいんですか?じゃあ・・・・・・・遠慮なく」
大きめの保存容器を幾つか貰ったから、いろいろ持って帰って慧子さんにあげよう。まずはピザだな・・・シーフードだけど食べるかな?
読んでいただきありがとうございました!
いよいよ第1部最終章・・・スタート!
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