結成 ケッセイ
その写真には雪江さんを含めて6人写っている。中立者を作った創設メンバーの写真だそうだが・・・
「真ん中にいるのは西王の娘、山本 彦夏。中立者の初代総司令官だ。そんでぇここにいるのは今の総司令官の六尾。それと雪江と、ぬらりの旦那と、蜘蛛の絡新帝、そして人間代表の南 金左衛門!ニャハハ!最強のメンツよ!」
「は、はぁ・・・」
確かに何人か武器を持ってるし、強そうなメンツではあるけど、雪江さん以外知らないんだよなぁ・・・しかしこの人間代表さん、かなり顔がいかつい・・・
「そもそも中立者が始まったのはなぁ、西王と東王、そして人間・・・この三つの勢力が和平協定を結んだのがきっかけなんだぜぇ」
「協定?」
時は江戸時代にまで遡る。この時代の裏では、二つの勢力が密かに争っていた。東に件の王、西に山本五郎左衛門。天下を取るべく、お互い熾烈を極め、血で血を争う戦いが続いていた。
そんな中、妖怪退治に精通する人間達が第三勢力として乱入。時が流れても三つ巴の戦いが続き、徐々にその勢いは弱まっていった。
これ以上はもう戦えず、ただ疲弊していく最中、左衛門の娘である彦夏が『和平を結びましょう』と父に願い出た。必死の説得にようやく左衛門はこれを承諾。二つの勢力もそれに賛成した・・・・これが三勢和平協定と言われている。
もう二度と争わないと誓う協定・・・・それをより強く結ぶ為に結成されたのが、山本 彦夏を筆頭とする「中立者」。人間と妖怪のパワーバランスを保つ番人たる組織。この組織がある限り、絶対に戦争は起きないそうだ。
これが中立者という組織の全て・・・・そんな歴史があるとは・・・まるでドラマみたいだ・・・
「彦夏の姐さんは武勇に優れて、正義感が人一倍強く義理堅い性格でよぉ!たまに天然なとこもあるが、皆にゃ好かれるほどカリスマがあった。まぁ酒は弱かったけどなぁ!一口飲んだらすぐ酔っちまうんだ!ニャハハ・・・だけどよぉ・・・」
「だけど?」
「仕事でヤバいミスしちまってぇ、その責任を取る為に辞めやがったんだ。その後で総司令官の座を狐の六尾に譲ったんだが、それっきり音沙汰なくてなぁ・・・・どこ行ったんやら・・・」
行方知れずか・・・父の西王の元へ行ったんじゃないか?と聞いてみたが、それも分からないらしい。王は『ノーコメント』だと・・・怪しさ満々だな・・・
賭けに負け、オムライスを食べ終えてお腹いっぱいに満足した時、雪江さんと慧子さんが帰って来た!でも何か・・・がっかりしてる顔だ。どうしてだ?まさか王に会えなかったとか?
「慧子さん・・・王は?王に会えました?」
「会えたわ・・・・でも・・・・ハァ~~~~~~・・・・」
「?・・・雪江さん、あの・・・」
「私に聞くな・・・」
マジで何があったんだ?無事でよかったけど、どうにも腑に落ちない。一体・・・向こうで何が?
「さっさと帰るわよ・・・もう疲れたし・・・・ほら行こ」
「えぇ・・・・・・・あぁはい・・・」
「おい待ちな兄ちゃん!これやるぜぇ!!」
猫又さんから「松現」の名前が書かれた白いカードを貰った。これってまさか・・・この店の会員カード?
「ニャハハハッ!特別にやるよ!いつでも来な!大歓迎するぜぇ!」
「・・・・はい!また来ます!」
僕は雪江さんと猫又さんにお礼を言った後、松現を出て外の世界へ戻って来た。もう夜だ・・・・辺りは暗く、路地に並ぶ店はどこもかしこも閉店している。そりゃそうか・・・
慧子さんは大仁さんに会員カードを返した後、一緒に事務所へ帰った。気まずい空気が続き、何を話しても「うん」とか「ふ~~ん」とかしか言わない。そうなるともう黙っているしかない・・・そうするしか・・・
事務所に帰り、慧子さんは何も言わずすぐソファーに横になって、毛布に包まった。これ以上僕が出来る事ないし、もう家に帰るしかないか・・・
「・・・じゃあ僕帰りますね・・・お疲れ様でした・・・」
「一つ・・・・聞いていい?あの時・・・目が覚めた後、どうして孤集があるって分かったの?しかもあんな正確に・・・」
「それは・・・何ていうかその・・・夢を見たっていうか・・・その夢に出て来た奴に教えてくれたんです。誰かは知らないけど・・・」
ここ掘れワンワンって言ってもふざけてんのか?って言われそうだし、ここは素直に言おう・・・・っといってもあれがただの夢か何なのか、自分でも分からないしなぁ・・・
「夢か・・・・・・・・・・・・お疲れ様!また明日ね」
「・・・は、はい!お疲れ様でした!」
ようやく笑顔を見せてくれた。ここへ帰って来るまでずっと暗い顔だったからな・・・その顔を見て安心した!明日も頑張ろう!!明日も・・・!
読んでいただきありがとうございました!
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