失望 シツボウ
月夜 慧子視点
『お前が欲しい真実は・・・・余が言わずとも・・・もうすぐ終わる!』
それを聞いて・・・一体どういう意味かと思う反面、私の心にある期待が失望へと変わっていった。どうして?どうしてそんな事を言うの?
『川は流れ続け、最後は溜まり場にたどり着く・・・それと同じだ。もうすぐお前の過去は白日の下に晒される。何も・・・問題はない。それまで平凡に時を過ごせばよいのだ』
「ちょっと待って・・・それってどういう意味?どういう意味よ!?」
『フフフフフフフ・・・・・怒りを募らせておるのか?自分の過去など、所詮過ぎ去った嵐の如く。ただ受け入れ、愛する者と歌えばよい・・・・・・今村 郁子よ』
「い・・・・・・・・今村・・・・・郁子?・・・ウッ!!」
その名前・・・どこかで聞いた名前・・・・誰だっけ?誰だっけ・・・そう思った瞬間、突然、頭が痺れるように激痛が走った。女性の声が・・・男の声が・・・・兎の声が頭に響いて来る・・・何なの・・・これは・・・
「慧子!どうした!?」
箱を持っていられないほど、頭がズキズキして痛い。両手で頭を押さえても、激痛が増すだけ・・・そんな中、一人の女性が浮かび上がった。巫女さんのような服装で・・・首飾り・・・勾玉だ・・・紫色に輝いた勾玉の首飾りが・・・
「慧子!」
「ハッ!・・・・ハァ・・・ハァ・・・ハァ・・・い、今のは・・・」
雪江さんの言葉で気付いた。まだ頭がズキズキする・・・・痛い・・・あの女性は一体誰?誰なの?もう分からない・・・頭がくらくらする・・・
『過去はそれで十分。だが未来はどうなるやら・・・これが難しい。余の力を以てしても、結果は見通せぬ』
「ハァ・・・ハァ・・・ハァ・・・・・え?・・・」
『この先・・・お前が最も信頼する少年は、選択を迫られよう。全てを受け継ぎし修羅となるか・・・神を捨て人間となるか・・・・どちらも辛い選択だ。さすればお前は、その少年の為に何が出来る?何を信じる?何を犠牲にする・・・?』
何言ってんの?言ってる意味が理解出来ない・・・選択?修羅?神を捨てる?それに少年って・・・まさか・・・・・・・泉君?
『フフ・・・まぁよい。その時はその時だ。さて・・・この椀を余に献上した褒美だが・・・お前が気になっている事を教えてやろう。お前の師、千鶴子の事だ』
師匠の?確かに聞きたい事ではあったけど・・・ってかまだ話は終わってないんだけどぉ!!変えるなってのぉ・・・
『かれこれ40年以上も前・・・京で評判の良い霊師がいると聞いて、余は庭園に招いた。当時、千鶴子はまだ若く血気盛んで、愛しい男との夫婦の契りを交わし、子種も宿していた・・・千鶴子にとっては、この上ない幸せであろう』
「・・・・・・・・」
『だが余は予言した!『お前は子など産めぬ!どれだけ孕もうと子に死は免れぬ』となぁ!!カッカッカッカッカッカッ!後にその通りになったであろう?んん~?カッカッカッカッカッカッ!!!』
師匠は私に・・・・『夫に恵まれても子には恵まれず、二度も流産した』と、自分の余命が分かった時にそう言った・・・・・それを思い出してようやく分かった。なぜ師匠がそれ以上の事を言わなかったのかを・・・
そりゃ誰にも言いたくないわ・・・・・私でもそうする。頭痛よりも怒りが増して来る・・・このクソババア・・・人をバカにしやがって!!
「この・・・このクソ野郎!!!!」
「ま、待て慧子!やめろ!」
もう王様だろうが何だろうが関係ない!!雪江さんが止めても、私はコイツをぶん殴る!いやもう殺してやる!!そうしないと気が済まない!!!
『カッカッカッカッ!そうだ・・・その目だ。かつての千鶴子も同じだった。余を殺そうと怒り、殺気立っておったなぁ!カッカッカッカッカッ・・・・!!!』
雪江さんの制止を振り切って殴ろうとしたが、王は煙のように消え、私はプールに落ちた・・・そんなに深くないけど・・・
「・・・プハッ!ハァ・・・ハァ・・・ハァ・・・おい!!このクソババア!逃げんのかゴラァ!?」
『カッカッカッカッカッカッカッ・・・・そうだ。それでよい!その活気があれば偽りの神に勝てようぞ!よいか?大事なのは過去でなく未来であり結果だ。お前がどんな未来を掴むのか楽しみだなぁ!カッカッカッカッカッ!!』
「慧子・・・・・」
「ハァ・・・ハァ・・・ハァ・・・・クソッ!!!!!!!!」
高笑いした後、王は去って行った・・・何もかも静かになったけど、私の心は怒りと失望でいっぱい・・・イライラが止まらない・・・・・ごめん、師匠・・・
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心が寒い・・・
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