件王 クダンノオウ
月夜 慧子視点
件の王の存在を知ったのは・・・私が高校生の時だ。
義父さんが教えてくれたのが始まりだった・・・「神と妖怪の間に生まれた奇跡の存在。その眼はその者の過去と未来を見通し、全ての理と万里の知恵を司る者」だと・・・それを聞いて私は、心の奥底で王に会ってみたいと願った。
大学時代・・・・私は師匠に詳しく聞いてみると、師匠は昔、王に会った事があるらしい。夫の信彦さんと結婚して数日経った日に、府立植物園に招かれたそうだけど・・・それ以上は言わなかった。何度聞いても「黙れ」の一言がパンチのように飛んで来る。王と何を話したのか・・・それは最期まで教えてくれなかった。
とにかく私は長い間、恋焦がれるほど待ち続けた。それがついに・・・・ようやく会える!この日をずっと待ち望んでた!!私の過去を知れる唯一の希望!!!あぁ~ドキドキして来たぁ!!!!
六尾さんが言うには、王は屋敷にある室内プールにて、物思いにふけっているそうな・・・こんな寒い時期にプールなんてねぇ・・・温水かな?
「この扉の先に王がおられます。月夜さん、どうか無礼のないよう・・・雪江?君もだぞ?」
「フンッ・・・分かってる」
「私はここで待っています。では・・・どうぞ」
私は椀が入った箱をギュッと握りしめ、重い足を一歩一歩・・・・ゆっくりと前に進み扉を開けた。いよいよ王とご対面だ・・・
扉を開けると、辺りは霧に覆われていた。かなり広い・・・・静かだが僅かに水が流れる音がする・・・どこ?どこに王が?
『雪江、よく来たな・・・・・・そして、月夜 慧子・・・待っておったぞ』
深い霧の中、老婆のような声がどこからか聞こえて来た。まさか王が・・・・・・どこ!?どこにいるの!?
「慌てるな慧子・・・東王!さっさと出て来い!それとも本名で言ってやろうか?白麟!!」
『フフフフフ・・・余の本名を言う者はお前と六尾だけだ・・・えぇ?朋よ』
霧が薄くなった瞬間、プールの水面を歩く老婆が一人・・・大きい!見上げるほど大きく、腰が曲がっているのか杖を突いている。腕が4つに牛のような両足、牛の角を4本、白髪が水の底に届くほど長い・・・そしてその目は黄金に輝いていた。
これが件の王・・・まるで賢者のような風格。東の王が今私の目の前にいる・・・待ち望んでいた王が今!
『んんんんんんん~~~~・・・・雪江よ。先の九尾の揉め事、深く怒りを表しておるな?だが彼奴の術中にハマる必要なぞない。気にする必要なぞないのだ』
「相も変わらず楽観的だな貴様は・・・・だから九尾が言う事を聞かんのだ!あの調子では、いずれ王の座を狙って来るぞ?」
『フフフフフフ・・・フフフフフフフ・・・・・その時はお前達に任せる。中立者ならば問題なかろう?んん?カッカッカッカッ!』
お偉いさんは慢心しやすく楽観的だと言うけど、まさにこの事ね。それは妖怪でも変わらないか・・・そろそろ本題に入ってほしいんだけどなぁ・・・
『本題に入ってほしいかぁ?月夜 慧子ぉ~~?んんん~~?』
退屈顔をしてしまったからか、王が気付いた。圧倒するほどの眼力・・・・それは何を見通しているのか・・・過去?それとも未来?
『んんんんん~~~~~・・・んんんんんん~~~~~・・・・月夜 慧子、幽霊屋二代目所長にして、先代の高橋 千鶴子の弟子・・・ここへ来たのは、過去を知りたき事であろう?』
「あ・・・そ、そうです!偉大なる東の王!お、お会い出来て光栄です!どうか私の過去を・・・真実を!」
やっと聞ける!ようやくだ!本当に長かった・・・ようやく真実を!
『お前が欲しい真実は・・・・余が言わずとも・・・もうすぐ終わる!』
「・・・・・・・・・・・え?」
それを聞いて・・・一体どういう意味かと思う反面、私の心にある期待が失望へと変わっていった。
読んでいただきありがとうございました!
最近、「三国志」や「項羽と劉邦」時代劇ドラマにハマってます。マジで面白い・・・
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