総司 リーダー
月夜 慧子視点
雪江さんには秘密ある、それは未亡人であるという事だ。知ってるのは私を含めて一部の者だけ・・・昔、雪江さんは一人の人間の男を愛した。だけど病弱で余命幾ばくもない・・・それでも心の底から愛し、夫婦として契りを結び夫の最期を看取った。
未亡人になっても・・・・雪江さんはその人を今も想い続けている。それは逆に、言ってはならない禁句。もしそれを言ってしまったら、殺してでも黙らせるってぐらい怒るからだ。
「何ぞ?怒っておるのか?妾が其方の過去を罵ったとでも?」
「ちょっ、ちょっと雪江さん!落ち着いて・・・冷たぁ!」
触ろうとしたら凍えるぐらい冷たい・・・おいおい、これはヤバいわ。下手したらこの屋敷をぶっ壊しかねない・・・マズイマズイ・・・
「フッ・・・冷たき女よ・・・妾と干戈を交えるか?そうなれば、中立者としての立場が危うくなるぞ?東王の重臣を何の罪無く、感情だけで殺めるなどと・・・・分かっておるのか?」
「や、やめて雪江さん!」
あぁもうヤバい・・・・このまま九尾を殺ってしまったら、雪江さんは責任として重罪人になってしまう!最悪処刑されて・・・それだけは絶対・・・!
「小泉様・・・・長らくお待たせ致しました」
一触即発の状態の中、ようやく天狗が帰って来た!!でもこの状態をどうやって?手遅れにもほどがある・・・
「小泉様、東王様がお待ちです。ご案内致します。それと・・・・月夜 慧子様、あなたも・・・」
どうして私の名前を?まだ言ってもいないのに・・・・もしかして王が言ったの?全てを見通す力を持ってるから・・・それを聞いて雪江さんはグッと怒りを抑えたが、九尾は納得していなかった。
「おい、使いよ・・・王がそうおっしゃったのか?」
「はい、こうも言っておられました。「邪魔立てせず通せ九尾」っと・・・」
「ハッ!ハッハッハッ・・・されど納得出来ぬなぁ!いかに東王の命令であられても、其方の振る舞いは目に余る行為!その罪は断じて捨て置けぬ!」
自分から喧嘩売っといて何言ってんのコイツ・・・・・私も腹が立って来た。その腐ったニヤケ面、雪江さんの代わりにぶん殴ってやりたい!マジでムカつく!!
その時・・・・
「ならば私が責任を取りましょう母上!!!」
屋敷入口から青い着物を着た若い女性がやって来た。白い六本の尾がある・・・・まさか!
「母上・・・理由はどうあれ、雪江がした事は侮辱の極み。なれどその責任は上司である私が取ります」
「六尾・・・お前・・・!」
「どうぞ!煮るなり焼くなり何なりと・・・それで雪江の罪が許されるならば本望です!どうか・・・」
やっぱりこの人が九尾の娘、六尾・・・王の忠臣。中立者の総司令官。姿を見たのは初めてだわ・・・彼女は母親である九尾に頭を下げ、全員が沈黙する中・・・・九尾が笑った。
「ハッ!ハッハッハッ・・・・ハッハッハッハッハッ!聞いたか雪江よ?我が聡明たる娘が許しを請うたぞ!煮るなり焼くなりとなぁ!ハッハッハッハッ!!!」
「「「「・・・・・・・」」」」
「フッ・・・よかろう。雪江、この罪は我が娘に免じて不問とする。だが次は無いと思え?六尾よ、妾は先に栃木に帰郷する。お前も早く帰って来るのだぞ?」
「・・・・・・・・はい、感謝します母上」
そう言って九尾は高らかに笑いながら去って行った。バクバクと心臓が止まらない・・・溜め息しか出ない・・・いろんな意味で怖すぎてしんどいわ・・・
ひとまず落ち着く為に私達はラウンジにあるソファーに座り、雪江さんが拗ねている間、私と六尾さんとで自己紹介し合った。流石は中立者のトップ。人間に対して礼節をわきまえてる・・・母親とはえらい違いね。
「先程は大変失礼しました。なんとお見苦しいや・・・・お恥ずかしい限りです。母に代わり、お詫び申し上げます」
「全くだな・・・傲慢な女狐め・・・相も変わらず腹が立つ!」
「・・・・どうして雪江さんに喧嘩売るような真似を?」
「母は・・・我が組織を潰す大義名分を得ようと狙ったのです。好戦的な性格故、組織を誰よりも嫌ってますからね・・・だからあのような真似を・・・」
中立者を潰す為に雪江さんを怒らせるなんて・・・・とんだ悪党だわ。もし組織が無くなったら、妖怪と人間との全面戦争は避けられない。日本がヤバい事になるでしょうね・・・
「とはいえ母は白麟様の重臣。権力が強く、私でも止めるのは難しい・・・何とかしたいとは思ってるんだが、こちらも大義名分が無い以上、動く事は出来ん」
「フンッ・・・詭弁だな・・・もういい行くぞ慧子!六尾!お前が案内しろ!」
だいぶイラついてる。まぁ雪江さんには屈辱だもんねぇ・・・私と六尾さんは溜め息を吐いた後、王の元へ歩きながら、孤集について経緯を説明した。ともあれよかった・・・ようやく王に会えるわ。
読んでいただきありがとうございました!
次回、王様登場
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