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幽霊屋   作者: ダストン
第十七章  妖怪東王
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九尾  キュウビノヨウコ

月夜 慧子視点

泉君・・・(なん)で行かないんだろう?王に会えるのよ?自分の未来とか聞きたくならないのかな・・・まぁこればっかりは我儘(わがまま)聞くしかない。彼が孤集を見つけたんだから・・・


雪江さんの会員カードで外に出ると、そこは誰もいない駐車場だった。すぐに雪江さんの車に乗ったけど、すっごいソワソワする・・・乗った事のない高級車だからか・・・ってか前より進化してない?前は確かボルボじゃなかったっけ?


「な・・・何この車?」


「ランボルギーニだ・・・汚すなよ?」


「えぇ!?」


中立者ってそんな景気良いの?まぁ雪江さんはキャリア結構長いし、こんなヤバい車買えて当然か・・・しかもめっちゃ(はえ)ぇし・・・





数十分後、ようやく王がいる場所に到着した。森の中に大きな屋敷が見える・・・随分とまぁ高級感がハンパないわね・・・


「着いたぞ・・・ついて来い」


「こ、ここに王が?」


「ああ、奴だけじゃないがな・・・」


他にも?王様の家臣(かしん)とか?ともあれ、雪江さんについて行き、屋敷の中に入ると、これまた洒落(しゃれ)たエントランス。和風チョイスだけど、豪華なシャンデリアに壁一面に流れるアクアウォール・・・凄い場所ね。



「これはこれは小泉(こいずみ)様。人間をこの地へ()れるなど・・・どのような御用件で?」



執事姿をした天狗が私達の方へやって来た。随分と長い(ひげ)ね・・・ここのコンシェルジュかな?


「王に献上品を届けに来た。本物の孤集をな・・・直接(じか)に会って渡したい」


「おぉそれはそれは・・・見せても?」


天狗は綺麗に整った長い(ひげ)を髪の毛のように()でながら、本当に本物の孤集なのかを確認を求めた。なら当然、彼の()()()()()()()まで!


「おぉこれは・・・これは・・・・まさしく(まこと)の孤集。実に()()()()ですなぁ?表の世界に出られたのは・・・・かしこまりました。しばしお待ちを・・・」


そう言って確認し終えた天狗は王の元へ向かって行った。いよいよだ・・・いよいよ王に会える。この日をずっと待ってたんだ!それがようやく・・・ヤバい!ドキドキが止まらねぇ!


「分かってると思うが・・・無礼のないようにな?」


「そ、そりゃもちろん!わ、わ、わ、わ、分かってるわよ・・・!」


「フッ・・・・・・・・ん?」


その時、雪江さんが嫌な顔をした。向こうから誰か来る・・・白い髪をして、キラキラ光る金色の着物を着た女性・・・デッカイ尻尾だ・・・



「おや?これはこれは・・・何用(なによう)で参った友よ?妾等(わらわら)はもう帰郷(ききょう)の時ぞ?」


「チッ・・・九尾(きゅうび)・・・もう栃木(とちぎ)に帰ったかと思ったが・・・」



九尾?もしかしてあの九尾(きゅうび)妖狐(ようこ)!?王の重臣(じゅうしん)であり、妖狐(ようこ)達の統率者(とうそつしゃ)。派手好きな性格としても有名な妖怪だけど、まさかこんなとこで会えるとは・・・


「んん?何故(なにゆえ)人間がおるのだ?ここはお前のような匹婦(ひっぷ)が来る場ではないぞ」


「私の連れだ。それより娘の六尾(むび)はどうした?」


(ひさ)しく京都(きょうのみやこ)に来るでなぁ、伏見(ふしみ)にて稲荷(いなり)を買いに行きおったわ」


確か九尾には二人の娘がいる。姉の六尾(むび)と妹の三尾(みび)・・・六尾は王の忠臣(ちゅうしん)であり、外交役(がいこうやく)。そして中立者の総司令官(リーダー)。多くの妖怪達からの信頼も厚い妖狐だ。一方で三尾はあまり良い噂はない。かなりイカれた奴だと聞くけど・・・


「もうじき帰ってこよう・・・・それでぇ?何用で参った?娘に会いに来たというわけではあるまい」


「王に献上品を届けに来た。欲しがっていただろう孤集を?持って来たんだ」


「ほぉ・・・・あの老怪(ろうかい)が作った椀か。されど何故(なにゆえ)人間を連れて来る?其方(そち)一人で来ればよいものを・・・」


「コイツが苦労して椀を見つけたんだ。会うに道理はあるぞ」


「ハッ!ハッハッハッ・・・よいか雪江、我が主君(きみ)西王(せいおう)と人間との三勢和平協定さんせいわへいきょうてい以降、人間(だれ)とも会わぬと誓われた。仮にお許しになられても、(わらわ)が許さん!野蛮(やばん)(けが)れた人間なぞに会わせるものか」



思い出したわ。コイツ、かなりの人間嫌いだって事を・・・ここまで来て、まさか九尾に(はば)まれるとはねぇ・・・早く帰って来てさっきの天狗!!


其方(そち)だけ会うならば分かる。何せ其方(そち)は、王のお気に入りぞ。多くの者達からの信頼も厚い。だが未だ・・・新たに婚姻(こんいん)せず未亡(みぼう)のまま・・・」


「・・・・・・・・・何が言いたい?」


「誤解するでない。(わらわ)はただ、其方(そち)を案じてるだけぞ。何故(なにゆえ)一歩進まず、未だ(やまい)に果てた夫を(おも)う?とうに終わった男女の(ちぎ)りぞ?どうも理解出来ぬからなぁ・・・フフフフ・・・」


「貴様・・・!」


地面がピキピキと凍ってる・・・マズイ!雪江さんが怒った!言っちゃならない事を言ったから・・・早く止めないと・・・ってか天狗さん早く帰って来てぇ!!

読んでいただきありがとうございました!


やっぱ慧子視点の方が書きやすい・・・


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