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幽霊屋   作者: ダストン
第十七章  妖怪東王
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椀湖  ワンノミズウミ

月夜 慧子視点

孤集(こしゅう)・・・・中立者の創設メンバーの一人であり、御意見番(ごいけんばん)であるぬらりひょんが(みずか)ら製作した陶器(とうき)。月をイメージして作られたのか、内側の中心に黄金色(こがねいろ)に輝く丸い印が施されている。陶芸作品として見事だが・・・・実際は()()()()()()として有名だ。


「王はあの椀が欲しいって言うの?いくらなんでもそれは・・・」


「まぁ無理だろうな・・・()()()()()()()()()()は、誰もが本物を手にする事なぞ不可能・・・しかも猶予は明日の夜だ」


「明日!?明日()つの!?どうしてもっと早く・・・!」


「無理だと思ったからだ!この40年、本物を見た者は誰もいない。誰も手にしていない!正直・・・悩みに悩んだ。お前に話すべきかを・・・すまない」


雪江さんが(しぶ)るのも無理ない・・・()()()()()()()()()()()なんて不可能に近いからだ。私も昔、挑戦した事あるけど3分でギブアップした・・・・そもそもあれを挑戦しようだなんて無謀極まりないわ。


「諦めろ慧子。今回ばかりは・・・」






「やるわ・・・・明日の夜まで見つけりゃいいんでしょ?」






やるしかない・・・・僅かな望みに賭けるしかない!私は王が来る日をずっと待ち続けて来た。何年も何年も・・・・だから絶対に本物を見つけてみせる!!こんなチャンス二度とないんだから!


「慧子、気持ちは分かるがお前一人じゃ・・・」


「私はずっとこの日を待ってたの。自分の過去を知る為に・・・・命を削ってでもやってやるわ!」


「ハァ~・・・言うと思った・・・・それならあの子は?助手はどうした?」


「この(けん)は・・・私の問題よ。泉君は関係ない・・・じゃあまた明日ね」



椀がある場所は知ってる。もう時間がない・・・徹夜してでもやってやるわ!








松現を出て外の世界へ戻った後、私は大仁(だいに)さんがいる店へ向かった。実はあまのじき路地には秘密の洞窟があって、その洞窟の入口が・・・この店の裏にある。


「おや慧子さんお帰りで・・・」


「孤集に挑戦したいの。リベンジってやつよ・・・今回は3分で終わらせないわ。だからやらせて!」


「おぉほぉ!?やるんですか!?こりゃ面白い!!この数年、挑戦者なんて一人も現れませんでしたからねぇ・・・よろしい!ではご案内致しましょう!」



奥の作業場へ向かい、押し入れを開けると重苦しい風が吹いて来た。先が見えない暗い洞窟・・・電気を点けて薄暗い階段を降りると、そこにあったのは・・・孤集の(みずうみ)だった。



「・・・・・・・・・・・・前より増えてない?」


「そうですか?いつもと同じに見えますけど?」


孤集がなぜ史上最悪の椀とされているのか・・・それは、()()()()()()()からだ。つまり椀に触ってしまうと、そこから偽物の椀がポンポンと出て来る。それはまるでポップコーンのようにポンポンと・・・


この洞窟は本来、孤集を保管する為に作られた場所だが、いつしかそれは宝探しとして遊ばれるようになり、その結果・・・偽物が大量に増えてしまって大きな湖となった。


私がこれからする事は、この偽物の湖からたった一つ、本物の孤集を探し出すことだ!当然、こんなの無謀だって分かってる・・・でも王に会う為にやるしかない!


「はい慧子さん、防護服です!」


偽物とはいえ普通の陶器と同じで、ヒビが入るわ割れるわ・・・そのまま湖に飛び込んだら血だらけになるのは当たり前。最悪死ぬ・・・そうならないよう防護服を着用しなければならない。



「さて、本物か何か・・・・覚えてますよね?」



「ええ、マークが付いたやつでしょ?分かってる・・・」


誰が付けたか知らないけど、本物にはペンで描かれた(バツ)マークがある。それが最大のヒント。(さいわ)い偽物にはマークが無い・・・それだけが唯一の救いか・・・


「そんじゃ頑張ってください!期待してまっせ?ほな!!!」


「え?手伝ってくれないの?」


「ええ、私はもう偽物を見るのは嫌なんですよ。アレルギー起こしちゃいそうでね・・・ほな!」


助けてくれないか・・・泉君、連れて来たらよかったかな?いや、弱気になったらダメだダメ!これは私の問題なんだから・・・一人でやるしかない!

読んでいただきありがとうございました!


ここんところ良い事ない・・・


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