新始 アラタナハジマリ
月夜 慧子視点
・・・あれからもう10年以上経ち、私達は大人になって再会した。
真弓ちゃんは今、岐阜にある理髪店で働いていて、毎日忙しながらも真面目に頑張ってるそうな・・・・これを聞いて私は内心ホッとした。引っ越しても元気でやっててよかったからだ。
そしてもう一つ・・・・・・・嬉しい知らせが・・・・
「私・・・・・・・・・もうすぐ結婚するの」
姉さんが入れたお茶を飲んだ瞬間に告白したからか、口に含んだ茶を思いっ切りぶちまけてしまった。あの真弓ちゃんが・・・結婚・・・・・それを聞いた姉さんが泡吹いて倒れた。
「た、貴子さん!?」
「け、結婚・・・結婚・・・結婚・・・結婚・・・結婚・・・結婚・・・」
「結婚」は姉さんにとって禁句の言葉。だからといって気絶するほど?まぁ姉さんは放っておいて、まさか真弓ちゃんが結婚するとはねぇ・・・こんなにハッピーな新年はないわ。
「店の先輩でさぁ、口が裂けてた私を受け入れてくれた・・・口の手術代も出してくれた人なの。醜かった私を・・・心から愛してくれた」
「それを知らせに・・・ここへ?」
「うん。でもちょっと不安なの・・・もし子供が生まれたらさぁ、私と同じにならないかって・・・怖いの。本当に幸せになっていいのかなって・・・」
「真弓ちゃん・・・」
「だから慧子ちゃんに・・・月夜家の皆さんに会いたかった。どうしても会いたかった・・・アドバイスが欲しいって言うか何と言うか・・・」
マリッジブルーってやつか・・・そりゃ結婚ともなると不安にもなるわ。もし義母さんが生きてたら、人生における最高の名言を言ってくれるかもね・・・・だったら私のやり方でやってやる。
「ねぇ真弓ちゃん・・・ちょっと私の部屋に来て・・・」
「慧子ちゃんの?・・・・う、うん」
私は真弓ちゃんを連れて二階へ上がり、部屋に向かった・・・この部屋で一緒に遊んで、本を読んで、勉強して、一緒に寝た思い出がある。真弓ちゃんには懐かしいでしょうね・・・
「うわぁ・・・慧子ちゃんの部屋・・・ベッドがある以外全然変わってない!」
「ええ、変えようにもめんどくさいからね。それに・・・これもまだ終わってないし・・・」
私は勉強机の棚から勾玉の首飾りを取った。私は今でも・・・・10年以上経っても・・・未だに過去の謎を追い求めてる。だけどいつまで経っても謎のまま・・・去年、覚ちゃんに勝ってようやく知れると思ったのに・・・アイツ謎を残したまま死にやがった・・・
「あっ・・・それ・・・」
「私はまだ過去に囚われてる。パパとママは?私はどこから来たのか?この呪縛から早く抜け出したいのに・・・だからって諦めたくないのよね」
「慧子ちゃん・・・」
「でも真弓ちゃん・・・・あなたは違う!あなたは今!未来に向かおうとしてる!子供が自分と同じになったら?幸せになっていいのか?そんなの恐れてどうすんのよ!幸せになっていいの!!幸せに!!!」
「け・・・慧子ちゃん・・・」
「フッ・・・大丈夫よ。もし何かあったらいつでもここに来ていいからね。その時は家族として・・・月夜家の人間として!ね?」
涙が溢れる姿を見て、私は彼女を温かく抱きしめた。これが私のやり方・・・義母さんならどんなアドバイスしただろうか?多分・・・私と同じだと思う。これ以上何があるって話だしね・・・
「慧子ちゃん・・・ありがと・・・来てよかった・・・ホントにありがと・・・」
「フッ・・・よし真弓ちゃん!今日はお泊り会よ!!反論はなし!いい?」
「ええ・・・・・・えぇもちろん!!思いっきり楽しもう!!!」
「よっしゃ!宴じゃ宴!!姉さん?ピザ頼んでピザ!!」
その後で私達はどんちゃん騒ぎになった。ピザなり何なり・・・もう月夜家の定番じゃなくなったけど、あの素麺もたっぷり作ったのを出してやった。もう最高に美味い!親友と一緒に食べるのが・・・ピザより美味いだなんて・・・
翌日・・・酔いを吐いた後、私と真弓ちゃんは自分の戻るべき場所に戻る事にした。京都と岐阜だから帰り道はほぼ一緒だしね・・・
「まさか慧子ちゃんが京都に住んでたなんて知らなかったなぁ・・・近いから遊びに行けるね?」
「そうね。いつでも遊びに来て!大歓迎するわ。あぁそれだったらこれ・・・はい名刺!」
「ゆ、幽霊屋?変わった職業だね・・・でも慧子ちゃんらしい・・・」
「変わり者はいつまで経っても変わらずよ・・・それが私だからね」
特急に乗って新幹線に乗り換え、コトコトと揺れること数時間・・・もうちょっとで京都へ着く。ようやくって感じだわ・・・
「慧子ちゃん・・・・私信じてるよ。過去の真実がどんな事であれ、慧子ちゃんがそれを乗り越えられるって信じてるから・・・だから頑張って!」
「真弓ちゃん・・・・ありがと!おかげでやる気出た!この頃やる気なかったからねぇ~・・・やってやるわ!!」
新年迎えてもやる気なかったけど、真弓ちゃんの一言でようやくガッツが出た!!こりゃ仕事頑張らないとね!
京都に帰って真弓ちゃんと別れた後、ようやく事務所にたどり着いた。ここまで長かったなぁ~~・・・っとその時・・・
「あっ!慧子さん!!」
「おぉ泉君!久しぶりね・・・何その本?買い物にでも出かけてた?」
「はい、今ぁ大学受験とか頑張らないといけない時期でして・・・」
「ほぉ・・・大学行くんだ?でもねぇ、忙しいからってこっちの仕事サボんないでよ?あなたは私の助手なんだから・・・いい?」
「それは勿論!ちゃんとやりますよ!」
「フッ・・・よくぞ言った!今年もよろしくね!」
「はい!今年もよろしくおねがいします!!」
それでこそ私の助手!今年も頑張るぞ!そう気合入れて、事務所の鍵を開けた。
読んでいただきありがとうございました!
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