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幽霊屋   作者: ダストン
第十五章  友の再会
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忘想  ワスレナイオモイ

月夜 慧子視点

それからの夏の日常は、毎日が清々(すがすが)しい気分だった。夏休みは海で遊んだり、名所の日御碕灯台(ひのみさきとうだい)行ったり、夏祭り行ったり、釣った魚を焼いて食べたりと満喫した。


物静かだった真弓ちゃんも、マスク姿ながらも幸せハッピーな笑顔を見せるようになった。家の方もそうだ・・・義母(かあ)さんは真弓ちゃんを自分の娘のように愛してくれて、義父(とう)さんは寡黙(かもく)ながらも将棋や(こう)を教えてくれたり、姉さんは・・・・まぁ普通かな?宿題を手伝ってくれたぐらいか・・・


夏休みだけでなく、冬休みも月夜家で過ごした。冬は雪だるま作ったり、かまくら作ったり、鍋パーティしたりして食べまくった。まぁ具材がそんなに無い素麺鍋(そうめんなべ)だけどね・・・・・新年を迎えても、私達は変わる事なく毎日が幸せだった。これがずっと続いてくれたらいいなぁと・・・


だけど・・・・・・・・・そんな事にはならなかった。







『え!?岐阜へ引っ越すの!?』



『うぅん・・・・・・ごめぇん慧子ちゃん・・・・』






それは悲劇の始まりのような突然の出来事だった。真弓ちゃんが・・・・岐阜へと引っ越す事になった。理由は父親が過労で倒れたのが原因。他に頼れる人がいない為、岐阜にある母方(ははかた)の祖父の家で一緒に暮らすそうだ。


つまり真弓ちゃんがこの出雲にいられるのは・・・後1ヶ月・・・もう時間はあまり残されていなかった。


『ねぇ慧子ちゃぁん・・・行く前にさぁ・・・慧子ちゃん()に泊っていい?これで・・・最後だかぁら・・・』


『え?・・・・・・・う、うん・・・うん!もちろん!最後にね・・・』


『ありがぁと・・・慧子ちゃんありがと・・・ありがと・・・』


別れが惜しい・・・ようやく出来た友達が遠くの地へ引っ越すのが・・・別れるのがあまりに惜しすぎる。嫌だ嫌だと心で叫んでも、運命は変えられない・・・いつも仕事で家にいない父親だけど、娘を一人ぼっちにさせる最低な父親だけど・・・真弓ちゃんにとっては大切な父親だから。大事な家族だから・・・







真弓ちゃんが学校にも家にも来なくなってから時が過ぎていき・・・ついに最後のお泊り会がやって来た。これが最後のお泊り・・・・最後の食事・・・・・最後のお風呂・・・・そして最後の就寝・・・・だけど、これで最後だと思うと全然眠れなかった。


それは真弓ちゃんも同じ・・・お互い眠れない中、何か話そうと思った。なんでもいい・・・とにかく話そうと・・・それでこの嫌な空気を紛らわせようと・・・・でも話すネタがない・・・たった一つを除いては・・・


『・・・・・・・ねぇ真弓ちゃん・・・私の秘密教えてあげよっか?』


『秘密?』


『私ね・・・ホントはここの子じゃない。血は繋がってないの・・・』


『え!?』



家族以外にこの話をするのは、真弓ちゃんが初めてだ・・・私は誰かに連れられてこの家に来た。その人が誰なのかは分からない・・・そもそも本当の両親は?私はどこから来たの?それすらも全く記憶がない。


義父さんと義母さんにその事を問い詰めても何も喋ってくれない・・・それは最期になっても教えてくれなかった。唯一の手がかりは、この勾玉(まがたま)の首飾りだけ・・・


『この家に来る前からずっと、肌身離さず持ってた・・・それだけは分かる。だけどこれが(なん)なのか分からない。誰の物なのかどこの物なのか・・・』


『慧子ちゃん・・・・』


『もし本当のパパとママに会えたらさぁ・・・・・その時は一発ぶん殴ってやる。いや・・・一発じゃ足りないかもね?フフッ・・・』


『・・・・・・・きぃっと会えるよ・・・きっと・・・』


『ありがと・・・さぁもう寝よ!明日早いんでしょ?おやすみ!』


『・・・・・・うぅん!おやすぅみ!』


私達は布団にうずくまり、無理してでも目をつぶって眠りについた。明日・・・・真弓ちゃんが出雲を去る。心では、離れたくない思いでいっぱいだった。このまま時が止まってしまえばいいのにと・・・・だけど現実は甘くない。時はずっと進み続け、気付けば朝を迎えていた。







月夜家最後の朝食を終えた後、家族全員が別れの一言を告げた。


『じゃあね真弓ちゃん!またいつでも遊びに来てね!素麺大盛りにして待ってるから!』


『いつでぇも待っちょぉよ!!ぐすん・・・』


『向こうでも・・・・・・・気を付けてな・・・』



『うぅ・・・・はぁい!お世話になりましぁた!!ホントに・・・愛してくれて・・・ありがとうございまぁした!!!』



マスクを外し、泣きながら深く頭を下げた。これを見て私は一緒に住もうって叫びたかった。このまま離ればなれになんてなりたくない・・・・だけどそれは出来ない。それは真弓ちゃんの為にならないから・・・



一緒に駅へ向かうと・・・駅前には真弓ちゃんのお父さんがいた。体が痩せ細り、杖を突いて歩く姿を見て、真弓ちゃんがいなければダメだと感じた。もし娘がいなかったら・・・支えてあげなければ・・・命は長くないだろうと・・・


『・・・・・・・・・・じゃあね慧子ちゃん。これで最後だね・・・』


『ええ・・・・・元気でね・・・・・・』


『私・・・慧子ちゃんのぉこと絶対忘れなぁい・・・絶対に忘れないぃよ!ホントにありがとぉう!ありがとう!!!!』


『うん!またいつか会お!その時は皆でパーッとしよ!パーッと!!』


『うぅん!!』


お互い別れを告げ、真弓ちゃんはお父さんと一緒に電車に乗った。忘れはしない!絶対忘れはしない!!短いながらも、退屈のない最高の人生をくれた親友を・・・私は忘れない!

読んでいただきありがとうございました!


寝るのは5時間で充分だとここ最近感じる・・・


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