拳絆 コブシトコブシノキズナ
それからというもの、僕は叔母さんと共に行動する事が多くなった。幽霊はまだ怖いけど、叔母さんの励ましあってか、ビクビク震える事がなくなっていった。どこか行くなり美味しい物食べたりと、いつも叔母さんと一緒・・・・おかげで毎日が楽しい・・・楽しくてしょうがない・・・
これがずっと続いてくれたらと・・・いつまでも思い続けた1年間・・・だけど、そんな事にはならなかった。
『幸多・・・・・あたし、東京住むわ・・・』
駅の広場で京都タワーを一緒に眺めていた時だった。いきなりで心臓がバクバクする・・・叔母さんが東京に?どうして・・・訳を聞いてみると、何日か前に昔の友人が『うちの社員として東京に来ないか?』と持ち掛けて来たのが始まりだった。
叔母さんは僕に内緒でそれを承諾。フリーターをやめて会社の正社員として働くそうだ。京都に居られるのは・・・明後日限り・・・どうして?どうしてだ?叔母さんと離ればなれになるなんて・・・そんなの嫌だ。
『堪忍せぇや幸多・・・あたしだってもうええ年やねん。そろそろ足付けないかんのよ・・・』
『そ、そんな・・・じゃあ僕も行く!叔母さんと一緒に・・・』
『あかん・・・それだけはあかん。お前にはまだ『将来』ってモンがある。これはお前の為に行くんや・・・もう高校行ける年やろ?そろそろ・・・』
『で、でも・・・でも!でも僕は・・・叔母さんを・・・グッ!』
『アホッ!!いつまで乳離れ出来へんねん!?もう1年経っとるやろ!?そろそろ自分の力だけで生きてみんかいボケッ!!』
痛い・・・痛いパンチ・・・だけど悲しい・・・泣いてるような悲しいパンチだ。僕はこの1年間、叔母さんが唯一心の支えだった。叔母さんがいたから幽霊に耐えられたし、過去の光景をあまり見ずに済んだ。そんな叔母さんが明後日に京都を離れる・・・離ればなれになる・・・
それからはまた部屋に籠ってしまった。叔母さんがいなくなるなんて嫌で嫌で堪らない・・・・どうすればいいのか分からない・・・そんな事ばかり考える中、時は過ぎてゆき・・・とうとう発つ日が来てしまった。
今は朝の8時40分・・・後20分で行ってしまう・・・叔母さんが行ってしまう・・・何も出来ずに悲嘆に暮れる中、叔母さんから電話がかかって来た。
『おい幸多、もうちょいであたし行くでぇ?見送りなしか?』
『・・・・・・・・』
『幸多、来ぉへんねんやったらこれだけ約束せぇ・・・絶対生きろ!茨の道だろうが何だろうが、必ず前向いて進んで生きろ!ゆっくりでもかまへんから!ええな?あたしとの約束やで?』
生きろ・・・それを聞いてか、僕は叔母さんに無性に会いたくなった。何がなんでも会いたい!どうしても会いたい!!すぐに会って一言言いたい!!!僕は部屋から、家から出て急いで駅へ向かった。
幽霊に構わず、とにかく急いで叔母さんの元へ向かった。確かに外には幽霊がたくさんいる・・・だけど今の僕に恐怖心はなかった。頭の中は叔母さんの事でいっぱいだったからだ。全力に全力で走り抜け、ようやく改札口前へ着いた。
『ハァ・・・ハァ・・・お、叔母さん!!!』
『!?・・・・こ、幸多!』
『ハァ・・・ハァ・・・ご、ごめん・・・ハァ・・・叔母さん、僕・・・生きるよ!約束絶対守るよ!!必死で生きるよ!!!何がなんでも!!!!』
これが言いたかった。僕の精一杯の答え・・・電話越しじゃなく、直接会って言いたかった。言えてホッとした時、突然叔母さんが拳を前に出した。え?まさか殴るの?
『・・・・約束やぞ?ホラお前も出せ!約束のグータッチや!!』
なんか・・・・叔母さんらしいかも・・・僕も手を握り締めて、お互いの拳を優しく突き合わせた。たとえ離ればなれになっていても、心はいつも傍にいる。どんな時でもずっと・・・
そして現在・・・コンビニ行って酒なりタバコなり菓子なりと買いまくった。その荷物を持つのは全部僕・・・荷物持ちかよ・・・・これじゃ慧子さんと変わらないじゃないか・・・
帰路につく中、叔母さんといろいろ話し合った。最近どうしてるとか、上司の愚痴が鬱陶しいとか、新しい趣味の話とか、とにかくいろいろ話をした。何だかんだで久々に会えて嬉しいし・・・いつも年末年始にしか帰って来ないからなぁ・・・
「あぁそや幸多?お前バイトとかしてんのか?金とか困っとるんやったら少し出したるけど・・・」
「いやぁ別に困ってないよ・・・良いバイトがあってね。天職見つけたって感じで・・・」
「ほぉそうなんか?まぁお前が元気やったらそれでええけどなぁ!幸多・・・今年もよろしくやで?」
「うん!今年もよろしくお願いします!叔母さん!!」
僕達は互いの拳を突き合わせた。これが僕と叔母さんとの絆だ。それは今も変わらない・・・これからもずっとそうだ・・・お互い生きてる限りずっと・・・
読んでいただきありがとうございました!
雨やだやだ~~
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