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幽霊屋   作者: ダストン
第十四章  過去の救い
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恩人  オンジン

ヒソヒソと陰口を叩く近所のおばさん達・・・・嫌だ嫌だと思ってた時、叔母さんは逆ギレしてその人達の所へ向かった。


『てめぇ等ぁうちの甥っ子に陰叩(かげたた)くんか?あぁ?アイツの事を(なん)にも分かんねぇくせにぐちぐち叩くんか!?あぁ!?』


『お、叔母さん・・・やめてよ!』


『うるせぇ!おい・・・お前等にも子供いるんか?もしコイツと同じ立場やったらどないするんや?そうやって愚痴言うんか?あぁ!?言ってみぃゴラァ!!』


叔母さんは怒鳴り叫んだ。その怒りにビビったおばさん達は、後退(あとずさ)しながら逃げて行く・・・警察沙汰にならずに済んだのが(さいわ)いしたと思う反面・・・嬉しかった。凄く・・・嬉しかった・・・


誰も信じてくれない・・・誰も助けてくれない・・・あの事件の後で僕は、ずっと両親や妹からや誰からも見捨てられた気分でいた。だけど叔母さんは・・・叔母さんはこんなにも僕なんかの為に・・・信じていいのか?本当に信じていいのかな?


『糞共が・・・行くでぇ幸多!・・・ん?』



その時、道の向こうから見覚えのある女性が見えた。ボサボサ髪で痩せ細った女性がとぼとぼと歩いてる・・・最近誰かを失ったような歩き方・・・・当然だ。あの事件で息子を亡くした母親なのだから・・・


『あ・・・・・・あ・・・・・あんたぁ!人殺しぃ!!私の子を返せぇ!』


『お、おい!何すんねん!?幸多に触んなやぁ!!』


気が狂ったように僕の胸ぐらを掴んで叫ぶ女性・・・・僕はこの人を知っている。初めて会ったのは息子さんの葬式の時だ。女性は(ひつぎ)の前で涙が枯れるほど泣き叫んでいる中、僕を見つめてこう言った・・・



『あいつが殺したのよ!息子を・・・・あいつが・・・この人殺し!』



そう言われて僕は完全に心を折られた。まさかこんな所で再会するなんて最悪だ。もう嫌だ・・・何もかも消えてしまいたい・・・死ねばそれで終わる・・・・このまま家に帰って首を吊るなり包丁刺すなりして死にたい・・・もう嫌だ・・・





『てめぇ・・・・幸多は人殺しなんかじゃねぇ!!コイツはなぁ!死んだてめぇのガキよりずっと苦しんでんねや!!誰も信じてくれへん助けてくれへん・・・あたしと同じ皆からの嫌われモンや!!生きてんのが苦しいねん!だけどそれでも生きなあかん・・・・何がなんでも生きなあかんのや!!人間はどんな辛くても生きなあかんねや!!!』



『お・・・叔母さん・・・』



『幸多は人殺しやない・・・悩んで悩んで苦しんで、一生懸命生きようと頑張っとる立派な甥っ子や!戯言(ざれごと)ぬかしとんじゃねぇわ糞アマッ!!』



そう叫んで女性をぶん殴った・・・・・・涙が溢れて止まらない・・・叔母さんの暴走を早く止めなきゃならないのに・・・涙が止まらない・・・涙が・・・


『ハァ・・・ハァ・・・失せろや!どっか行けぁ!!二度と幸多に姿見せんなや!分かったかボケッ!!』


『うぅ・・・・ハァ・・・ハァ・・・・洋二(ようじ)・・・洋二・・・あぁ・・・』


女性は泣きながらとぼとぼと去って行った・・・・僕達以外誰も見てないのが(さいわ)いだ。もしこの現場を誰かが見て、警察に通報でもされたら叔母さんは逮捕されるだろう。それだけは御免だ・・・


『ハァ~~・・・・・幸多行くでぇ・・・幸多?』


『叔母さん・・・叔母さん・・・ぼ、僕の事・・・信じてくれるの・・・僕を信じてくれるの・・・僕を信じて・・・』



『・・・・・・・・アホ、当たり前やがな!可愛い甥っ子を信じひん叔母がどこにおんねんなぁ!あたしは信じてる・・・何がなんでもなぁ!』



そう言って優しく抱きしめてくれた・・・この日から僕は、もう死ぬなんて考えるのをやめて、何がなんでも生きようと決心した。死んでいった皆の分まで生きてゆこうと・・・たとえ過去に苦しんでも生きてゆこうと・・・


『おしっ!めっちゃ叫んだし腹減ったわ!!飯行くでぇ飯!』


『・・・・・・・・・うん!!』


叔母さんは僕を救ってくれた命の恩人だ。叔母さんのおかげで、こんなにも生きる希望を持てたから・・・

読んでいただきありがとうございました!


サボテン折れた・・・


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