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幽霊屋   作者: ダストン
第十三章  神猿
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神憑  カミツキ

月夜 慧子視点

私に(ささや)いてきた存在・・・それが誰であれ、私はそれを信じる!これが毒でない事を信じる!やってやる・・・・・(よん)だ!!



「スゥ~~~~・・・・・・・・・・・・・・・・・・・うっ!!!」



ハメられた・・・助言なんか信じず、六の香を選んでおけばよかったと後悔と同時に息がどんどん苦しくなっていく・・・・・あぁもう終わった。どうしてこんな事に・・・ごめん・・・姉さん・・・泉君・・・


「あぁ・・・うぅ・・・や・・・ら・・・れ・・・た・・・うぅ・・・・・・」



















「・・・何アホな芝居しとるんどすか慧子はん?それ毒ちゃいますえ?」


「・・・・・・・・・・・・・・あ~~あぁ、バレちった」


せっかくの芝居がバレちゃった・・・やっぱ死ぬ演技って難しいわ。大学の映画サークルで女優やってた時もそう、下手過ぎて監督(リーダー)に何度も怒られた。リアルな演技がどうも苦手なのよねぇ・・・


「しかしよぉ分かりましたなぁ・・・流石やでぇ慧子はん」


「ま、まぁ・・・今日は運がよかったわ。それでぇ?勝った御褒美(ごほうび)とかあるの?」



「ええ、慧子はんと・・・・・・そこの泉 幸多はんにも関係する事で・・・」



「え?」


私と泉君に関係する事?一体何かしら・・・すると、田沢さんが(ふところ)から少し縦長の木箱を取り出し、それを開けると・・・古びた巻物が入っていた。








「慧子はん・・・「神憑かみつき」ちゅう名をご存知どすか?」










神憑き・・・・・・・・・・あれ?それどこかで聞いた事がある。どこだっけ?私が・・・・小さい頃に・・・・小さい頃に・・・小さい頃に・・・・あれ?何この感覚・・・・気持ち悪い・・・どうなってるの?あれ?


「無理もないやろなぁ・・・昔の記憶が無いんやろ?それか思い出せへんだけか・・・いずれにせよ、これが関わってるんは事実やで」


「ハァ・・・ハァ・・・ハァ・・・え、え?」


「息が荒いで慧子はん?大丈夫どすか?」


「ハァ・・・ハァ・・・な、何を知ってるの?私の何を知ってるの!?」


「聞きたいんかぁ?自分が何者で・・・()()()()()()()()()()()()を・・・」



もしかしてここで・・・知る事が出来るかもしれない。この()は私が知らない何かを知ってる・・・私の過去を・・・記憶を・・・この()なら・・・20年以上前の過去を・・・









『真実ヲ知ルノハマダ早イ・・・マダダ・・・(ワレ)(オナ)(マガ)(モノ)()(モノ)ヨ・・・・(ウラ)ミハ無イガ、コノ(ムスメ)ノ為ニ消エテクレ!』







グギャアアァ!!!!キー!!キー!!!





「・・・・・・・・あぁ・・・・・・あ・・・カッ・・・・カハッ・・・!」




「え・・・・・・さ、覚ちゃん・・・・・・覚ちゃん!!!???」


「さ、覚様!?」


それはあまり唐突な事だった。後ろから謎の声が聞こえた瞬間、覚ちゃんの口や鼻から血がドバドバと吐き、倒れ苦しみ始めた!一体何が・・・!?


「覚ちゃんしっかりして!!覚ちゃん!!!」


「ゲホッ・・・・・・・・・あぁ・・・・やっぱ・・・こうなったか・・・でもこれで・・・ええんや・・・・やっと死ねる・・・やっと・・・この猿から解放される・・・フフフ・・・おおきにな・・・け、慧子はん」


「え、え?な、何を言ってるの覚ちゃん!?ねぇ!?」



「もう無理なんや・・・耐えられへん・・・この穢れた猿が贄を食べんのは、いつまでも見てられへんさかい・・・慧子はん、慧子はんが知りたい真実は・・・いずれ分かる・・・でも大事なのはそっからや・・・そっからが、()()()()()()()()()(いくさ)が始まる・・・頑張りや・・・慧子・・・はん・・・うぅ・・・・・・」



「覚ちゃん?覚ちゃん!?覚ちゃん!!!」


「覚様・・・・・・・覚様・・・・うぅ・・・・」


震えた手が地面に落ちた。そして呼吸が止まり・・・覚ちゃんは息を引き取った。どうしてこんな事に・・・せっかく過去を知れるチャンスが・・・・・・(なん)でこんな事になるのよ・・・(なん)で・・・・


グギギギ・・・・キ・・・・キー・・・・ウキャァァァ・・・・・


姉さんと泉君が目を覚ましたと同時に、近くにいた猿が倒れ、塵となって消え始めた。まるで除霊にでもされたように・・・・一体あの猿は(なん)だったのか・・・この巻物は・・・神憑きは・・・・分からない事が山ほどある中、私は覚ちゃんの手を優しく握った。







その後、私は二人に事情を説明した・・・っと言っても何から話せばいいのか分からないし、とりあえずまずは蘭奢待が偽物だって事だけ話した。二人は頭がこんがらがって、信じられないような顔してたけど、正直それは私も同じ事よ・・・


覚ちゃんと万代さんの遺体がどこかへ運ばれて行く中、私は田沢さんに神憑きやこの巻物について詳しく教えてくれと頼んだが・・・



「覚様は・・・・ようやく解放されたのです。自死(じし)すら許されない身でありましたが、あなたとの勝負でようやく・・・・これが先祖代々、権力に執着し続けた者の末路。多くの(しかばね)を神と言う(けだもの)に捧げた者のね・・・ありがとう」



ただそれだけ言って去って行った。私はこれ以上・・・詰め寄れなかった。お面でその顔を隠しているけど、涙だけは隠し切れてなかったからだ。そうなると唯一の手がかりは・・・やっぱりこの巻物・・・


早速、巻物を開いたら・・・・・・・・・・古い字がつらつらと書かれているだけで、(なん)て書いてあるか読めない・・・一部には見た事ない紋章のようなのが描かれていたけど、これが何を意味するか謎だわ。



分かる部分は、この巻物のタイトルだけ・・・「八雲院(やくもいん) 神憑法(かみつきほう)」。私には・・・・それしか分からなかった。







巻物を持って屋敷から出た私達はすぐに村を出ると、荷物や土産が乗った(バン)の運転手が来てくれたおかげで、私達は無事に京都へ帰る事が出来た。


「ハァ~・・・・やっと帰って来たわ・・・姉さんどうする?事務所で酒盛りでもする?」


「そげねぇ、覚ちゃんの冥福を祈らなあかんねぇ!よし!飲むぞぉ!!」


「えぇそうね・・・泉君は?」


「僕もします。酒はまだ飲めませんけど・・・」


「別にいいわよジュースでも・・・よし!事務所へ行くわよ!!」


麒蓮寺 覚・・・いろいろと謎が多い少女だったけど、私は忘れない・・・あなたの存在を決して・・・これから何が起ころうとも・・・

読んでいただきありがとうございました!


四獣編終了!前半終了!!1部後半戦ようやくスタート!!!


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