猿贄 サルノニエ
それは黒く湿ったような木材の破片だった。あれが蘭奢待・・・一見すればどこにでもあるような木にしか見えないが・・・
「どうどすかぁ?腐った木にしか見えんやろうけどぉ、火ぃ焚けば豊潤な甘味で、それぁもうええ匂いしますえぇ」
「ほわぁぁぁぁ~~~~・・・本物の蘭奢待よぉ~!!こがぁ凄いわぁぁぁ!!」
貴子さんはまるで宝物を見るように目をギラギラと輝かせている。香を嗜む者にとって、蘭奢待を手にする事がどれほど名誉な事か・・・・だけど慧子さんはそれに興味を示さず、覚ちゃんを見つめていた。
「そんなのどうでもいいわ・・・私が興味あるのはあの猿よ。何者なの?」
「流石は慧子はん。これほどの宝を目の前にして驚かんとは・・・やりますなぁ」
グキーーーーッ!!!!!グゥゥゥゥゥ・・・キィ~~・・・!
突然、隣の部屋からか・・・猿の叫び声が聞こえて来た。ドタドタと畳の上を歩く足音も・・・恐怖で静かになる中、覚ちゃんは疲れたような溜息を吐いた。
「ハァ~・・・すんまへん・・・今ぁあの猿、お食事中なもんやから・・・」
食事?あの猿がか?何を食べているのかと気になったその時・・・・あれ?何だ?眠たくなって来た。視界がだんだんボヤけてくる・・・・・どうしてなんだ・・・どうして・・・・・・・・・・まさかあのお茶に・・・zzzzz・・・
ー月夜 慧子視点ー
蘭奢待なんかよりも、今一番興味があるのはあの猿だけ。お食事中だって?だったらどうしてこんなに血生臭いのよ?ただの食事ってわけじゃなさそうね・・・
「あの猿は・・・・ん?・・・姉さん?泉君!?」
姉さんと泉君が突然倒れた。何度も起こしても目が覚めず、スースーと眠ってる・・・どうして・・・まさか飲んだ茶に何か!
「覚ちゃん!二人に何を・・・!?」
「フフフフフフフフ・・・クックックックックッ・・・・アァハッハッハッハッハッハッハッハッハッハッ!!」
「・・・・何が可笑しいの?」
「ほんま人間ってアホやわぁ・・・こんな偽物に釣られるなんてなぁ・・・」
今何て言った?偽物?その蘭奢待が・・・・偽物?どういう事!?
「そう・・・・これは偽物。どこにでもある木の破片や。だけどこれが蘭奢待やとちょいっと噂を流せば、人間簡単に釣れてしまう。その噂が根強くなればなるほど尚更・・・」
「どうしてそんな事を・・・?」
「全ては囮・・・あの猿の為だけに仕組んだこと・・・権力を維持するに必要な贄を調達する為になぁ・・・田沢!」
「はい・・・」
権力を維持する?必要な贄を調達?一体どういう事・・・頭が混乱する中、田沢さんが、隣の襖を開けた・・・部屋一面に血がドロドロと流れ、人の臓物が喰い散らかされていた。中央には例の猿がクチャクチャと口に臓器を咥えてる・・・・あぁなんてこと・・・あれ?あの人まさか・・・鹿村の万代さん!?
グゥ~~!(クチャクチャ)グググググ・・・キーッ!ガァーッ!(クチャクチャ)
「な・・・ど、どうして・・・覚ちゃん!これは一体!?」
「あの猿が知りたいんやったら・・・決着つけへんか?まぁどの道どうあれ、この村からは逃げれへんけどなぁ・・・さぁどないするぅ?」
この小娘マジでイカレてる。どうしようもないってぐらい・・・それにこの助手の爺さんも・・・まるでこの悲惨な光景が当たり前だと分かっているようにね・・・
「本気の勝負や。勝てば3人仲良く家に帰れるし、あの猿の事も知れる・・・でも負けたら・・・・・・・分かっとるやろなぁ?」
ググググググググ・・・・ギューッ!
選択肢は無し。考える時間も無い・・・だからといって、あんな猿に喰われるのだけは御免だわ・・・もうやるしかない!!
「・・・・・・・・・・・・・いいわ。決着をつけましょう!」
「フフフフ・・・その答え・・・待っとった」
上等よ・・・やってやる!勝って高慢ちきなその鼻をへし折ってやるわ!!
読んでいただきありがとうございました!
中古の一眼カメラ買いました。ズームは良いけど、画質がねぇ・・・
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