猿域 サルノリョウイキ
「私は田沢と申します。覚様がお屋敷でお待ちです。どうぞこちらへ・・・」
雪に覆われた村の入口から、猿のお面を被った老人が一人・・・源氏香で覚ちゃんの助手だった人だ。声からして間違いない・・・嫌な予感がしつつも、僕達は田沢さんについて行った。村に入ると、雪道には古風な家が多く並んでいたけど・・・不思議な事に、村の人や観光客が誰一人いなかった。
あまりに静か過ぎる・・・・・祭りが終わるとこんなに静かになるものなのか?どうも変だ。そんな中、周りの家を見ながら歩いていると、ある家の2階の窓に誰かいる・・・
じー--っと・・・・こっちを見てる。しかも猿のお面を被ってる・・・他の家もよく見てみると、全員がお面を被って窓から覗いていた。この村はお面を被らなきゃならない習慣でもあるのだろうか?それともただ顔を見られたくないだけだからか・・・いずれにせよ、不気味でしかなかった。
5分ぐらいしばらく歩いていると、大きなお屋敷に到着した。古い家で広々とした中庭が、積もった雪で真っ白に染まっている・・・
「さぁどうぞ・・・お入りください」
田沢さんに続き、僕達も敷地の中に入ると・・・
「キーッ!キーッ!キーッ!ガァー!!キーッ!キーッ!キーッ!ガァー!キーッ!キーッ!ガァー!キーッ!キーッ!キーッ!キーッ!キキーッ!!キーッ!キーッ!ガァー!キーッ!キーッ!キキーッ!!キーッ!キーッ!キーッ!キーッ!キーッ!キーッ!キーッ!キーッ!キーッ!キーッ!キーッ!キーッ!キーッ!キーッ!キーッ!キーッ!キーッ!キーッ!キーッ!キーッ!キーッ!キーッ!キーッ!キーッ!キーッ!キーッ!キーッ!キーッ!キーッ!キーッ!キーッ!キーッ!キーッ!キーッ!キーッ!キーッ!キーッ!ギーッ!キーッ!キキャーッ!」
それは突然だった・・・突然無数の猿のような泣き声があちこち響いて来た。慌てて周りを見渡したが、猿なんて一匹もいない・・・だからといってそれが気のせいだとは思えなかった。
「・・・・・・面白くなって来たわね・・・行くわよ二人共!」
慧子さんはそう言って田沢さんについて行ったけど、僕と貴子さんは行く気になれなかった。どこからか嫌な視線と・・・血の臭いがする。行ったら死ぬって予感が敏感に反応して、足が竦んでしまう。
行きたくない・・・でも慧子さんが・・・僕は両手で顔を何度も叩き、じ~んっと来る痛みで恐怖を誤魔化しながら、一歩一歩ずつゆっくり歩いた。ここまで来たんだ・・・全てが終わるまで帰れない。覚悟を持って突き進むしかなかった。
中庭を抜けて玄関で靴を脱いでいると、すぐ近くに赤くキラキラした靴を発見した。
「あっ!あれはババアの靴!もう来ちょるんですか?」
「ええ、ほんの20分ぐらい前にねぇ・・・既に覚様の居る座敷に・・・」
どうやら僕達より先に鹿村代表の万代さんが来ていたようだ。僕達は廊下を抜けて縁側の長い通路を歩いていると、さらに不快感が目立ち始めた。気分が悪くなるような悪臭がそこら中に漂っている・・・・・なんとか我慢して進んで行くと、広いお座敷には・・・
「覚様・・・客人をお連れしました」
「お待ちしとりましたぁ・・・どうぞぉ入っとぉくれやすぅ」
広い座敷に襖には猿が踊っているような絵が描かれている。そこは覚ちゃんが・・・あれ?妙だな・・・猿がいない・・・それに万代さんも・・・
「あれ?万代さんは?それに例の猿はどこに?」
「万代はんなら憚りに行かはりましたでぇ・・・それよりもやっぱり見えてはるんやねぇ?あの猿を・・・」
「ええ、マジで気持ちわ・・・・・・・・ん?」
「どうぞ・・・・」
すると、田沢さんが温かいお茶と・・・バナナを持って来た。何でバナナ?
「この村ぁ名物の甘蕉茶と、おやつ用のバナナどす。ここ等一帯はバナナの栽培してましてなぁ。よぉおやつに食べんのが習慣なもんでぇ・・・・どぉぞ。美味しいどすぇ?」
どんな習慣だよとツッコミたいが、ここで遠慮したら失礼だ。僕達は渋々ながらお茶を飲んでみると・・・・美味い。バナナの甘い香りがして、あっさりとした味がする。
「さて本題に入る前に、じっくり見てもらいましょか?田沢・・・・」
「はい・・・・・」
すると、田沢さんがある物を持って来た。それは黒く腐った木のような・・・まさかこれが!?
「・・・・・・・・・これが「蘭奢待」どす」
これが伝説の香木・・・蘭奢待。それを見て貴子さんはよだれが出るほど目を輝かせていたが、僕にはただのボロい木にしか見えない・・・・どうにもショボいような・・・
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長野行って大失敗しました
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