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幽霊屋   作者: ダストン
第十三章  神猿
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入場  ニュウジョウ

宿から2、3キロ歩いてようやく中央堂までたどり着いた。結構大きい寺だ・・・参道には多くの屋台が並び、そこに観光客がワイワイと飲んで食べて騒いでいる。僕は店の人に犬堂がどこにいるか聞きながら奥に進んだ。


「よし着いた!失礼します・・・・・・・・うわぁ!」



「あっ!来たわねぇ泉君!!どげかね?似合にあぁ?」



犬堂の中へ入ると・・・赤い着物を着た貴子さんがいた!長身ちょうしんのせいか、金色きんいろの花模様が派手に目立っている。むしろ眩しいくらいだ。



「う、うわぁ・・・・すっごく綺麗です貴子さん!」


「だんだんねぇ!そげ言ぃてくれて嬉しぇわ!あぁ助手用の服用意しちょぉけんよ・・・そこの更衣室で着替えて来ぃ!」



赤い色の作務衣さむえとマスクが机に置いてある。仕方なく僕は更衣室で服を着替えた。ピッタリのサイズだけど、薄着だから寒いなぁ・・・


「おぉ!泉君とても似合ぁちょじゃなぇ!」


「そうですか?それより(なん)で僕を助手に指名したんです?」


「知り合いが助手なぁたら嬉しぇからよ!それに源氏香は中央のお堂の中でやぁんだけど、中には代表、助手、香を焚く香元こうもとしか入れんのよ」


「え?じゃあそれ以外の人は入れないし・・・見れないんですか?」


「そげそげ!こげな遠ぇ村まで来て、あたしや慧子の活躍が見れんなんて嫌だしょ?だけん指名したんよ。感謝しぃや?」


確かにこんな遠い所まで来て、慧子さんが活躍してるところ見れないなんてどうもなぁ・・・そういう意味では貴子さんに感謝しないと・・・



その後、助手の僕は何をすればいいのか貴子さんに聞くと、香元の指示で動いてくれればいいらしく、それ以外は代表の近くで座っていろとのこと・・・・そんなに難しくなさそうだが・・・


説明を聞いた後に外を覗くと、もうじきここを開けて中央にあるお堂へ移動する代表をこの目で見ようと、多くの観光客が集まって来ている。ヤバい・・・・マジで緊張して来た・・・


「なんだい心配しぇんでええよ泉君!言われた事だけやっちょらええんだけん!」


「い、いや・・・それは分かってるんですけど・・・あっ!」





東方とうほうぉ!!犬村代表ぉ!!月夜ぉ 貴子ぉ~!!』





その時、男の声が外で響き渡った瞬間、貴子さんが立ち上がった!代表の入場だ!!


「行くよぉ泉君!あたしの後ろに!」


「あぁはい!」


扉が開いた途端・・・村の人や観光客の叫び声やカメラのフラッシュが飛び込んで来た。嫌だな~昔を思い出すようで・・・・僕達は渡り廊下をゆっくりと歩きながら、中央のお堂へ向かった。







ようやくお堂へ入った僕達は溜め息しか出なかった・・・扉を閉めると一気に静かになったからよかったけど、改めて中を見渡すと、四方(しほう)それぞれには机と各村(かくむら)の動物の一文字が入った座布団が用意されている。貴子さんは目の前にある「犬」と書かれた座布団に座り、僕はお堂の隅に座った。




西方せいほうぉ!!鹿村代表ぉ!!長岡ながおか万代ましろぉ~!!』




すると、西の方から鹿村の代表と助手がお堂に入って来た。紫色の着物を着た白髪の老婆・・・あのお婆さんが鹿村の代表・・・


「おぉおぉおぉさしぶりですねぇ万代さん?()()()()()()()()()()()()・・・」


「お久しぶりですねぇ貴子さん。相変わらず()()()()()()・・・」


二人共バチバチと睨み合っている。相当仲が悪いようだ・・・万代さんは「鹿」と書かれた座布団に座ったその時・・・






南方なんぽうぉ!!鳥村代表ぉ!!月夜ぉ 慧子ぉ~!!』







「(!・・・・慧子さん!!)」


南の方から慧子さんがやって来た!!雪のように真っ白の着物を着ている・・・・こんな慧子さん見た事ない・・・凄く綺麗だ・・・


「おぉおぉ!そげ着物ぉ似合ぁちょるねぇ慧子?」


「ありがと姉さん。でもまさか泉君もここにいるとは・・・しかも姉さんの助手としてねぇ!この裏切り者!!」


「い、いや別に裏切ってなんか・・・ってあれ!?中川さん!?」



慧子さんの隣になぜか中川さんがいる・・・まさか慧子さんの助手に!?う、嘘だろ・・・動物違いとはいえ、こんな形になるとは・・・


「おや?・・・お二人は姉妹か何かですか?」


「え?ええ、あたしの妹です」


「へぇ~そうなんですかぁ・・・まぁ姉妹で来ようが誰が来ようが関係ないでしょうけどねぇ!ホホホホ・・・」


「フッ・・・甘くみないでくださいね?これでも鍛えた方なんで・・・姉さんよりかは強いですよ?」


お互いバチバチと喧嘩腰(けんかごし)で睨み合う中、慧子さんが「鳥」と書かれた座布団に座った瞬間・・・・







北方ほっぽうぉ!!歴代無敗ぃ!猿村代表ぉ!!麒蓮寺きれんじさとりぃ!!』









その名前が出た瞬間、一気にこの場が凍り始めた。嫌な寒気がする・・・場が静まる中、北の方から黒い着物を着て杖を持った少女と、猿のお面を被った助手がお堂の中へ入って来た。




「皆さん方・・・今宵こよいはよろしゅうお願いしますぅ」





年齢はここにいる僕達の中では低く、盲目だから杖を叩きながら歩いている。助手のサポートもなしに・・・しかし一番驚いた事が他にある。



カカカカカカカカカ・・・・キーッ!



「(な・・・(なん)だあれ?猿?)」


少女の肩に小さい猿が乗っている。だけどただの猿じゃない・・・・白く半透明で目玉が異様にデカい猿。不気味に思えるほどに僕達をギロッと睨みつけていた。

読んでいただきありがとうございました!


ここのところ大阪行ったり奈良行ったり滋賀行ったりで大変です


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