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幽霊屋   作者: ダストン
第十二章  作家の取材
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終恐  オワリノナイキョウフ

ようやくだ・・・・残るはたったの2枚!どちらかが出口でどちらかが偽物!もうこれで最後だ!ここは思い切って開けよう!!


「「1・・・2・・・3!!!!」」


3秒の合図で僕達は同時にドアを開けた!!これで終わり・・・と思ったら違った。真っ暗な空間に白い木がポツンと置いてある。あれ?この木・・・・どこかで・・・


「こ・・・・・・・これは・・・・」


思い出した・・・ドロドロとして気味の悪い木・・・そうだ、この木は修学旅行で肝試しに行った時に見た御神木だ。特に何もない廃神社・・・唯一あったのはこの木と・・・もう一つ・・・


『これ何?』


『あ!それ知ってる!戦国ゲーとかでプ~って吹く笛じゃん!』


『へぇ~・・・でも何なんでここに?』


『さぁ・・・吹いてみれば?』


『え!?ここで!?』


『大丈夫だってぇ!俺達以外に誰もいないんだからさぁ・・・』



その木に法螺貝(ほらがい)という笛があった。ゲームに出て来そうな立派な笛・・・皆は笛を吹いたら何が起こるのかと期待してた。だから吹いたんだ・・・僕が吹いたんだ。ダメだ・・・それを吹いちゃダメだ!!


「待って!!それ吹いちゃ・・・・・!」



ポォ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~・・・・・・



『・・・・・・なんだよ何も起きねぇじゃねぇか。つまんねぇ・・・帰ろうぜ泉』


『う、うん・・・・・・・・・ん?』






()(ハナ)テリ・・・・・・・()ガ・・・・(オレ)ノ・・・復讐(フクシュウ)(トキ)ィ・・・・・・







『え・・・・・・・ああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!!!!!!!!!!』







バンッ!!




気が付くと・・・ドアの前で立ってた。最後の恐怖が自身の過去だなんて・・・・あんなに鮮明にハッキリと・・・トラウマを見せられたからか、手が震え始めた。


僕は必死に震えた手を握り締めながら平常心を保ち、愛華さんの方を見ると、僕と同じようにドアの前で立っていた。息を荒くして涙が垂れ落ちている・・・どうしたんだ?


「ハァ・・・ハァ・・・あ、愛華さん?で、出口は・・・?」


「ハァ・・・ハァ・・・お祖母(ばあ)ちゃんがいた・・・お祖母ちゃんがいたの・・・お、お祖母ちゃんが・・・」


保宜 聖子さんを?どういう事だ?こっちはハズレだったとして、愛華さんが開けたドアは出口じゃないのか?まさかまだ他に残ってる?いやそんなはずは・・・ん?


「あれ・・・()()()()?マークがない?あれ?」



ふと、近くのドアをよく見ると、✕マークが入ってない・・・・全部に・・・どうしてだ!?見たやつは全部マジックペンで書いたのに・・・な、(なん)で?


「嘘だろ?どうして・・・慧子さん!?ちょっと慧子さん起きてください!慧子さん!!!!」


「う~~ん・・・何よ泉君?まだピザ食べ終わってないんだけどぉ~・・・」


「寝ぼけてないでしっかりしてください!!どうなってるんですか!?出口は!?全部開けたのに出口なかったんですけど!?」






「あぁ・・・()()()終わっただけじゃない。じゃあ次2周目頑張ってねぇ~」





「「は?」」


1周目だと?2周目?まさか・・・そんなバカな・・・もしかしてこれって・・・終わりが無い?



ピピピピピピピピピピピピピピピ・・・・!!



「あ~あぁ鳴っちゃった・・・はい!タイムアウトね。残念でした」


スマホのアラームが鳴り、約束の17時だ・・・・・僕達はゲームに負けた。どうも納得出来ない・・・ちゃんと説明してもらわないと・・・


「お疲れ様先生・・・どうでした?終わりのない無限地獄(むげんじごく)を体験した感想は?」


「む・・・無限地獄?」



「そうよ・・・恐怖に終わりなんて無いの。いつまでもずっと続く・・・人の人生には、必ず怖い出来事が起こる。過去のトラウマ、事故、病気、老化、人間関係、孤独、死・・・それ等の恐怖に出口なんてない。知っててもそれを取り除くなんて不可能なのよ。そうなる運命(プログラム)なんだから・・・」



「「・・・・・」」


「師匠は恐怖を克服する為にここを作ったけど、私が思うにここは・・・その恐怖を(やわ)らげる為にあるんじゃないかと思う。少しでも向き合えるようにね・・・・・でしょ?泉君?」


恐怖に終わりなんて無いか・・・じゃあこのゲーム、最初から出口なんて存在しないって事か・・・最初から慧子さんの勝ちだったんだ。あれだけ苦労してドア開けたのに、全て無駄だって事か・・・


「よし!そんじゃ勝ったし・・・帰りますか」




パンッ!




ギギギギギギギギギギ・・・・・



両手を叩いた瞬間、固く閉ざされたはずの金庫の扉がゆっくりと開いていく・・・やっと出られる。もうここには()()りだ!








廃墟を出た僕達は、愛華さんを京都駅へ送った。ずっと沈黙が続いてる・・・あのドアで一体何を見たのか・・・・それを聞こうにも気まずくなりそうで言い出せない。僕はもう黙るしかなかった。


「ふぅ~~・・・着いたわよ先生。さぁ約束の20万を・・・・先生?」


「ふふふふ・・・ふふふふふふふふふ・・・・・ふふふふふふふ・・・」


「あ、愛華さん?」



「フンッ!!ハァ・・・ぜ、絶対諦めないから!覚えてなさいよ幽霊屋ぁ!!」



「あぁ!!あのクソ野郎・・・ちょっと!!20万は!?」


「に、逃げられましたね・・・」


突然不気味に笑い始めたと思ったら、車のドアを蹴破って逃げた。約束の20万は得られないまま、何もかも無駄な一日が終わり・・・・いや、一つだけ無駄じゃなかったのがある。あのドアで見た過去の事だ。


確かにまだ怖い・・・怖いけど・・・少しだけ向き合えた気がする。気付いたら手の震え止まってるし・・・そう考えると良い気分にはなった。

読んでいただきありがとうございました!


作家編は終了です。50突破してもまだ続きます


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