信想 シンジルオモイ
泉 千恵視点
もの凄い光景だった。美津ちゃんの顔がグチャグチャになって、激痛に喘ぎながら悲鳴を上げている・・・・・でも体は動いていない。慧子さんが貼ったお札のせいなの?
『熱イイィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィ!!!!!熱イヨォォォォォォォォォォォォォォォォォ!!!ガァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァ!!!!!』
「み、美津ちゃん・・・」
助けたいけど、助けられない・・・絶対にお札を剥すなって慧子さんが・・・私は耳と目を塞ぎ、美津ちゃんの悲鳴が止まるまで部屋の隅でガクガクと震える事しか出来なかった。
『ガァァァァァ・・・・・ァァァァ・・・・・ァァァ・・・・うぅ・・・」
悲鳴が止まった・・・・・目を開けて美津ちゃんの方を見ると、元の美津ちゃんに戻ってる!!さっきの姿とは全然違う!もう大丈夫なのかな?
「み・・・美津ちゃん?」
「うぅ~~~ん・・・・・あ、あれ?私・・・何して・・・あれ?千恵ちゃん?」
「美津ちゃん!!も、もう大丈夫なの!?」
「え?何の事や?あれ?私・・・何してたんや?」
まるで何事もなかったような顔をしている。記憶が曖昧になってる感じで・・・・その時、慧子さんがやって来た。
「どうもぉ~お嬢ちゃん?記憶が消えてるとこ悪いわね。お邪魔してるわよ?」
「え?だ、誰や?」
「そこの千恵ちゃんのお友達・・・んじゃ失礼しま~~す!!」
「えぇ!?ちょっ、ちょっと慧子さん待って!」
慧子さんはそそくさと階段を降りて行った。記憶が消えてる?どうも腑に落ちない・・・私も階段を降りて慧子さんに聞いてみた。
「コトリバコはねぇ・・・・呪いが失敗すると、箱を知った者達のこれまでの記憶が・・・全て消えるの。まるで何事もなかったようにね。悪霊による証拠隠滅ってやつよ」
「記憶が?で、でもまだ私・・・」
「そりゃあ私があなたに憑いた悪霊を祓ったからね。とにかくこれでもう大丈夫!あなたも全部忘れた方がいいわ・・・・・・あぁそうそう!報酬はいらないから!じゃあね!」
そう言って慧子さんは家を出た。全て忘れろって言われても、こんなの忘れられるわけがない。こんな怖いの忘れるわけが・・・・・とにかくこれで全て終わった。豊ちゃんに連絡しよう。
その後、豊ちゃんと美津ちゃんに何度も箱について質問したけど、記憶が無いから何の事?状態。箱も廃墟も何もかも・・・・・知ってるのは私だけだ。これ以上はもういい・・・記憶の片隅に置いておこう。その方がいい・・・
二人と別れて家に帰った私は、もう一度幽霊屋の事務所に行く事にした。お礼もそうだけど、お兄の事について聞きたいし・・・
「あ、あの・・・失礼しま~す!慧子さん・・・あっ!お兄!!」
「え?・・・・ち、千恵!?どうしてお前がここに!?」
お兄がいた!じゃあ慧子さんが言ったこと本当だったんだ・・・ここで働いてるって・・・
「あら千恵ちゃん?来るとは思わなかったけど・・・ちょうどいいわ。泉君、今日は仕事ないから、妹ちゃんと一緒に帰って・・・」
「え!?ってか・・・・え?千恵を知ってるんですか!?僕の妹って・・・」
「ほら早く帰って!!じゃあね千恵ちゃん!暇だったらいつでも遊びに来て!運がよければ、お兄ちゃんの活躍ぶりが見れるかもよ?」
「は、はぁ・・・と、とにかくその・・・えっと・・・さっきは本当に・・・・・ありがとうございました!!!」
「え?え?え???え????えぇ・・・????」
私は慧子さんに頭を下げた。ホントに感謝しかない・・・本当にありがとう・・・幽霊屋さん。
事務所を出て、私はお兄に全て話した・・・逆にお兄から全て聞いた。過去に向き合いたいから幽霊屋で働いてるんだって・・・・お兄はまだ過去の事を・・・あの事件のことを・・・
「だから幽霊屋で強くなりたいんだ・・・強く・・・バカにされたっていい、信じてくれなくていい、それでも僕はやる!誰に何と言われようと・・・」
「お兄・・・・・・ごめん!!ごめんなさい!!!今まで信じなくて・・・バカにしてごめん!!」
「ち、千恵・・・」
今ならお兄の事を信じられる!幽霊がホントにいるって・・・あんなに怖い事だってハッキリ分かる!今更かもしれないけど・・・それでも信じたい!
「私はお兄を信じる!そりゃあ今更だって分かってるよ・・・・でも!」
「千恵・・・・・・ありがとう。何か遭ったらいつでも相談に乗るよ。僕は幽霊屋の・・・慧子さんの助手だからね」
「・・・・・・・・・・・うん!!!」
仲直りしたって感じなのかな・・・変に心が晴れた気がする。もうすぐ日が落ちそう・・・私はお兄と一緒に家に帰った。
読んでいただきありがとうございました!
呪箱編終了です・・・次は妖怪からの仕事です
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