焼却 ショウキャク
月夜 慧子視点
さてさて、名前聞くの忘れてたけど・・・どんな仕事かなぁ?暇で暇で退屈だったから張り切らないとね。そう思った時、ドンッ!と玄関のドアを強く開ける音がした。もしかして依頼人?電話してまだ2分も経ってないのに・・・
「ハァ・・・ハァ・・・あ、あの・・・さっき、電話した者なんですけど!」
「あぁはいはい!どうぞこちらに上がってくださぁい!!・・・・ん!?」
女の子が階段を上がって来た瞬間、彼女の姿を見てすぐに察した。ドス黒い悪霊に取り憑かれてるわね・・・妙に顔も青いし・・・
「あ・・・あの・・・た、助けてください・・・どうか・・・助けて・・・」
「はいはい落ち着いて落ち着いて・・・ここに座って・・・・ちょっと背中借りるわよ・・・フンッ!」
開ケロ開ケロと囁いてる・・・・でも見るからに低級レベルのザコだし、話をする前にまずこの娘に憑いてる奴を取り除くか・・・私はまずこの娘をイスに座らせた後、背中に札を貼り呪文を唱え、悪霊を祓った。
「どう?声はまだ聞こえる?」
「え?あぁ・・・いいえ・・・何かスッキリした気分で・・・」
「そう、じゃあまず挨拶から・・・お越しいただきありがとうございます。私は幽霊屋の所長、月夜 慧子と申します」
そう言って私は名刺を渡したけど、彼女は既に持ってた。はて?この娘に名刺なんて渡した覚えはないんだけど・・・
「え~~っとお名前は・・・?」
「あぁはい!あの私・・・泉 千恵って言います!」
泉?泉君と同じ姓ね・・・ん?どこかしら泉君に似てるような気がする。まさかと思うけど・・・
「あの・・・・これはもしかしてなんだけど、泉 幸多って男の子を知ってる?」
「え!?は、はい・・・私の兄です!」
「兄!?あぁ~~~あ~・・・じゃああなた泉君の妹ってこと?ハァ~通りで何か顔似てるなぁ~って思ったわ!ってか泉君・・・妹いたんだ」
「え、え・・・・っと・・・兄とはどういうお知り合いで?」
「あれ?聞いてないの?泉君は私の助手としてここで働いてんのよ」
「え!?兄が!?えぇぇぇぇぇ~!!!???」
この反応から見るに・・・・何も知らなかったみたいね。まぁあんまり人に言う仕事じゃないから無理もないか・・・
とりあえずその話は置いといて・・・早速私は仕事の話に移った。千恵ちゃんの話によれば、友達が廃墟でパズルの箱を拾ってからというものの、怖い事が続いてるらしい・・・・今も友達は家に籠り、そのパズルを開けようと必死になってるそうだ。自分の姿が変わってまで・・・
私はこの娘の話を聞いて・・・その箱が何なのかすぐに分かった。解いてる段階から見るに、あまり時間が無いようね。
「その箱はね・・・コトリバコって言うの」
「コ、コトリバコ?」
「簡単に言えば・・・・・開けたら箱を知ってる人間を全員呪い殺すってやつよ。勿論、開けた本人もね・・・まぁ対処方法は簡単なんだけど・・・とりあえず時間無いから、その友達の家に案内してくれる?」
「あ、あぁはい!!歩いて行ける距離だから走って行けば・・・!」
「いや、車で行くわ。めんどくさい」
「えぇ・・・・」
私達は車に乗って千恵ちゃんの友達の家に向かった。しかしまぁコトリバコとはねぇ・・・拾った廃墟も気になるけど、今は呪いを消す事が最優先ね。
着いて2分で到着・・・千恵ちゃんはインターホンを押したけど誰も出なかった。だけどこの邪気、急いだほうがいいわね。こうなったら不法侵入してでも入るしかない・・・私はドアの鍵穴に擬形式神を唱えてロックを解除した。これは物に霊力を与えて動かせる術。鍵穴に霊力を与えてやれば、こうやって簡単に解除出来る。
「え!?開いた!?ど、どうやって・・・」
「さてさてどこかしらねぇ?・・・2階かな?・・・お邪魔しま~~す!」
靴を脱いで2階に上がり、邪気にまみれた扉に着いた。ここも扉が閉まってる・・・もう一回、擬形式神を唱えてロックを解除して扉を開けると・・・
「あぁ~あ~・・・やってるやってる・・・」
「み、美津ちゃん!」
『モウスグ!モウスグ!モウスグ!モウスグ!モウスグ!モウスグ!モウスグ!モウスグ!モウスグ!モウスグ!モウスグ!モウスグ!モウスグ!モウスグ!モウスグ!モウスグ!モウスグ!モウスグ!モウスグ!モウスグ!モウスグ!モウスグ!モウスグ!モウスグ!モウスグ!モウスグ!モウスグ!モウスグ!モウスグ!モウスグ!モウスグ!モウスグ!モウスグ!モウスグ!モウスグ!モウスグゥ!!!』
私達の事なんか目もくれず、手をグルグルと動かしながらパズルを解いてる。だけどその方が都合がいいかもね。私は千恵ちゃんをシーッと口止めして、この娘の後ろに近づいて背中に札を貼った。
「大人しくしててよ・・・釘打体刺、急急如律令・・・フンッ!」
『ガァ!!??ガババッバババババッババッバババババババッバッ!!!!』
「体の全体に釘が刺された気分で痛いでしょうけど、我慢してよね?そっちが起こした自業自得なんだから・・・さてと」
私は箱を持って外へ出た。綺麗な箱だけど、そんな箱だからこそ恐ろしいのが入ってる。怨みがたっぷり入ったのがね・・・すぐに燃やさないと・・・
「千恵ちゃんはここにいて。だけど相手が何を言っても、背中の札は絶対に剥さないでね?分かった?」
「は・・・・はい・・・」
「大丈夫よ。すぐ終わるから・・・」
そう言ってすぐに外に出て、ライターの火を点けて箱を燃やした。コトリバコは基本的に木製の箱を使用する。だから燃えやすい・・・燃えカスになるまでそこまで時間はかからなかった。
燃えてる間、家の方から悲鳴が聞こえたけど・・・燃えカスになって完全に静かになった。これで依頼は完了ね!
読んでいただきありがとうございました!
爪はがれた・・・
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