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幽霊屋   作者: ダストン
第一章  幽霊屋の助手
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西瓜  スイカ

鴨川沿(かもがわぞい)い・・・僕と慧子さんはニョロニョロと目的地へと向かう蛇について行くが、あまりに動きが遅すぎるからか、もうかれこれ30分以上歩いていた。


「はぁ・・・ま、まだですか?」


「まだね・・・あぁタバコ吸いてぇ・・・」


一体なぜこんな事になったのか・・・数十分前の事を思い出した。








依頼人の瀧本たきもとさんは、持って来たこのスイカについて悩んでいるらしい・・・夫の金次郎きんじろうさんは散歩が趣味なそうで、仕事が休みの日にはのんびりと散歩し時間を潰すことが日課にしており、特に鴨川沿いで散歩することが多かったらしい。


そんなある日、鴨川を散歩中だった金次郎さんがスイカを持って家に帰ってきた。


傷一つない綺麗なスイカ・・・鴨川をどんぶらこどんぶらこと、まるで桃太郎の話に出て来る桃のように流れていたそうだ・・・・早速二人は真っ二つに切ってみると、果肉がなく空洞になっていたが、なんと中には黒い蛇が入っていた!


二人はビックリして腰を抜かし、黒い蛇は金次郎さんを見た瞬間襲い掛かり、首にガブっと()みついた。


咬んだ蛇はすぐにスイカの方へ戻ったその時、スイカのもう片方が動き始め、両方が合わさって元に戻ったらしい・・・真っ二つに切った跡がみるみると消え、完全に元のスイカに戻る光景を見て、この世の者では無いと感じたそうだ。


金次郎さんは病院へ搬送されたが、幸いにも毒を患う事なく、すぐに退院は出来たものの・・・数日後、異変が起き始めた。


体調がみるみると衰え「許してくれ・・・許してくれ」と誰かに許しを請うようにブツブツと言うようになったそうで、もう一度病院に行ったが原因は不明だと診断された。


今では家で寝たきりになってブツブツと呟いたままの状態・・・それだけでなく、元凶となったスイカにも問題があった。ゴミとして捨てても、数時間後には必ず戻り、何度捨ててもまた戻って来る・・・警察に言っても対処出来ず、打つ手もなく途方に暮れていたその時、京都府警の畑山はたやまと言う刑事から電話がかかってきたそうだ。


彼が言うには、警察の力では対応出来ないので、専門家を紹介するとのこと・・・その専門家と言うのは、まさしく幽霊屋だった。瀧本さんは刑事にさんに電話番号を貰い、すぐ幽霊屋に電話した。





・・・・っと、このような経緯で幽霊屋に依頼した瀧本さんは、話を終えると涙を流していた。


「事情はわかりました・・・ではまず蛇を出さないといけませんね」


「「え!?」」


「大丈夫大丈夫・・・策はあるんで・・・」


すると慧子さんは、机からお(ふだ)の形をした紙とペンを手に持ち、お札に漢字か記号のような分からない文字をスラスラと書き始めた。


「これでよし・・・・・泉君、スイカ持って」


「え?ス、スイカを・・・!?」


「早く!」


「あ・・・あぁはい!」


僕は急いで指示通りスイカを持ち、慧子さんは札をスイカに貼り、何か小声で呪文のようなものを唱え始めた。


呪縛解放(じょばくかいほう)・・・命々呪縛(めいめいじゅばく)・・・無力束縛(むりょくそくばく)・・・」


呪文を終えたその時、突然スイカがガタガタと動き始めた・・・というより中にいる蛇が暴れているようだ。


「あわわわわ・・・あぁ・・・ああ・・・」


「ほら!ちゃんと持って!大丈夫だから!」


「あ・・・ああ・・・は、はい!」


僕達が動揺する中、なんとかスイカを抑え、数十秒経過した時、スイカも場もシ~~~ンっと静まった。


「と、止まった・・・・」


すると慧子さんは台所に向かい、棚から包丁を取り出して来た。


「・・・泉君、これ切るから抑えといて」


「えっ!?でも中の蛇が・・・」


「蛇はもう大丈夫だから・・・ほら早く構えなさい」


「うぅ・・・は、はい」


僕はその言葉に半信半疑だったが、言われた通りスイカを抑え、慧子さんが包丁で真っ二つに切った。


「・・・・・・・う、うわあああっ!」


「ふ~~~ん・・・これまた可愛い蛇な事で・・・」


中にはやっぱり蛇が入っていた。ドス(ぐろ)く、大きさはペットショップで見るような小型の蛇だった。すぐに暴れると思ったが、どうも大人しい・・・・しゅんとして丸まっている。慧子さんは片手で蛇の首を掴んだが、蛇は何も抵抗せず、慧子さんのされるがままだった。


「だ、大丈夫なんですか!?」


「ええ、さて・・・・次はコイツの()ね」


「出?」


「ええ、瀧本さん?あなたのご主人は鴨川で流れていたスイカを見つけたんですよね?」


「え?ええ・・・」


「正確な場所は分かりますか?」


「いえ、そこまでは・・・」


「そうですか・・・では瀧本さん、お気をつけてお帰りください。後は私達が処理しておきます」


「「えっ!?」」


「私と・・・この新人君とで蛇の出を探しに行きます。終わり次第そちらにご連絡しますので・・・また(のち)ほど・・・」


「は、はぁ・・・・」


「あぁそうだ。報酬は依頼解決後にいただきます。幽霊屋(うち)はそういう決まりなので・・・」


「わ、わかりました・・・ど、どうかお願いします!」


「・・・・じゃあ行きましょうか・・・泉君?」


「・・・・あぁ・・・は、はい・・・」


僕達は事務所を出て瀧本さんを見送った後、慧子さんは蛇を持って車に乗った。白くて小さい、中古で買ったようなボロい車・・・これで行くのか?


「泉君乗って・・・」


「あぁはい!」


僕は助手席に乗った時、慧子さんが蛇をポイっと僕の方へ投げ捨てた。僕はすぐにパニックを起こしたが、蛇は何もせず大人しかった。


「そいつを持ってて・・・捨てないでよ?」


「うぅ・・・・は・・・はい」


慧子さんはエンジンをかけて車を走らせたが、蛇を持った瞬間、ヌルヌルと変な感触してとても気持ち悪い・・・蛇を初めて持った感想がそれだった。

読んでいただきありがとうございました


実戦とは何か・・・



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