絵獣 カイジュウ
ある日の夜、黒スーツを着た男女3人が事務所にやって来た。大手企業の社長代理として来たそうで、かなり内密の仕事らしい・・・ここに依頼するって事は相当な事なんだろう。
「・・・それでぇ、電話で言っていた「絵」というのは?」
「はい・・・・こちらなんですが・・・」
男が持っていたのは絵画用のキャンバス・・・そこにはある不気味な絵が描かれていた。黒い背景に2つの目がこちらをギロッと睨んでいるような絵だった。人の目と言うより、動物の目に近い・・・それを見た瞬間、ゾッとするような恐怖が湧き上がった。
かなり怖い絵だな・・・それともこれが芸術なのか?そう思う中、慧子さんが大きく目を見開いて固まっている。どうしたんだ?
「あのぉ・・・慧子さん?」
「ハッ!・・・・・・・ごめん、何でもないわ・・・それでこの絵が何か?」
話を聞いてみると・・・この絵は社長の息子さんが描いた絵だそうで、名前は赤石 洋一。絵が好きな15歳の男の子だが、大好きな母親を亡くして以降、心を閉ざしてしまい、自分の部屋に引き籠りがちになってしまった。
そんなある日の事、洋一君が突然行方不明になり、部屋には数滴の洋一君の血とこの絵だけが残っていたそうだ。家を出た形跡も無く、警察に捜索願いを出しても未だ行方知れずのまま・・・
だが問題はこの絵。深夜0時になると・・・絵が消えるそうだ。真っ白のキャンバスだけになって・・・
それから奇妙な事が起こり始める・・・・誰もいないのに、棚にある皿やコップが落ちたり、獣のようなひっかき傷がそこら中にあったり、部屋のどこからかガルルッ!っと猫科の動物のような唸り声が聞こえるそうな・・・
しばらく経てば絵は元に戻るそうだけど・・・そんな事が続いてか、社長はこの絵を捨てようとするが、どこからかでも戻って来るし、壊しても焼いてもいつの間にか元に戻ってる。まさに呪いの絵だな・・・
「御子息の件もありますが、この絵のせいで社長は酷くお心を弱められまして・・・どうか、お願いします!!」
「・・・・・・・・・わかりました。やってみましょう」
依頼は成立して、分厚い封筒が机に置かれたけど、「それは解決したら貰う」と、慧子さんはスーツ服の女性に言って返した。まぁそれが幽霊屋の決まりだし・・・それよりもこの不気味な絵・・・どうやって対処するんだろうか?
3人が事務所を出てからしばらく経ったけど・・・どうも慧子さんの様子が変だ。あれからずっと絵を見つめ続けている。ホントにどうしたんだ?
「あ、あのぉ慧子さん?どうやってそのぉ・・・解決するつもりなんですか?」
「さぁね。とりあえずこの怪物が出て来てくれないと・・・・何も始まらないわ。0時まで待ちましょ」
「は、はい・・・あ、あのぉ・・・・どうしたんですか?何か変な感じっていうかその・・・暗い感じっていうか・・・」
「別に・・・・・・」
妙にいつもの慧子さんじゃない・・・・それから特に何か対策する事もなく、ただ時間だけが過ぎていった。もう夜中の23時だ。0時まで後1時間・・・何が出るやら・・・っとその時、慧子さんが急に立ち上がって・・・
「泉君、悪いんだけど・・・・ちょっと散歩してくる。留守番よろしくね?」
「え!?さ、散歩!?こんな時にですか!?ちょっ、ちょっと慧子さん!?」
慧子さんは何の説明もなく事務所を出て行った。ホントにマジでどうしたんだ慧子さん!?どうしうよう・・・一人になったからか、不安が徐々に襲って来る。特にこの絵に見つめられてるようで気持ち悪い・・・早く戻って来てくれるといいんだけど・・・
ヤバい・・・マジでヤバいぞ・・・後1分で午前0時だ・・・・なのに慧子さんはまだ帰って来ない!どうすればいいのだと、不安で落ち着く事が出来なかった。
ボ~~~~~ン・・・・ボ~~~~~ン・・・・
「!!」
するとどこからか、鐘の音のような古めかしい音が聞こえた。この事務所に時計があるとするなら、机に置いてある目覚まし時計ぐらいだが・・・
「(どっからだ・・・・・ん?あれは・・・)」
音は台所の方で鳴っている。どこからだと思って探してみると、その正体はなんと・・・蝉だった。白い色をした蝉で、冷蔵庫にとまっている。
ボ~~ン・・・ボ~~~ン・・・・
コイツが音の正体?僅かに白い煙を出しているし、普通の蝉じゃないな。僕は捕まえようと手を構えたその時・・・・
グォ~~~~~~ン・・・・・・
後ろから猫のような何かの鳴き声がした・・・・ふとある事を思って、ポケットに入ってたスマホを見て、時間を確認したら・・・・0時だ!
恐る恐る後ろを振り向くと・・・絵からドロドロと黒い液体が流れ、次に目が這いずるように出て来た!スライムのようにモゴモゴとゆっくり動き回り、徐々に4つ足の獣となっていく・・・・ライオンやトラのようなネコ科動物の姿をした真っ黒い怪物・・・これが絵の正体か!?
読んでいただきありがとうございました!
足が捻挫して死亡しました
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