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幽霊屋   作者: ダストン
第七章  妖怪の居酒屋
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飲食  ノンデクッテ

それからしばらくしてか、お客さんがどんどん入って来た。もしかして彼等も女将さん達と同じ妖怪なのか・・・それとも人間なのか・・・こうして見てもその区別が分からなかった。


だけどここに来る人は皆、ここの店の者がろくろ首だって知ってる顔だった。そうじゃなきゃあんなに楽しんでない。とにかく今は食事に専念しよう。その時、調理場から女将さんが・・・



「はい!お待ちどうさん!!串焼き肉山盛りセットやでぇ!!」



大きな皿がドーンッと出て来た!!そこには100本以上の串焼き肉がピラミッドのようになってる!その下にはキャベツやキュウリなどのいろんな野菜類・・・・漬けたタレの匂いもして凄い・・・う、美味そう!


「うひょぉ~~相変わらずの迫力ね!よっしゃいただきま~す!」


「えぇ・・・す、凄いですね・・・い、いただきます!」


こんな串焼きの量は初めてだ。食い切れるかな・・・でもなんとか食べよう!僕達は一番上の串焼きを取り、いざ口に運ぶと・・・




「「う・・・うめぇ~~~~~~~~~~~~~~~~!!!!!!!」」




ガチでうま過ぎる!!これはヤバい!串焼きは前に家族と一緒に何度か食べた事があるけど、これは今までのとは比べ物にならないぐらい美味しい!!


「どや?美味いか?熟練に焼いた肉に自家製タレをぶち込んだ味・・・いつまでも忘れんモンやろ?慧子ちゃん?」


「ええ、マジ最高よ!この味は忘れられないわ・・・泉君もそう思うでしょ?」


「はい、もう最高です!どんどん食えますよ!」


「フフッ・・・そりゃよかったわ!どんどん食ってや!!」


僕達はただ串焼きに食い付き、時には野菜を食べ、(しょく)に没頭していく。暑く汗が出ても止まらない・・・慧子さんも酒を飲んでヒートアップしていく・・・この時間(とき)がまさに最高の瞬間(とき)だった。








二人でようやく完食し終えたけど、もうお腹いっぱいだ。まぁほとんど食べたのは僕なんだけど・・・慧子さんは酔っぱらってか、お座敷でマイクを持って歌い続けていた。


『わぁたしもぉ一人ぃ~連絡ぅ~船に乗りぃ~こごえそうなかもめ見つめ泣いていました!あぁ~~津軽ぅ海峡ぉ~ふぅ~ゆぅげぇ~しきぃ~♪



季節めぇ~ぐりぃ~色をつけるよぉ~~・・・また君にぃ~恋してるぅいまぁまぁでよりも深く、また君をぉ~好きになれぇるぅ~心かぁら~~♪



あぁ~あぁ~~~~~川の流れのようぉにぃ~~~~ゆぅるやかに~いくつも時代が過ぎてぇ~あぁ~~あぁ~~~川の流れのようにぃ~~とめどなくぅ~空が黄昏にぃ~~~染ぉまぁるだぁけぇ~~♪



お前も!いつかはぁ!世ぉの中のぉ!傘になれよと!教えてくれたぁ~~!あなたのぉあなたのぉし~ん~じ~つぅぅ!!忘れは・・・しなぁ~いぃ~♪    』



【『ハッハッハッハッハッハッハッハッ!!慧子ちゃん最っ高ぉ!』】



・・・・(なん)で全部演歌なん?そうボソッとツッコんだが、女将さんが代わりに教えてくれた。なんでも慧子さんのお父さんが演歌好きだったらしい・・・・多分その影響で演歌が好きになったんだろう。


「はい!五曲目行きま~~す!!!じぃ~んせぇ~い楽ぅあぁりゃ苦ぅ~もあぁるさぁ~~~~!!」


今度は水戸黄(みとこう)を歌い始めたよ・・・・はちゃめちゃに歌ってるからか、周りの客はその流れに応じて喝采(かっさい)を上げている。一種の祭りみたいになってた。








だいぶ時間が経った頃、・・・あんなに大勢いた客が、いつの間にか店から出ていなくなっていた。慧子さんは座敷で酔いつぶれて眠ってるし・・・そろそろお(ひら)きだな。


「女将さん、そろそろ僕達はこれで・・・えっとぉ・・・いくらですか?」


無料(タダ)でええよ!助手祝いってやつや!」


「え!?い、いやでも・・・」


「ええてええて!次に京都に来るんは多分3,4年後ぐらいやし!次から払ってくれたらええよ。こう見えて全国旅しながらやっとるさかいなぁ!」


「は、はぁ・・・じゃあ、お言葉に甘えて・・・」



(なん)という太っ腹な女将さんだ。あんだけ食べたのに無料(タダ)なんて・・・・本当に感謝します!



「それにしても・・・こうして泉君を見ると・・・信彦(のぶひこ)さんを思い出すわ」



「信彦さん?」




「知らんの?千鶴子さんの旦那さんやった人や!!助手でもあったんやでぇ?元はタクシーの(うん)ちゃんやったけどねぇ・・・おもろい人やったわぁ」





あの初代幽霊屋所長、高橋 千鶴子さんの旦那さん!?それに助手って・・・つまり初代助手って事か・・・初耳すぎる・・・


「二人はええコンビやったけど、病気で亡くならはってなぁ・・・そん時の千鶴子さん、ホンマに心を閉じるほど泣いてはったよ。そんな時に慧子ちゃんが助手になって支えてくれたおかげで、最期まで仕事出来はったんや・・・」


「そうだったんですか・・・」


「だから今度は泉君!ちゃんと慧子ちゃん支えてあげてや?頑張るんやで?」


「はい!幽霊屋の助手として・・・バリバリ頑張ります!!!」



「フフッ・・・ほな!おおきにな!これ持ってまた()ぃや!!」



女将さんが投げて僕に渡した物、それは赤い提灯のキーホルダーだった。僕は慧子さんを担ぎ、店を出て事務所に帰った・・・また来よう!それまで頑張らなきゃ!










次の日の朝、事務所へ行くと慧子さんはトイレにへばりついていた。昨日は酒で酔ってたし・・・無理もないか・・・


「あぁ・・・・・大丈夫ですか?」


「・・・・・・・・二日酔いよ・・・・見たらわかるでしょ?」


「ですよね・・・・水いります?」


「うぇ・・・えぇお願い・・・うぇぇぇぇ・・・く、薬も買って来て・・・」


「ハァ~・・・・・・・はい」


これは今日仕事休みだな・・・僕は冷蔵庫に入っていた水を渡し、薬を買いに薬局へ向かった。

読んでいただきありがとうございました!


轆轤編はこれで終わりです。次は仕事の話じゃ


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