整形 セイケイ
僕達は依頼人の家へ向かっているのだが・・・青木さんのその姿が目立っていて、周りの人達の注目を集めていた。
「何あれ?お坊さん?」 「こっわ!ヤバないかアイツ?」
「ローソク乗ってるぅ!」
「ママ?あれ何?」 「シィ!見ちゃいけません!」
めっちゃくちゃ恥ずかしい・・・まるで有名人のように写真を撮られる。青木さんは慣れてるからか平気で歩いてるけど、僕はもう帰りたい気分だった。
大通りから狭い道を歩き続けたからか、次第に人混みが消えていき、気づけば僕達だけになっていた。やっとか・・・そう思った時、青木さんの足が止まった。
「・・・・さぁ着きましたよ」
そこはどこにでもある一軒家。表札には「一条」と書かれている。ここが依頼人の家・・・すると青木さんは、被っていた笠を脱ぎ、ローソクを消して家のインターホンを押した。坊主頭に白い髭をした中年の男性・・・素顔は普通なんだな・・・その時・・・
「・・・・あぁどうも。夜分遅くに失礼・・・面屋でございます」
「あぁお待ちしてました!!どうぞ上がってください!」
「あぁではでは・・・お邪魔します」
扉から一人の女性が出て来た。この人が依頼人か?僕達は家に入り、靴を脱いでスリッパに履き替えた後、奥のリビングへ進むと、そこには寝巻姿の女の子がイスに座っている。多分、娘さんだと思うけど・・・どうにも普通ではなかった。
顔の左側に包帯がグルグルと巻かれている。怪我をしたのだろうか?どこか尋常ではない・・・
「あぁこの娘ですね?顔に酷い火傷を負ったのは・・・」
「は、はい・・・1ヶ月前に事故で・・・」
「ふむ・・・お嬢ちゃん悪いけど・・・ちょっと見せてくれるかな?」
女の子は何も言わず、包帯をゆっくり取ると・・・それは酷いものだった。左側に大きな火傷が痛々しく残ってる。目は失明していないのが唯一の救いか・・・
「ふむふむ・・・なるほど、これなら色塗りだけでいいな」
色塗り?どういう意味だ?塗り薬か何か塗るとかか?
「さて!早速始めましょうか!あぁお金の件は気にせず!これは修業の一環ですから・・・ハハハハ!」
「は、はぁ・・・と、とにかく娘を・・・美海をお願いします!」
何がなんだか分からないまま、いよいよ面屋の仕事が始まった。まず青木さんは美海ちゃんに、床に寝るよう指示を出し、彼女は不安になりながらもその指示に従ったが・・・次にどういうわけか、懐から二人分の耳栓を取り出して、一つを僕に渡した。
「泉さん、これをつけてください。私がいいと言うまで外さないでくださいよ?」
「え?は、はい・・・」
僕は言われるがままに耳栓をつけ、青木さんも同様に耳栓をつけ始める。何をするんだ?すると懐から笛を取り出した。確かあれって・・・・・尺八だっけ?一体何を?
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どういうわけか笛を吹き始める青木さん・・・すると、依頼人が急に倒れ始めた!眠ってる?どういう事だ?よく見ると美海ちゃんも目を閉じて眠っている。これは一体?
青木さんは二人が寝ている事を確認すると、笛を吹くのをやめて耳栓を外し、僕に耳栓を外すよう手で指示を出した。
「・・・青木さん!二人に何を!?」
「眠ってるだけです。ご心配なく、下品な事はしませんよ。これから行う仕事は、誰からも見られたくないモンでねぇ。あなたが幽霊屋の人でなかったら、その耳栓を渡していません・・・特別ってやつです。ハハハハ・・・・・さて」
すると、青木さんは懐から木箱を取り出した。中を開けると、小さい皿が数枚といろんな色の液体が入った小瓶・・・そして筆が数本。何をしようってんだ?
「まずはその顔を・・・外さねばね」
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青木さんはまた笛を吹き始めた。その音色は何か気分が落ち着くような悪くなるような感じで、どことなく不協和音なところがある・・・だがその時、信じられない事が起こった。
ピㇼッ・・・ピキピキ・・・ピキ・・・スゥ・・・・
美海ちゃんの額に線が浮き始め、線は顔の輪郭に沿ってゆっくりと描いている。線が一周し終えると、青木さんは笛を吹くのをやめて、両手で彼女の顔を触り・・・
パカッ!
上に上げた瞬間、美海ちゃんの顔が・・・・・・・・取れた!????
「え!?あっ!!?えぇぇぇぇぇっ!?」
「驚かれていますね?これが面屋です!ハハハハ!」
美海ちゃんの顔がお面のように取れて、まるでのっぺらぼうのように顔がなくなっている!!!信じられない・・・こんな綺麗に・・・
「さて、ここからが本番ですよぉ・・・次は色塗りを行います!」
「い、色塗り?」
「ええ、この火傷に・・・「肌」を塗っていきます」
「肌?」
笛を懐に戻した後、青木さん小皿に色の液体を注ぎ、筆を取って混ぜ始めた。まるで絵の色を上手く調整するように・・・
「泉さん、私達面屋の仕事と言うのは・・・簡単に言えば、人の顔をこのように面にして、色や形を作って整形するんです」
「せ、整形?」
「はい、顔を変えたり顔の傷を治したりと・・・医学では説明のつかないやり方でね。どうです?変わった職業でしょ?」
確かに変わってる・・・青木さんは混ぜた色を顔に塗り始め、火傷の上にスラスラと上書きしていく。すると不思議な事に火傷の跡が徐々に消えていくような・・・
「この絵具は特殊な材料で作られてまして・・・人間の皮膚と完全に同化する力があるんです。水に濡れたって落ちはしませんよ!ハハハハ!」
青木さんはそう言って笑いながら作業を続けた。凄い!これが面屋の仕事か・・・ゾッとすると同時に感動してしまった。
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面屋は次でラストです
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