面接 メンセツ
ソファーに一人の女性が座っている・・・ショートで白い髪型、白い服に黒いレギンスで質素な服装ながら、大人の女性って感じの綺麗な人で、どこか異様な雰囲気を放つ女性であった。
「あ、あの・・・・」
「とりあえずそこ座って・・・後ぉ履歴書」
「え?あぁ・・・はい!!」
僕は女性に指示された通りに椅子に座り、履歴書を渡した。
「泉 幸多君ね・・・・高校生なんだ・・・ふ~~~~~ん・・・」
女性はブツブツと言いながら、履歴書をまじまじと見つめている。この人は誰なんだろうか?名前も知らないし・・・多分この幽霊屋のお偉いさんだと思うが・・・
「あんま時間無いから、いろいろ省くけど・・・これだけは質問するわ。幽霊見えるのよね?」
「あぁはい!見えます!」
「ふ~~~~~~~ん・・・・・じゃあ私の指を見て」
女性は怪しそうに僕を見つめた後、左の人差し指を見つめるよう言われ、僕はそれをジーッと見つめると・・・指の中から猫の顔が出現した。
「うわっ!痛ったぁ・・・な、な、な、な、何ですかそれ!?」
「驚かせただけよ・・・まぁそんだけビビってるって事は見えてるって事よね?」
「ハァ・・・ハァ・・・まぁ・・・は、はい・・・」
突然の事にビックリして椅子から転げ落ちてしまった。猫は指の中に入っていったが・・・あれは何だったんだ?手品なのか?
「そう・・・じゃあ早速「実戦」と行きましょう」
「え?実戦?」
「そうよ。もうすぐ依頼人が来るわ・・・だから椅子戻して、私の後ろに立ってなさい。早く・・・!」
「え・・・え・・・・あぁはい!」
僕は慌てて立ち上がり、椅子を戻してすぐに女性の後ろへ移動した。
全く何なんだこの人は・・・・・これから何やらされるんだろうかと不安を感じ、やっぱ応募するべきじゃなかったと後悔が脳裏によぎる。その時、階段下からドアベルの音がした。
「あのー・・・・・」
「あぁこちらです!どうぞ上がってください!」
階段を上がって来たのは、大きな包み袋を持った老婆だった。
「どうぞ・・・こちらへお掛けください」
老婆はさっき僕が座っていた椅子に座り、女性は机に置いてある小さい箱から名刺のようなカードを取り出して老婆に渡した。
「先日、お電話いただきありがとうございます。私はこの幽霊屋の所長であり霊師の、月夜 慧子と申します」
月夜 慧子・・それが女性の名前だった。これは後で聞いた話だが、「霊師」と言うのは除霊や霊媒やら化け物退治やらをする人の総称名で、この幽霊屋はその界隈の中でトップレベルの強さだとされている・・・らしい
正直よくわからない話だが・・・・まさか家近くにそんな凄そうな場所があるとは思わなかった。
「ど、どうも・・・・」
「泉君?お茶・・・」
「え?お、お、お茶!?」
「あそこの冷蔵庫に入ってるわ。隣の棚にコップあるから入れて来て」
「えぇ・・・えっとぉ・・・」
「早くして・・・依頼人に失礼でしょ?」
「あぁ・・・は、はい!」
唐突な事で頭がすぐに回らなかったが、僕は急いで台所へ向かい、冷蔵庫を開けてお茶が入ったペットボトルを取り出し、棚からコップを取ってお茶を注いだ。
「ど、どうぞ・・・」
「あぁ・・・ありがとうございます・・・」
「すいませんねぇ・・・そこのバカはまだ新人な者ですから・・・」
「(誰がバカだよ・・・!?)」
「瀧本さんでしたね?それでぇ?どういったご依頼で?」
「あぁ・・・えぇこれなんですが・・・」
女性は持っていた包み袋を開けると、そこに入っていたのは・・・・立派なスイカだった。
読んでいただきありがとうございました。
おにぎりならいくらでも食える・・・アベレージな日本人です。
面白い!つまんない!と思ったら下にある☆☆☆☆☆から作品への応援をお願いいたします。
☆5でも☆1でも、正直な感じた気持ちで大丈夫です。
ブックマークもいただけると幸いです。