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幽霊屋   作者: ダストン
第三章  映画の世界
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宿場  シュクバ

目が覚めると・・・信じられない光景が広がっていた。びゅーびゅーと風が吹き、雑草だらけの荒地。空も大地も雑草も近くにある木も・・・僕も、全てが色のない白黒だった。


夢じゃないか?と思い、ほっぺをつねったが痛い・・・マジか・・・噂通りなら、僕達は映画の中に来たって事かぁ!?パニックになる中、ふと慧子さんの事を思い出した。どこにもいない!どこだ!?


「慧子さん?慧子さ~~ん!!クソッ!どこにいるんだ慧子さん・・・ハッ!」


何度も叫ぶか返事がない・・・マズイなぁどうすればいい・・・っとその時、遠くに何か動いているのが見えた。




「あれは・・・・・・・・・人だ!!」





僕はそう思って全力で走った。もしかして慧子さんだと・・・・・しかし近づいてみれば、全く違う人だった。濃いヒゲに渋い顔、黒い和服を着て、腰に刀を差した壮年の男性・・・もしかして青山君が言ってたオッサンか?


『・・・・・・・・んだぁ?小僧?』


「あ、あの、すいません!ここはどこでぇ・・・あぁ後!お、女の人探してるんです!白い髪をした人で・・・!」


『女ぁ?知らねぇよ・・・まぁ探すのがんばりな小僧』


「えぇ・・・ちょっ、あのぉ・・・どこへ?」


『・・・・・・・・・・・さぁ』



男はどこにも当てもなく歩き去って行くが、僕はどうするか必死で考えた。聞いた話じゃ、斬られたら夢から覚めたと・・・つまりこの世界を出るのは簡単だと思うが、でも本当にそれが正しいかどうか・・・それに慧子さんがどこにいるのか分からないし・・・ならば・・・


「あの!ついて行っていいですか?ここにいてもやる事ないし・・・あなたといれば、探してる人が見つかるかも・・・」


『俺といても、女に会えると思えねぇが・・・まぁいい、勝手にしろ』



そう言って男は歩き出し、僕はついて行った。ついでに名前を聞いてみると・・・


『名前かぁ・・・・俺ぁ・・・三船(みふね) 三十郎(さんじゅうろう)だ』


三船さんか・・・とにかくこの人について行けば、慧子さんに会えるかもしれない・・・そう思って一歩歩いた瞬間だった。













「・・・・・・・・え?」











周りの風景が変わった!!まるで瞬間移動したみたいに・・・何もない荒地にいたはずなのに、気が付けばどこかの町にいた。そこはまるで、時代劇にありそうな古い家が無数に並んでいる。いや・・・今その時代劇の世界にいるんだけど・・・・訳が分からず困惑する中、三船さんの声が聞こえた。


『おいどうした小僧?』


「あっ!み、三船さん!あ、あの、い、今!荒地にいましたよね!?な、(なん)で町に!?あれ!?」


『なに言ってんだおめぇ?、見ての通り町だぜ?ここは・・・』


そう言って三船さんは平然と町を歩いて行き・・・・僕は仕方なくついて行った。しかし途中、誰かの片腕を口にくわえて歩いている犬を見て、ただの町じゃないとすぐに分かった。


だんだん不安と恐怖でいっぱいになる・・・それに誰かに見られてる感じで気持ち悪い・・・・三船さんについて行く中、「めし」と看板に書かれた店にたどり着いた。ドンドンと強くノックして扉が開いて出て来たのは・・・・・ボロい服を着た爺さん・・・おそらく店の主人だろう。


『酒かい?ここんとこ商売上がったりでね、(なん)にもねぇぜ?飯は冷てぇが・・・』


『・・・・構わん、後ぉ小僧の分も頼む』


「え!?、でも僕は・・・・」


グゥゥゥゥ~~~~~・・・・



晩飯食べてなかったからか、恥ずかしい事にお腹が鳴ってしまった。でも店主さんはそれを聞いて、ニヤけながら飯を用意してくれた。冷めたご飯一杯と味の薄い(しる)・・・それだけでもありがたかった。


「ありがとうございます・・・あのぉ・・・お金の事なんですけど・・・」


『いらねぇよ。どうせこいつも持ってなさそうだしなぁ・・・へへへ・・・』


『フッ・・・まぁ心配すんな親父、この町で少し暴れて借りを返すぜ!』


『なっ!?・・・や、やめてくれ!ったぁ張ったぁはもうたくさんだ!食ったらさっさとこの町から出てってくれ!』





トントン・・・トン・・・トントン・・・





その時、近くでハンマーを叩くような音がした。


『クソッ!また始めやがったか!桶屋おけやめぇ・・・棺桶が飛ぶように売れっからって景気がいい音を立てやがるぅ!』


「棺桶?」


『あぁ、博打打ちなんていねぇに越したことはねぇが、まぁ一つ宿場(しゅくば)に親分一人ってのはまだわかる、だがぁ一つ宿場に親分二人ってのがいけねぇ・・・だから棺桶が売れるんだ』


「?・・・・つまりその・・・どういう事です?」


店主さんはこの町について教えてくれた。簡単に言えばヤクザ同士の抗争だ。東に清十郎(せいじゅうろう)、西に丑島(うしじま)・・・どちらかこの宿場を巡って争っている。お互いならず者を雇いながら睨み合いを利かせ、今はこの宿場は完全に泥沼状態らしい・・・


『とにかくこの宿場はもうおしめぇだ。お侍、変な格好したにいちゃんよ・・・・悪ぃことは言わねぇ、早いとこ飯食って逃げ出すだね』



店主さんは腰を下ろしてショボくれている・・・すると突然、三船さんがお椀と箸を置いた。


『飯はやめだ。親父酒くれ、この町が気に入った・・・腰を()えるぜ』


『!?・・・な、なに言ってやがる!わしが言ったことわからなかったのか!?』


『いやよくわかった。要するにだ親父、清十郎や丑島・・・その他のバカ共をスッキリさせりゃ、この町は静かになるってわけだ』


『なっ!?何言って!そんな無茶な事、命がいくつあってもできっこねぇ!』


『わかってる、俺一人で皆たたっ斬るつもりはねぇよ・・・』


『じゃあどうすんだぁ?』


『酒だ、酒を飲んでよく考えらぁ・・・・』


三船さんは自信満々にそう言うが、僕はなぜか嫌な予感がなかった。しばらくして酒を飲み終えた三船さんは店を出て、僕にこう言った・・・


『じゃあ俺ぁ行くぜぇ・・・小僧、おめぇとはここまでだ・・・』


「え!?で、でも三船さん・・・!」


『女、見つかるといいな・・・あばよ』


そう言って三船さんは丑島のいる宿場の方へ向かって行った。これからどうすればいい?慧子さんがどこにいるかまだ分からないし・・・困ったなぁ・・・

読んでいただきありがとうございました!


時代劇はいい・・・・


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