新たな都市伝説へ
――学校の七不思議。
その話を耳にしたのは、高校に入学して一ヶ月後くらいのことでした。
オカルトのやり過ぎで受験に落ち、近くのX高校に通うことになったあたしは、その話に目を輝かせないはずがありません。
今まで色々な怪異現象と遭遇したことはあれど、学校の七不思議に出会ったことはまだないのです。
それにそれにっ、七不思議ってことは一気に七つのオカルトと対面できるってわけですよね? これって最恐最高の都市伝説じゃないですかね!?
あたしはすぐさま、話を聞き回って情報を集めました!
△▼△▼△
七不思議の内容はこちらですっ!
一つ目、『廊下の鳴き女』。
二つ目、『粘土細工たちのパレード』。
三つ目、『輝く目の肖像画』。
四つ目、『首なしバスケ』。
五つ目、『夜の学校を徘徊する人体模型』。
六つ目、『てけてけ』。
なかなかに面白そうだと思いません?
え? 七つ目は何かですって? そりゃ決まってるじゃないですか!
――『わからない』んですよ。
すっごくロマンがあって素敵っ! きっと今回は、ゾクゾクさせられちゃう気がするんです!
あたしは期待に胸を膨らませながら、ちょっくら下見にでも行ってみることにしました。
△▼△▼△
この学校には、色々黒い噂がありまして。
それがあるスポットの一つが、学校の屋上なんですねっ。
今までに男女合わせて二人の生徒が飛び降りて死んでるんです。片っ方は結構最近でしたっけねぇ。
「えぇっと、ここがアレが出るって噂の屋上ですか。なんか幽霊とかいませんかね~」
まあ、昼間には何もいないと思いますけど……とか思いつつ、階段を上がって屋上に行きました。
そしてぐるりとあたりを見回すと……、「あっ、こんなところに人発見!」
こんなところに人がいるなんてびっくりです。
誰でしょう? あたしはすぐさま声をかけちゃいました!
「まさか幽霊じゃないですよね? 違うか~。残念って言っちゃダメなのかな。あ、ここまで話したらバレちゃいますよね。うっかりうっかり。ここで何されてたんですか~?」
半分独り言じゃねえか!って言われても、何の反論もできませんけどね〜。
相手は、あたしと同じようなセーラー服を着た女の子でした。あたしより背が低いですが、どうやら二年生のようです。
彼女は整った眉を寄せながら言いました。
「私は二年一組のヨウミよ」
ヨウミなんてすっごくへんてこりんな名前です。
漢字は『妖魅』って書くんだそうです。妖しい魅力……。オカルトチックでちょっとワクワク。
変に怪しまれてもあれなので、ここは明るく元気いっぱいに応えるのがベストですね!
「妖魅ちゃん初めましてです! あたしは三度の飯よりオカルト! な、丘子ちゃんでーす!」
妖魅ちゃんは、ちょっとばかし驚いた顔をしました。そして、言ったのです。
「あなたが噂の丘子さんなのね?」
△▼△▼△
どうやら、彼女はあたしのことを知っているようでした。
あたしがオカルト大好き女子高生であることなどなど……。
話しているうちに、あたしはわかったことがあります。
それは妖魅ちゃんが……そう、霊視少女かも知れないということです。
あたしと比較すれば薄いですが霊気が漂ってますし、その上、ここから飛び降りた男の子の話をしたら、「成仏したわ」だなんて言い出すんですもん。
問い詰めようとしたらチャイムが鳴って一旦お別れになっちゃいましたけど、あたしは彼女の後ろ姿を見ながら確信したんです。
……これからきっと、ものすごく楽しいことが起きるに違いない、と。
△▼△▼△
その後なんと、妖魅ちゃんと互いの境遇を告白し合い、一緒に七不思議探検に出ることになります。
やはりお互い霊視という不思議能力を持っているわけですから周りから孤立するのは当たり前で、だからこそ仲良くなれると思ったんです。
妖魅ちゃんもまんざらじゃないようでした。
妖魅ちゃん、その妹のレイたんと一緒に、恐怖の学校へレッツゴーですよっ!
……あたしの胸はいつになく胸をときめかせていました。
彼女らと紡ぐ、新たな『都市伝説』が幕を開ける予感がしたからかも知れません。
以上で完結となります。
ご読了、ありがとうございました。
↓は今作の主人公が出てくるものです。
こちらもご興味があればぜひ〜。
【連載版】人ならざるものに愛を寄せて
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