都市伝説との出会い
――あたしが都市伝説と出会ったのは、小学校三年生の時の話です。
えっと、まず自己紹介しときましょうね。
あたしの名前は丘子。現代日本、一般家庭に生まれて生きる、ごくごく普通の女の子でーす。
でも実はそんなあたしには秘密があるんですよね。
それは、もののけが『見える』こと。幽霊やら妖怪、神様。いろんなものが『見えちゃう』んですよねー。
つまり、あたしは霊視少女ってわけですよ。信じられない人がほとんどだろうし国の機関とかで研究されたりしちゃうと困るんで、誰にも明かしてないですけどねっ。
そんなあたしは、その時までは妖怪が見えるなーってだけでそこまで意識はしてませんでした。
でもあの日、あたしの人生は大きく変わったんです。
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小学校からの帰り、何人かのクラスメートと喋っている時のことでした。
大通りの信号まできました。ちょうど赤だったので立ち止まり、みんなで話していたのですが。
ふと前を見ると、明らかにおかしな女性がいたんですよね。
まるで車にでも轢かれたかのように、全身血まみれなんですよ。
なのに、周りの子たちは誰も女の人に気づかないんです。なんでだろうなって思っているうちに、信号が青に変わって横断歩道を渡りました。
そしてすれ違いざま、言われたんですよ。
「――見えてるくせに」
その時あたしがどれだけ恐ろしかったか。それは、とてもとても言葉にできません!
と同時に、歓喜しちゃったんですね。背中にゾワゾワって走り抜ける寒気とともに、心から嬉しくなったんです。
なぜなんでしょうね? 後から振り返ると全然分かりませんけども。
それからあたしは、その女の人が都市伝説の存在であることを知ります。
そして思ったんです。また会いたい、ってね。
またあの恐怖を味わいたい。またあの歓喜を味わいたい。
だからあたしは、オカルトの沼にハマっていきました。ハマればハマるほど深い底なし沼でした。
これから語るのは、あたしのオカルト体験記録とでもいうべきものですね。
小学校五年生、初めて自分から都市伝説に会いに行ったその日から、高校一年生になる今までの記録。
あたしのオカルト無双、とでも言うべき『非日常』な日常ですよー。
ぜひ楽しんでどうぞ!