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実験。

瞬の血。

 僕は毎日狩りに出かけた。


 森の奥には獲物が沢山いた。


 或る日、僕は1匹の鹿を獲った。


 だが、時間が早かったので、もう1匹何か獲りたくて森の中を歩いた。


 そうしていると、急な坂道で躓いた。僕は転んだ。


 坂道を転がったら、右足を怪我してしまった。


 木の枝が刺さっている。


 僕は刺さった木の枝を抜いた。血が出る。


 僕は森の入り口の泉まで、鹿を背負って歩いた。


 泉に傷ついた足を入れるとすごく気持ちがいい。


 しばらくこうしていたいと思ったが、そうもいかなかった。


 血の臭いに誘われて、ゾンビ化した魚が集まってくる。


 魚達が僕の足に噛みつく。慌てて足を泉から出した。


 この泉、水は綺麗で透き通っているのだが、泳いでいる魚は全てゾンビ化している。


 ゾンビ化していなければ魚が食べられるのに、残念だ。



 僕は鹿を担いで皆の所に戻った。


 今日は怪我をしたので、鹿1頭で妥協したのだ。



 足の怪我は、すぐに姫が回復魔法で治してくれた。


 

「瞬のおかげで、毎日お肉が食べられるようになりましたね」


「そやなぁ」


「食糧事情が大幅に改善されたな」


「肉は美味いな…」


「これで魚も食べられたらいいんですけどね」


「魚かぁ…魚も長いこと食べていないなぁ」


「明日、泉を見てきます」


「やめとけ、時間の無駄やで」


「あの泉にはゾンビ化した魚しかいねーよ」


「確かに、今日見た感じ、まともな魚はいなさそうでしたけど」


「それより、肉を調達してくれた方が助かる」


「はい…」


「お兄ちゃん、あまり調子に乗らない方がいいわよ」


「別に調子に乗っているわけじゃない」


「今日だって怪我して帰ってきたじゃない」


「転んだんだよ。森の中で足が滑ったんだ」


「森の中で倒れたらどうするつもり?私達は森の奥まで助けに行けないんだよ」


「…気を付けるよ」


「本当に気を付けてよね」


「心配かけて、すまない」


「べ、別に心配しているわけじゃないって言ってるでしょう」


「ああ、そうだったな」


「菫さんもだいぶん食べられる植物を覚えましたね」


「あ、はい」


「助かっています。ありがとう」


「あ、いえ。兄と比べたら…」


「比べる必要なんてありませんよ」


「そうですね。兄は兄、私は私です」


「最近、ゾンビと遭遇していませんね。こんな平和な日々が続くといいですね」


「ゾンビって、そんなに頻繁に遭遇するのですか?」


「そうね…何しろ数が多いから」


「もしかして、生き残っている人間って私達だけとか…」


「そうでないことを祈るわ」


「まさか、そんなに悲惨な状況になっているなんて」


「そうね…あなた達から見たら現実は残酷かもしれないわね」


「姫、気の滅入る話はやめときましょうや」


「とりあえず、明日は明日の肉の確保が大切だ」


「頼むで、瞬」


「はい!」


 頼られるのは気分が良かった。



 次の日、森の奥に踏み込む前に、網を持って泉を見に行った。


 あれだけの魚、全てがゾンビ化しているのだろうか?


 ゾンビ化していない魚がいたらラッキーなんだけどな…。


 僕は泉を見て驚いた。


 昨日までゾンビ化していた魚が、全て普通の魚に戻っていたのだ。


 信じられないが、現実を受け入れる。


 僕は網で1匹の大きな魚を獲った。


 皆の所まで戻る。



「瞬、どういうことや?」


「ゾンビ化していない」


「何が起こったんだ?」


「確かに、昨日までは全てゾンビ化していました」


「瞬、あなた、昨日、泉で足の傷を洗ったと言っていましたね」


「え?あ、はい」


「もしかしたら、その影響かしら…」


「姫、どういうことですか?」


「瞬の血に、解毒作用があるのかもしれないわ」


「まさか!?」


「そんな夢みたいな話!」


「でも、現実なら受け入れないといけないわ」


「うーん…」


「実験が必要だな」


「そうね、瞬、実験に協力してもらえるかしら?」


「はい。構いませんが…何をするのですか?」


「森に入ってゾンビ化した動物を捕まえてきてください」


「それで?」


「その動物に、瞬の血を飲ませます」


「なるほど」


「行ってくれるかしら?」


「ええ、行ってきます」


 僕は森の中に入っていった。



 すぐにゾンビ化したリスを見つけた。


 簡単に捕まえたが、指を噛まれた。


 リスをぐるぐる巻きに縛って戻った。



「お帰りなさい」


「ただいまです」


「ゾンビ化したリスか?」


「はい。皆さんは離れていてください」


 僕は剣を抜いて指先を切った。


 垂れてくる血をリスに飲ませた。




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