動く世界。
膨らむ期待。
「よく来てくれました、私達は、あなた達を歓迎します」
姫が、皆を代表して歓迎の言葉を述べた。
「どうぞ、こちらへ」
街の幹部と2人の自衛隊員は、会議室(と呼ばれている)へ移動した。
「2人とも、お腹は空いていませんか?」
「食事をさせてもらえるのか?」
「ええ、召し上がりますか?」
「では、悪いが食事と水をくれ」
「わかりました」
「おお、肉ではないか!これはありがたい」
「いただきます」
「うん、美味い」
「あんた達は、毎日、こんな料理を食べているのか?」
「ええ、この街を気に入ってもらえましたか?」
「勿論だ!」
「ごちそうさまでした」
「さて、お互いに聞きたいことがあるだろう?話を始めてくれ」
「まず、お名前ですね。私はエリカ。みんなからは姫と呼ばれています」
「私は鷹柳2等陸曹」
背の高い方の女性が言った。
「私は志摩2等陸曹」
160センチ弱の女性が言った。
「あなた達は、いつ頃こちらへ来たのですか?」
「1年くらい前だ」
「日が浅いですね。瞬達は10年ほど前からこちらに来ています」
「そうなのか?」
「多分、必要とされるまで呼ばれなかったのじゃろう」
桜が言った。
「ちょっと、それ、不公平じゃないの?私もギリギリまで元の世界にいたかったわ」
桔梗は不満そうだった。
「桔梗は、あの時に来て良かったのじゃ。我々は、桔梗に随分救われてきたのじゃ」
「私達の世界から来たのは、誰と誰なんだ?」
瞬、菫、桔梗が手を挙げた。
「3人だけか」
「3人だけなのじゃ。じゃが、この3人は聖剣の持ち主、めちゃくちゃ強い」
「なんだ、その聖剣というのは?」
「一振りで数十人の離れた敵を薙ぎ倒せる必殺のアイテムなのじゃ」
「ふうん、ビラにも書いてあったが、あんた達が街を守っているのか」
「そうじゃ、聖剣はまだある。使い手は他の世界からやってくる。おそらく、そなた達も聖剣の持ち主として選ばれたのじゃ」
「なんだと?」
「私達が?」
「近い内に聖剣を取りに行くのじゃ。まだ槍や矛があるのじゃ」
「私達は、この街に住んでいいのか?」
「勿論です」
「では、出来ることはさせてもらう。聖剣と言われてもピンと来ないが、あんた達の言う通りに動く。志摩もそれでいいな?」
「かまわない」
「それじゃあ、疲れてるでしょうから、お風呂に入っておやすみになってはいかがですか?着がえも用意しますよ」
「風呂があるのか?」
「ありますよ」
「それはありがたい」
「2度用意するのは面倒臭い、2人同時に入ってほしいのじゃ」
「志摩、一緒に入ろう」
「うん」
「私達2人分の垢で、風呂のお湯が真っ黒になってしまったぞ」
「構わぬ。着替えて休め」
「お2人の様子は?」
「部屋に案内したら、スグに眠ったみたい」
「そう、ご苦労様でした、リン」
「どうしてゾンビが仲閒にいるのかと問われました」
「そうですか、なんと答えたのですか?」
「ここにいるのは、理性を失わなかったはぐれゾンビばかりです、と」
「それで?」
「納得してもらえたようです」
「良かったですね、とりあえず、疲れがとれるまで休んでもらいましょう」
「姫」
「なんですか?桜」
「いよいよ、この世界が本格的に動き出そうとしているのじゃ」
「そのようですね。人類が生き延びられるかどうかの瀬戸際ですね」
「ああ」
姫と桜は、近い将来起きるであろう、壮絶な戦いを予感していた。
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