伝説の終わり?
始まりがあれば、終わりがあるのか?
10年ほど経った。
みんなの街は、まだ街として残っていた。いや、人数はかなり増えていた。
まず、メンバーの子が増えた。クラマとジンの子が4人となり、デクの子は2人となった。ナターシャは6人の子を産み、ラーラも3人、アリスも3人、ランゼは4人の子を産んだ。姫は5人の子宝に恵まれ、菫が2人、桔梗と桜が3人の子に恵まれた。そして、ヘドロとリンも4人目の子供を授かっている。元祖メンバーだけで、60人近い。
更に、120人ほどの人間と、少数のゾンビが増え、街には180人余りの人間とゾンビが溢れかえっていた。
これには理由がある。リンに特殊能力が備わったのだ。それは、ヘリウムガスを吐くこと。しかも風船用の方だった。
瞬達は、何日もかけて、何百、何千もの風船にメモを付けた風船を飛ばせたのだ。メモには街の地図、聖剣を持つ兄弟が守っているので安全ということを書いた。実際に、その地図を見ながら安住の地を求めて来た者も多い。
街は、世界で唯一の人間の街になっていた(若干、善良なゾンビもいるが)。街に来てから出逢い、子供を産んだカップルも少なくない。街は、活気に溢れた。ここ数年は、農業も行っている。近くに池と川があり、魚をとることも出来た。森に入れるのは、瞬と菫とランゼと桜、そしてセイラ、シオン、ティア、リン。人口が増えたので、セイラ達も狩りを覚えたのだった。更に、後から来たはぐれゾンビのミネルヴァ、ルナ、イシュタル、アルテミスも森の奥で狩りをした。最近では、身体硬質化をおぼえた桔梗も狩りに参加している。肉を求めて森に入るのは、以上、12名だった。12名で180人分の肉を捕ってくるのは無理のあるところだが、180名の内、半分近くは子供や赤子だったので良かった。食糧事情は、肉、魚、農作物、野草・木の実(果物)でなんとかなっていた。馬車は10台以上になっていた。
そうしながらも、風船メモで呼びかけは続けていた。出来ることの少ない、何のスキルも無い大人達がメモを書くのだが、相馬兄妹がいかにゾンビよりも強いかを書いていたので、あちこち離れたところの生存者も相馬兄妹の伝説を知り、街を目指すようになった。
実際、伝説にならないのがおかしいほど、相馬兄妹は何度も敵を殲滅した。ブロック長もエリア長も倒した。もう、他の者では戦いに参加できないレベルの戦いだった。
自然と、集まった人々は相馬兄妹を崇拝する。しかし、集まった人達を統率するのは姫に任されていた。そして、姫はこの街の町長になった。ナターシャ達が補佐をして、クラマ達の出る幕は無くなった。なので、クラマ達は、子供達に武術を教えている。結構、剣の師匠としては評判が良い。
基本的に、集まった者達は真面目な者が多かった。“ならず者”みたいな人間は現れていない。自分を律することが出来なかった者は生き残れなかったのだろうか?
そして、生き残りには強い者が多かった。自分や家族の命を守ってきた猛者は多かった。だが、相馬兄妹は、全ての戦いを自分達で引き受けてきた。
だが、その日は突然やって来た。
「瞬!菫!」
「来たか?」
「来たのじゃ」
「また大勢来たのかよ」
「いや、たった1人なのじゃ」
「ということは、かなり強いな」
「おそらく、幹部クラスじゃな」
「ランゼ、他のメンバーを連れて、みんなに知らせてくれ。僕と菫と桜は、直接街の入口へ行く」
「わかった!」
戦いが終わって、戻って来たのは、泣いている菫と桜、そして聖剣を握りしめて離さない瞬の右腕だけだった。
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