表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

6/71

仲間。

「朝っぱらから大声出すなよ」


 デクが眠たそうな顔で起き上がった。


 基本的に、馬車の中で眠るのは姫とポックルだけのようだ。


 他の男性陣は外で毛布を被って寝ている。


 雨の日はどうするのだろうか?


「せやけど、やっぱりこいつゾンビにならへんねん。おかしいやろ?」


「落ち着きなさい、クラマ」


 姫が馬車から降りてきた。


「姫、おかしいやろ?おかしいと思いません?」


「もう認めるしかありませんね」


「認めるって?何をでっか?」


「瞬には抗体があるのよ」


「まさか!?」


「そうね。本当に奇跡だわ」


「そんなアホな…」


「でも、現実を受け入れなければなりません」


「ゾンビにならない…」


「頼もしい仲間よ」


「仲間…」


「頼もしい…」


「確かに、これからのゾンビとの戦闘では期待できるあなぁ」


「いくら逃げても戦闘は起こるからな」


「そうですよ、心強い味方です」


「そうやな、味方になれば戦力がアップするな」


「瞬、私達の仲間になってくれますね」


「はい!是非!!」


「クラマ、デク、縄をほどいて」


「わかりました」


 縄はほどかれた。


 ようやく、僕は本当の意味で解放された。


「お兄ちゃん、良かったね」


「菫、心配させてすまなかった」


「別に、心配なんてしてないわよ」


「そうか」


「そうよ」


「これで、菫を1人にしなくてすんだな」


「1人にしてたら、マジ怒ってたから」


「心配させてすまん。もう大丈夫だ」


「だから、別に心配なんてしてないってば」


「そうか」


「でも、これからも私を1人にしたらマジ怒るわよ」


「それは怖いな」


「そうよ、私は怖いの。だから言うことを聞きなさい」


「はい、はい」


「姫」


「何?クラマ」


「こいつがゾンビにならへんのなら、妹にも抗体はあるんちゃうか?」


「そうね、その可能性が高いわね」


「もし、そうなら、本当に最強の兄妹だな」


「いやいや、多分、妹に抗体はありません」


「どうして?」


「菫とは血の繋がりが無いんです」


「血の繋がりがない?」


 僕は、僕と菫のことを簡単に説明した。


「そうでしたか。では、菫さんはこれから気を付けないといけませんね」


「はい。気を付けます」


「かすり傷でも命取りですからね」


「はい」


「菫」


「何よ」


「姫には素直だな」


「うるさい!」


「でも、菫さんには魔法がありますから」


「姫、これは…」


 寡黙なジンが言った。


「そうね。だからこそ瞬と菫さんはこの世界に呼ばれたのかもしれないわね」


 その言葉に、僕はハッとした。


 縛られている間、僕はずっと考えていた。


 何故、僕達はこの世界に来たのか?


 その答えが、今、姫が言ったことであれば理解できる。


 僕はゾンビにならない存在として、この世界から必要とされているのではないのか?


 だとしたら、きっとゾンビとの戦闘で活躍の場はあるだろう。


 だが、菫は?菫は多分、噛まれたらゾンビになるだろう。


 僕のサポートをするためか?


 もしくは菫は巻き込まれただけなのか?


 菫を巻き込んだのなら、申し訳ない。


「そうかもしれません。俺達、頑張ります」


「ちょっと待ってよ、どうして私まで一緒にこの世界に来たの?」


 菫は勘の良い娘だ。


「菫さん、どういうことですか?」


「お兄ちゃんがこの世界に招かれたのはわかります。ゾンビにならないから。でも、どうして私まで?」


「どうしてかしら…」


「菫、巻き込んだのかもしれない。すまん」


「いやいや、お兄ちゃんが1人で行方不明になっても困るんだけど」


「瞬と菫さんはコンビで戦うと言っていましたね」


「はい。ゲームでは僕が斬り込んで菫が僕の背中を守ってくれます」


「では、2人でひとつ、そういうことなのでしょう」


「2人で、ひとつ…。私も頑張ります」


「2人共、歓迎するわ」


「ありがとうございます」


「とりあえず、何かの役に立ってもらおうか」


「食料を獲ってきます」


「獣か?」


「はい。ずっと植物だけしか食べてらっしゃらないようでしたので」


「ちょっと鈍いんとちゃうか?どうして動物を獲りに行かないかわからへんか?」


「え?わかりません。動物が少ないのかなぁと…」


「森の奥へ入って行ったら獣はおるわ。けどな、獣にもゾンビはおるねん」


「獣のゾンビ?」


「そんな奴に噛みつかれたらアホみたいやろ?」


「ああ…」


「俺達の場合、かすり傷が致命傷になるからな」


 その時、閃いた。


「僕なら、かすり傷を気にせず獣を獲りに行けますよ!」



★メッセージ、コメント、評価、感想、レビュー、ブックマーク等よろしくお願いいたします★

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ