父として。
守りたいもの。
いつの間にか瞬は眠っていた。そして、いつの間にか目を覚ました。
身体を動かそうとしたが、全身が痛くて起きるのを諦めた。
「まだ動けんぞ、瞬」
「桜か……なんだかクラクラする」
「全身を切り裂かれて瀕死の重傷だったのよ、姫がいなかったら確実に死んでたわ」
「桔梗か……助けてくれたんだな、ありがとう」
「あんな無茶はもうしないでね」
「僕は子供をつくるって決めた時から、父親として妻と子のために命をかける覚悟をしていたんだよ」
「死んだら父親として無責任じゃないの」
「カッコつけさせてほしかったなぁ」
「文句言うんじゃないの」
「やっぱり桔梗は厳しいな」
「父として死ぬって、なんか納得出来ないんだもん」
「人類が極端に減少しているから、子供を多く作ろうと思うようになったんだ」
「それは理解できるわ」
「で、僕は妻達と子供達のために死ぬんだろうなぁって思ってた」
「もう、そんなことは思わないで」
「いや、同じ様なことが起きたら、僕はまた同じことを繰り返すと思う」
「やめてよ、馬鹿」
「もっと強くなればいいんだろう?」
「そうね、少なくとも私より強くならないと」
「今度、特訓に付き合ってくれ」
「いいわよ」
「お兄ちゃん、死んじゃだめって、ずっと言ってるでしょう」
「菫か、すまなかった」
「謝ってもダメ、私を独りぼっちにするところだったじゃないの」
「もう子供がいるから1人じゃないだろう」
「でも、お兄ちゃんもいなきゃダメ」
「わかったよ、ごめんな」
「今、桜のナビで神社に向かってるから、着いたら、またしばらく平和に過ごせると思うわ」
「そうか、桜、安全な神社があるのか?」
「ああ、ある。着くまでまだ時間はある、眠れるだけ眠っておけ」
「すまないな、何も手伝えなくて」
「お兄ちゃん、嬉しかったよ、命懸けで私達を守ろうとしてくれたこと。でも、今は休もうね」
「姫は?」
「回復魔法を使いすぎて眠ってる」
「そうか、それじゃあ、もう少し眠らせてもらう」
「おやすみ、お兄ちゃん」
瞬が次に目覚めたとき、馬車は目的地に着いていた。起きられるくらいには回復していた。だが、歩くのがやっとだった。狩りには、桜たちが行ってくれているようだ。瞬は呆っと座り込んだ。
やがて桜たちが戻って来て、桜が瞬の横に座った。
「何を考えておるのじゃ?」
「手っ取り早く強くなれる方法を考えていたんだ、この前の敵は強すぎて全く敵わなかった。これから、もっと強い奴が出て来るんだろ?」
「そうじゃな、もっと強い奴が出て来るな」
「その時のことを考えていたんだ」
「簡単と言えば簡単なことじゃ」
「何か方法があるのか?」
「聖剣を手に入れればいいのじゃ」
「聖剣?そんなものがあるのか?」
「ある。じゃが、聖剣はゾンビ達に守られているから、手に入れるのは難しい」
「聖剣か……」
「やめよう。今の戦力では厳しい。いつか手に入れる時が来るかもしれんが、それは今ではない」
桜は立ち去ったが、瞬はずっと聖剣のことを考えていた。
★メッセージ、コメント、評価、感想、レビュー、ブックマーク等よろしくお願いいたします★




