ざわめき。
変化。
瞬、菫、ランゼ、桜が一線を越えたであろうことを皆が察していた。
瞬は居心地が悪くて、食事が終わるとスグに毛布にくるまって寝た。
「菫ちゃん、ちょっと」
桔梗が菫を呼んだ。
「何?桔梗お姉ちゃん」
「ちょっと、こっちへ来てちょうだい」
桔梗と菫は、馬車から離れたところまで移動した。
「ここら辺でいいわね、座りましょう」
「うん」
「菫ちゃん、初体験すませたんでしょう?」
「え?なんで?なんでわかるの?」
「もう、みんな気付いてるわよ。あなた達、帰ってきてから明らかに雰囲気がおかしいもん」
「そうかな?」
「それでさあ、ちょっと質問なんだけど……」
「何?」
「どんな感じだった?」
「え?」
「初体験ってどんな感じだった?私も、興味はあるのよ」
「だったら、お兄ちゃんに抱かれてみたら?」
「瞬は嫌、今後の出逢いに期待するわ」
「あのね……一言で言うとね」
「うん」
「痛かった」
「やっぱり痛いんだ」
「でも、好きな人と結ばれてるんだって思ったら、痛くてもつらくなかった」
「そうなんだ」
「お姉ちゃんも好きな人とした方がいいよ、好きじゃなかったら耐えられない」
「うん、わかった。気持ちいいとかは無かったの?」
「まだ痛いだけだった。何回かしたら、段々気持ちよくなるんでしょう?」
「そうらしいけど、私は未経験だからよくわからないのよ」
「お姉ちゃんも経験したいんだ」
「興味はあるって言ったでしょう?私だって、好きな人さえいれば」
「デクさんはダメだったの?」
「正直、太ってるからタイプじゃない」
「クラマさんは?」
「うーん、無理」
「ジンさんは?」
「絶対に無理」
「難しいわね」
「でも、ランゼ達と合流したのって最近じゃない、生きてさえいれば、イケメンの集団と合流出来るかもしれないでしょ?私はそれに賭ける」
「お姉ちゃん、あんまり意地を張らない方がいいと思うよ」
「意地って何よ」
「お姉ちゃん、お兄ちゃんのこと好きだったじゃない」
「いつの話をしてるのよ、あんなの気の迷いよ」
「本当に?お兄ちゃんのせいでこんな世界に来たからって、怒って意地を張ってるだけじゃないの?」
「ち、違うわよ」
「ほら、動揺したでしょ」
「してないわよ」
「私も意地を張ってた、でも意地を張るのをやめて、正直に、素直になった。そしたらすごく楽になったよ」
2人は、しばらく馬車まで帰って来なかった。
一方、ナターシャ達の馬車。
「ランゼ、女になったんだな、おめでとう」
「1番年下のくせに姉より先に初体験するなんて」
「どうだった?痛かった?」
「うん、痛かった。でも、何故か幸せな気分でもあった」
「私も早く経験したいものだ。このままでは、男を知らぬうちに死ぬか婆になるかどっちかだな」
「お姉様にはクラマさんがいるじゃないの」
「ラーラ、頼む、やめてくれ。そういうお前にはジンがいるではないか」
「お姉様、ごめんなさい、やめてください」
「私もデクさんはパスだな」
「瞬以外に、魅力的な男がいないからな」
「ランゼは良かったな、瞬と歳が近くて」
「瞬なら年の差なんて気にしないと思うぞ。桜も抱いていたからな」
「ゾンビを抱けるってスゴイな」
「まあ、桜はゾンビに見えないからなぁ」
「そうか、瞬は年の差を気にしないか」
「あいつは優しいからな、きっと断れないだろう。押しに弱いタイプだ」
「戦闘では飛び抜けて強いのにな」
「そのギャップがいいんだ。普段は頼りないが、いざという時は誰よりも頼りになる」
「今のはお惚気か?ランゼ」
「アリス姉さん、僻まないでくれ。今のメンバーで気に入る相手がいなければ、今後の出逢いに期待すれば良い」
「イケメンの4兄弟とか?ありえねー!」
「でも、瞬達と合流したのは最近だから、可能性はゼロではないわよ」
「私はもうすぐ30歳だぞ、待ってられないなぁ、いつ死ぬかわからないし」
「そうだ、いつ死ぬかわからないから、瞬に抱かれたんだ。男を知ってから死にたいと思っていたからな。勿論、好きになれたからだが……」
「そうだよね、男を知らずに死ぬのは嫌だよね……」
馬車の中の女子トークはしばらく続いた。
たき火の前に座り込んでいるのは、クラマ、デク、ジンの3人組だ。彼等は焦っていた。
「どうする?瞬に先を越されたぞ」
「瞬は男になったんやな、大人になってしもたんやな」
「どうする?俺達は女も知らずに死んでいくのか?」
「嫌過ぎるわ、大丈夫、まだ手はあるで!」
「どうするんだよ」
「もう1度アタックするねん、いや、2度でも3度でもアタックするんや」
「じゃあ、俺はアリスちゃん?桔梗ちゃん?」
「どっちかに決めんかい!二兎追うものは1兎も得ずやで」
「クラマはまたナターシャか?」
「そうや、受け入れてくれるまでアタックしたらええねん」
「そうだな、俺も諦めないぞ」
「ジンはどないするねん?」
「……考えてみる」
男性陣は男性陣で、盛り上がっていたのであった。
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