証明。
「あ!俺、ゾンビになってない」
僕も驚いた。そして安心した。
「ほらね、お兄ちゃんはゾンビにならないって言ったでしょう」
「不思議ね…」
「本当はゾンビに噛まれてないんとちゃうか?」
「昨日、回復魔法を施した時、沢山の歯形がありましたよ」
「自作自演ということもありえる。信用するのはまだ早いですぜ」
「なんでそんな面倒臭いことしなくちゃいけないのよ」
菫が怒った。
実際にゾンビ達に襲われているから、疑われるのが腹立たしいのだ。
僕も怒っていた。
「なんでって… 俺達の仲間になるためだ」
「なんで仲間になるのにそんな演技するのよ」
「俺達の仲間に入って優位にたつためとちゃうか?“ゾンビにならない”となれば重宝されるからな」
「そんなことのために、わざわざ沢山の歯形をつけるの?」
「菫さん。落ち着いて。ゾンビにならないということは、それだけ珍しいことなのよ」
「でも、俺… 実際にゾンビにならないし」
「そうね。でも、それは本当に奇跡なのよ」
「もしかして、体内に抗体でもあるのかしら?」
「まさか…」
「試してみたらええんとちゃいますか?」
「どうするんだ?」
「実際に、俺達の目の前でゾンビに噛まれてもらうんや」
「なるほど」
「なるほどじゃないわよ、なんでお兄ちゃんがそんなこと…」
「菫、いいんだ」
「お兄ちゃん…」
「それでいい。目の前で噛まれてみせる」
「お兄ちゃん!?」
「菫、きっと大丈夫だ」
「…きっとってどういうこと?危ないじゃ無いの」
「でも、そうしないと信じてもらえない」
「信じてもらえなくてもいいじゃん」
「菫、大丈夫だ」
「もう、勝手にしたら良いわ。どうなっても知らないからね」
「ちょうどええのが来たで」
タイミング良く、遠くに一体のはぐれゾンビが現れた。
「一度、縄をほどいてください」
男達が僕を縛っていた縄を解く。
「ゾンビ達を呼び寄せるで、ええか?」
「お願いします。でも、どうやって?」
「音をたてる。奴等は特に耳が良いからな」
クラマが金属の食器をカンカン叩いて音を鳴らす。
音を聞いたゾンビがこちらに向かって歩いてくる。
「行きますよ、ちゃんと見ていてくださいね」
僕はゾンビに歩み寄った。
至近距離になる。
何度噛まれても噛まれるのは怖い!
痛いからだ。
僕は目を瞑って更に一歩踏み込んだ。
ガブリ!
見事に右の首筋を噛まれた。
痛い!痛い!!痛い!!
僕はゾンビの身体を全力で突き飛ばした。
そこでジンが矛でゾンビの頭を潰してくれた。
僕は走って皆のところへ戻った。
「さあ、早く縛ってください」
「わかった」
僕は再びグルグル巻きに縛られた。
「姫、噛まれたところが痛いです!」
「わかりました。回復魔法を施します」
回復魔法を施してもらった。肉体的な痛みは治まった。
「また痛い思いをして… 馬鹿じゃないの?」
菫はそっぽを向いた。
「そこまでして、この人達の仲間にならなくてもいいじゃない」
「俺が死んだら、お前はどうする?」
「私のために頑張ってるって言いたいの?恩着せがましいわよ」
「いや、恩に着せるつもりはないんだ」
「じゃあ、どういうつもりなの?」
「俺は菫のことを大切に思っているんだ」
「いきなり何よ!」
「極論、俺はどうなってもいい。でも、菫には無事に生きて欲しい」
「何よ!本当の兄妹でもないのに」
「それでも、菫は俺の大事な妹なんだ」
「妹…」
「わかってくれたか?」
「わからないわよ!どうなっても知らないからね」
「まあ、ええやないか。今度こそハッキリするんやから」
その日、また食事をご馳走になった。
食材が野菜ばかりということに気付いた。
そして夜。
菫はまた僕にもたれかかって寝た。
僕もいつのまにか眠っていた。
「やっぱりゾンビにならへんやないか!?」
僕は、その声で目を覚ました。
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