圧勝。
頑張る人類。
翌日、僕達は馬車の周囲から動かず、皆が離れないように固まって様子を窺った。
「やっぱり来たのじゃ」
「近いのか?」
「もうすぐ、目視確認が出来るじゃろう」
「数は?」
「結構な数じゃ。この前と同じくらいのようじゃ」
「かなりの数じゃないか」
「桔梗の結界で、気付かれにくくなっておるが、多分、こちらまで来るじゃろう」
「なんでこっちへ来るんだよ」
「獲物を求めてさ迷う習性を持っているからな、遅かれ早かれここにも来るのじゃ」
「おい、見えたで!ゾロゾロ来やがる。これは逃げなアカンなぁ」
「桜、次はどこへ逃げたらいい?」
「南に、もう1つ神社がある。今のところ、そこなら安全じゃ。そこまで逃げるしかないな」
「アカン、もう集団が見えてる。どないすんねん?」
「このまま逃げても追いつかれるかもしれぬ。あの集団はここで蹴散らした方が良いのじゃ」
「だったら、先手必勝だろう!」
「デクさんの言うとおりだ、ナターシャさん達の遠距離攻撃で、可能な限り薙ぎ払ってもらえますか?」
「わかった。やるぞ、ラーラ、アリス、ランゼ」
ナターシャが地面に手をかざした。
「地割れ!」
ダダダーッと大地が割れた。開いた大地の割れ目に、何人ものゾンビが落ちていく。ナターシャが立ち上がると、大地の裂け目が閉じた。何人ものゾンビを大地が飲み込んだのだ。
「かまいたち」
ラーラの風の魔法。ものスゴイ風量がゾンビ達を襲い、ズタズタに切り刻んだ。腕や首が吹き飛ぶレベルの巨大なかまいたちだ。だが、残ったゾンビは確実に近付いてくる。奴等は恐怖を感じないからだ。
「これだけ近付けば、私の魔法も役に立てるわね。水縛り」
大地に水たまりが広がった。粘着力の強い水たまりに足をとられて立ち往生している。
「これで5分は足止めできるはずよ、今の内に攻撃を」
「わかってるわ」
ランゼが、自分の身長の2倍くらいの火球を出した。転がった火球は、足止めされたゾンビを飲み込んでいった。
「私も手伝うわ」
桔梗が、空高く矢を放った。照明弾のように光りながら打ち上がり、幾筋もの白光がゾンビの群れに降り注ぐ。この光の筋に触れたゾンビは蒸発するかのように消滅する。
「私も手伝おうかのう」
桜が身長の3倍を超える火球を放った。ゾンビ達は焼けただれ、残ったゾンビは残り僅かになった。
「私だって、落雷!」
菫の言葉で、幾筋かのカミナリが降り注いだ。残り少なくなったゾンビが、更に数を減らした。
「残りは、俺達が仕留めるぜ!」
デクが戦斧を持って突進した。
「待てや、俺達も行くっちゅうねん」
クラマ、ジン、瞬が続いた。残ったゾンビは少ない。
時間切れで足止めから解放されたゾンビ達がやって来るが、数が少ない。
あっという間に、残り1体となった。
黒のスーツに黒いネクタイ。不気味なゾンビだった。
「瞬、そいつはブロック長じゃ、気をつけろ。と言っても、今の瞬の敵ではないはずじゃが」
一瞬のことだった。
高速で瞬に跳びかかってきたゾンビの首を、ゾンビの高速を上回る速度で瞬が斬り落とした。瞬はそこまでレベルが上がっていたのだった。
「瞬、移動するぞ、早く戻って来るのじゃ」
2日かかって、南方の神社に辿り着いた。早速、桔梗が結界を張る。
「ここは、森や川まで少し距離があるので少し不便なのだが仕方あるまい」
「でも、ナターシャさん達のおかげで圧勝だったよ」
「喜ぶのは早いぞ。これで2人のブロック長を倒したことになる。次は、もっと強い奴が出て来るはずじゃ」
「そうなのか?もしかして、桜よりも強いのか?」
「ああ、私より強い者が必ず出て来る」
「桜より、強い…」
「ああ、じゃが、それは先の話。今はゆっくり休めば良いのじゃ」
桜は、木陰で横になった。
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