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旅するエリカ達。

「食事が出来たわよ」


「皆さん、集まってください」


 エリカとポックルの声に男達が立ち上がった。


「あなた達も」


 エリカが言うと、


「お兄ちゃんも一緒じゃないと嫌!」


 菫が言った。


「デク、瞬をこちらへ」


 デクと呼ばれた大男が縛られている僕を皆の所に運んだ。


 随分、手荒だった。僕は引きずられていった。


「お兄ちゃんに乱暴しないで」


「どうせゾンビになる奴だ」


「デク、今はまだ人間よ」


「へい…」


 皆、姫の言うことには逆らわない。


「さあ、食べましょう」


 見慣れない料理だった。というよりも見慣れない食材だった。


「お兄ちゃんは縛られて手が使えないから、私が食べさせてあげる」


「頼む」


「しょうがないわね」


 菫が少しだけ笑った。


 ちなみに、使うのは箸ではなくナイフとフォークだった。


「美味い」


「そうだね。美味しいね、お兄ちゃん」


「自己紹介がまだの者もいますね」


 エリカが言った。


「そちらがクラマ」


 目つきの鋭い男だった。


「クラマや。俺も高速剣士や」


「こちらがデク」


 大男だった。


「デクだ。大斧を使う。俺は怪力の持ち主だ」


「それからジン」

 

 寡黙な男だった。


「…ジンだ。矛を使う」


「そしてポックル」


「ポックルです。僕は戦闘要員ではありません。食事を作ったり、洗濯したりします」


 少年が言った。


「私は回復魔法や防御魔法が得意です。回復魔法を使える者は極めて少ないので、私は“姫”と呼ばれています」


「ゾンビになった者を回復魔法で救えるのですか?」


「残念ながら、それは無理です」


「そうなんですか…」


「そう言えば、瞬は傷だらけですね」


「歯形がいっぱいです」


「治しましょう」


「いいんですか?」


「構いません」


 エリカが呪文の詠唱を始めた。


 僕は心地よい光に包まれた。


「はい、終わりました。肉体的な傷を治し、精神的疲労を回復させました」


「スッキリしました。ありがとうございます」


「姫、ゾンビ野郎に回復魔法はもったいないですぜ」


 デクが言った。


「まだ人間だよ」


 僕が言った。


「あなた達はゾンビ達と戦えるんですね?」


 ポックルが言った。


「はい。さっき、しばらく2人で戦っていました」


「デク、瞬がこのままゾンビにならなければ心強い味方になるわ」


「ゾンビにならなければ、でしょう?」


「俺達兄妹は結構強いですよ」


 初めてゾンビと闘った時の感覚を思い出す。


 ゲーム通りにやれば、俺達はかなり出来る!


 僕には自信があった。


「噛まれまくってるじゃねえか」


 反論できない。


「…初めての実戦で、感覚がわからなかったんです」


「次は大丈夫ってか?」


「はい」


「そう簡単に信じられねえよ」


「あなた達は旅をしているのですか?」


 僕は話題を変えた。


「ええ、そうよ。生者を集めて或る程度の戦力を手に入れたいの」


「生者って、どのくらいいるのですか?」


「そうね… 残念ながら極めて少ないわ。なかなか出逢えない」


「そんなに少ないんですか?」


「あなたのいた世界にゾンビはいないのですよね?」


「ええ、ゲームや物語に登場してくるだけです」


「羨ましい話ですね」


「この世界には、元々ゾンビがいたのですか?」


「いいえ。10年くらい前からよ」


「どうしてゾンビが…?」


「それがわからないの。伝染病のように急に増えたから」


「10年前…」


「それからはゾンビから逃げる生活。仲間がだいぶ減ったわ」


「今も逃げているのですか?」


「戦ってはいますが…数が違いますから」


「それで人間を集めているのですね」


「そうね。街1つくらい欲しいわね」


「街ですか。早く街1つを解放できればいいですね」


「瞬、あなた達のことをもっと教えてもらえるかしら?」


「構いませんよ、僕にあなた達のことを教えてください」


 僕達は日が暮れるまで語り合った。



「日が暮れたわね」


「今日は天気が良いのでテントはいらないですね」


「姫、馬車の中で寝てください。あっしらは外で寝ます」


「お前達も寝ろ」


 僕達は眠った。というよりも、寝ようとした。


 だが、なかなか眠れない。


 知らない世界に来てしまい、不安で眠れない。


 ゾンビになるかもしれないと思うと、怖くて眠れない。


 それでも、朝方にはウトウトしていた。


 菫は僕の隣で眠った。


 

 朝になった。


「なんでこいつはゾンビにならへんねん!?」


 僕はその声で目を覚ました。



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