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ゾンビにならない主人公。

「不思議なんです。噛まれましたが、僕はゾンビにならないんです」


「いつゾンビになるかわからへんやないか」


「…確かに」


「姫、こいつ縛りましょうや」


「そうですね… あなた名前は?」


「相馬瞬」


「私はエリカ。瞬… 縛っても良いですか?」


 僕は菫をチラリと見た。


 迷った。


 僕が縛られたら菫を守れなくなる。


 この人達を信用して良いものか?


 だが、姫と呼ばれる女性は信用出来ると思った。


 だから、言った。


「ゾンビになって妹に襲いかかるのが怖いので縛ってください」


「では、縛りますね」


 僕は男達にグルグル巻きに縛られた。


「お兄ちゃん…」


「菫、大丈夫だ。心配するな」


「別に、心配なんかしてないけどさ…」


「俺がゾンビになったら、この人達と行動を共にさせてもらえ」


「お兄ちゃん!」


「お前達は何者なんや?」


 目つきの鋭い男が言った。


「多分、僕達は異世界から来たのだと思います」


「異世界?どんな世界だ?」


「ゾンビのいない世界です」


「ゾンビがいないだと!なんて羨ましい世界だ」


 身体のデカい男が言った。


「その異世界で、あなた達はどんな仕事をしていたのですか?戦士ですか?」


 メンバーの中でおそらく最年少の華奢な男の子が言った。


「仕事?まだ仕事はしてませんよ、学生です。高校生です」


「コウコウセイ?ガクセイ?」


「僕達の世界では仕事に就く前に、学校という所で勉強をするんです」 


「戦士ではないのですか?」


「違います」


「でも、剣を持っていますよ」


「この剣は拾った物です」


「妹さんも戦えるんですか?」


「はい。この世界では魔法が使えるようです」


「魔法!?凄い!」


 少年はかなりビックリしたようだった。


「この世界でも魔法は珍しいの?」


 菫が問いかけた。


「ええ、魔法使いがいないことはありませんが珍しいですよ」


 “姫”と呼ばれるお姉様が解答した。


「あなた、お名前は?」


「菫です。相馬菫です」


「菫… 良い名前ですね」


 お姉様は菫に優しかった。安心した。


「姫、魔法使いが手に入りましたで~」


 目つきの鋭い男が言った。


「これは重宝しますなぁ」


 デカい男が言った。


「…別に兄が好きというわけではないけど、私は兄とは離れません」


「そういえば、お兄ちゃんはなかなかゾンビにならへんなぁ」


「おかしいぜ」


「普通、すぐにゾンビになるんだけどなぁ」


「俺も見ました。生きてる人がゾンビに噛まれてゾンビになるところを」


「噛まれてスグだっただろう?」


「はい、スグでした」


「おかしいよなぁ」


「俺はゾンビにならない方がありがたいのですが…」


「お兄ちゃん、ゾンビになったら承知しないからね!」


「菫ちゃん、何を言ってるんや?」


「…ゾンビになるなんて…私が許さない」


「菫ちゃんがどんなに怒っても、ゾンビになる時はなるんだよ」


「……」


 菫が泣き始めた。


「クラマ、やめなさい」


 姫が目つきの鋭い男をたしなめた。


「へい」


「菫、泣くな」


「別に泣いてないし」


 菫は涙を袖で拭った。


「俺がゾンビになったら、この人達についていけ」


「そんなこと言わないでよ」


「でも、意識がある内に言っておかないと」


「私1人で見知らぬ人達について行けと言うの?」


「かといって他に頼れる人がいないからな。魔法使いは重宝されるようだし」


「勝手に突進して噛まれるからよ」


「すまん。僕が軽率だった」


「私をおいてゾンビになったら許さないから」


「…わかった。僕はゾンビにならない」


 そうだ。妹を残して自分だけゾンビになるなんて許されるわけがない。


「まあ、もう少し様子を見ようぜ」


「お嬢ちゃん、あんまり期待しない方がええで」


「期待するわよ」


「じゃあ、食事にしましょう」


 姫が言った。


「はい。用意しますね」


「手伝うわ、ポックル」


 少年と姫が食事の支度を始めた。


 僕は男達に監視され続けた。 


 菫は、縛られた僕の側から離れなかった。



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