神威
青天に立ちこめる巨大な雲
世界を滅ぼさんと
天まで届く猛威見下ろす神威
鳴り止まぬ轟き
世界の流れが竜巻のように集中してゆく脅威
あまりにも白く
神々しい光
神々を圧倒すべく立ち上がる勇者たち
かつて神の所有した大地と空を
我らの手で護るべきと世界の守護者を讃歌する
仮初めの肉体と魂を持ちし者たちよ
いざ
神雷の極光
すべてのものが
浄化される
空間ごと
霊体 魂の崩壊 分解 消滅
光の中に
何も残らない
美しき殲滅
昇華
すべては神々のエネルギーに
衰退した神たちが
水を得たように急速に回復しては光輝く
巨万 幾億 魂を 贄として
結界
僅か数名の人間
神威に耐え得る
巨大強大
宇宙を相手どる最終戦闘
耳の奥切り裂く天使たちの賛美歌
多重結界の内で抵抗する
祈りの声超えて
神界を二分する穏健派の神々
人間たちへの愛にこたえる
母なる闇
召喚されし胎内にて
繰り広げられる物語
人生なのか夢なのか愛なのか
人の求めたもの
その哀しみの追憶
意識という漂う儚き命
夢みるように幻想へと還ってゆく
それは
人だったもの
かつての姿
神威の中に残された僅かな人の残滓
記憶
意識
常に
神々とて
かつての人だったものたちに宿りしもの
それが
いつの日か
宇宙を循環して漂い
何億光年の果てに
とどまりなりえたもの
神
闇
光放たれた闇の中に
未来永劫の約束の彼方
人の求めたもの
還ってゆく
青天に立ちこめる巨大な雲
天まで轟く神威
鳴り止まぬ地響き
闇夜が宙を覆う満天の星空
収縮される極光
終に閉じる
目を開けば
星が流れる
仲間たちは無事
あちこちで
青い光が目覚める
想い出の蛍たちが
闇夜を飛び交い続けるように
世界を舞う緑色の仄かな残光を追う
手のひらに舞い落ちる
雪のように
桜のように
息吹は
明滅して消えてゆく
儚さの中に
まだ生きられると
勇者の瞳に
捧げる想い
尽きること無く
この勇者たち
若い人間の男女らが
最初のものとなる
原初の
始まりのものたち