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お一人でのご来場です

「お一人様でのご来場、ありがとうございます!!って言いたいところなんだけど、すんごい心配だよ!!」

 

 あんな大人数で挑戦して、六階層で打ち止めですよ?女の人一人じゃ絶対に進めないと思います。

 そもそもこんなダンジョンに一人で来るって、おかしくないですか?今までも一人で来た人はいませんでした。

 まぁ、僕は冒険者ではないので憶測でしかないんですけど、相当な実力を持っていない限り一人でダンジョンに入ったりはしないと思います。

 怪我をしたり動けなくなった時に助け合える仲間がいないと、無事に出てくることなんて難しそうです。

 

 実力がないのであれば、ただの自殺志願者としか考えられません。

 まさか、自殺とかしに来たわけじゃないですよね!?

 

「今回の客からは、全く強さを感じられんな。テトと変わらぬほど弱そうだぞ。」

 

 僕と変わらない!?言い方は少し酷いですけど、弱い自覚もありますしそこは何とも反論できません。

 が、そんな実力しかないのなら一階層の突破すら怪しいんじゃないでしょうか?

 やっぱり、攻略する気なんてないのかも!?

 

「と、止めに行った方がいいよね!?」

「うむ。だがそうホイホイと出て行っては、この先が思いやられるぞ?そもそもお前の正体を晒すことになる。

 それはこのダンジョンに対して不信感を与える結果になるやもしれん。」

 

 テトラは何より、テトの身を案じていた。テトがその優しさの所為で、自分を犠牲にしてしまわない様に。

 もしダンジョンで不測の事態が起こった時、自らを攻めてしまわない様に。

 

「いいか、人は死ぬ。救ってやる事は出来るが、それぞれが覚悟をして歩んでいる人生だ。

 おいそれと他人がしゃしゃり出るものではない。」

「だけど、もしあの人が死にに来ているなら、僕はやめさせたいんだ!」

 

 テトは珍しく声を荒げた。そんなテトを見て、テトラは目を丸くした。本当に優しい子だと思う。

 そんなテトの気持ちを無視する事も、テトラには出来そうになかった。

 

「わかった。それなら、何かあれば我が行こう。まずはお前が言うように、死に来たのかどうかをしっかりと見極めるといい。

 所詮一階は雑魚ばかりだ。二階のキラードッグも先の騎士たちに殆どやられて、まだ新たな魔物は生まれていないだろう。

 比較的安全な階層で様子を見ようではないか。」

「ありがとう。」

 

 テトラが僕を心配してくれているのは凄く良くわかってる。でも、人がもし死にそうになるんなら、出来る限り止めてあげたいんだ。

 あの女の人がそうとは限らないけど、心配はしちゃうよ。

 

 肩まで伸びた黒い髪を、後ろで小さくまとめた女性。僕よりも年上だろうと思うけど、そんなに違わないと思う。

 20歳までいってないんじゃないかな?

 鎧なんかの防具は身につけておらず、ラフで動きやすそうな格好をしている。

 

 お願いですから、死なないでください!!

 

『さて、いっちょ腕試しといきますか!』

 

 しばらく入り口で中の様子を窺っていた女性は、腰に手を当てて鼻で息を鳴らした。そして、奥へと向かって歩き始める。

 

 あれ?なんだかやる気満々です。

 僕の思い過ごしでしたか?でも、テトラのよく当たる見立てでは、強さは僕と変わらないって言ってましたけど?

 

「なんだか凄くやる気みたい?」

「とりあえず、死にに来たわけではなさそうだな。ただ、あの自信がどこから来ているのか・・・?」

 

 やる気があるのは良かったですけど、テトラも不思議な顔をしてます。テトラにも見抜けない強さを持っているのか、それとも弱いけど自覚していないのか。

 

 とにかく、少し安心したので様子を見てみましょう。危なくなったらテトラにお願いして、助けに行ってもらうんですから。

 僕は入り口を作るタイミングをしっかり見極めるとします。

 

『まずはスライムか。たった一匹で私に向かってくるなんて、身の程を知らないようね。』

 

 そうこうしているうちに、最初の魔物と出くわした見たいです。まぁ、スライム一匹ですけど。

 自分は見てるだけなんですが、自分より強い人たちばかり見ているとスライムなんて障害にならないのだなぁ、としみじみ感じました。

 流石にこのは人もスライムなんて相手にならない様です。

 

 女性は腰に差していた剣を引き抜いて、スライム目掛けて走り始めました。その勇気だけでも僕より強いと思います。

 

『やぁ!!』

 

 女性はスライム目掛けて剣を振るった。

 剣は綺麗な放物線を描いて天井にぶつかり、スライムの上に突き刺さる様に落っこちた。

 

 ブスリ。

 

 見事にスライムの中心部分にその剣が突き刺さり、スライムは解ける様に液体となる。

 

『ふん、口程にもないわね。』

 

 女性は膝をガクガクと揺らしながら、スライムに突き刺さった剣を握りしめた。

 

『あれ?・・・・・・ふん!!』

 

 どうやら握りしめた剣がなかなか抜けないらしく、顔を真っ赤にして両手で持って引っ張り始めた。

 

 

「どう言う事!?ねぇ、あの人何してるの!?」

 

 あまりの突飛な出来事に、何が何だか分からなくてテトラに詰め寄ってしまいました。僕にはさっぱりわかりません!!

 あの人は強いの!?弱いの!?

 

「どう言う事と我に聞かれてもな・・・。

 とりあえず、強い様には見えなかったぞ。」

 

 でも、なんかすんごい自信を持ってましたよ?なんですかあの人は!?

誤字のご報告ありがとうございます。

確認して修正いたしました。

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