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第5話 アリスの鏡の国の世界録
やあ、何、読んでいたんだい?ミュートがそう言うと私は椅子から立ち上がる。
私達はそう言うと鳥たちのついばみのように口づけをする、ほんのちょこっと唇が触れる位に。読書用の本はもうガラムのリュックサックの中にしまった。
そうしてからガラムのリュックサックから同じくガラムの青カンを取り出してフィルムを剥ぎ取って中から一本タバコを咥える。
「あなた今日もガラムなの?」ミュートがそう言うが私はシカトしてガラムの青を吸い続ける。
「あなたには未だ早いわ」私がそう言うとミュートはそっぽを向いて赤い大麻を取り出した。
「私はこれ位で丁度良い」彼女の大麻はいつでも赤かった。その赤は前世の記憶を呼び起こす。私が赤い天使だった頃の。
「さあ、行きましょう」私がそう言うと私達二人はその日に燃えた木片を咥えたままあるき出した。
「今日も学校始まっちゃうね」私の後ろの女生徒がそう言った。
彼女の名前はなんだっけ?
「私?赤い香水瓶」と彼女は言った。
「あなた炭酸水が好きなんだっけ?ガラムの」
「違うわ、私は紅い香水瓶」と彼女は言って懐から1L入の瓶を取り出した。その度数最高度。